マンションの成約価格が22か月、一戸建ての成約価格が17か月連続上昇中!中古住宅市場の行く先は?
中古住宅市場での価格高騰が続いています。まだまだ上がり続ける場合、さらなる上昇の前に買ってしまったほうがいいとも考えられますが、そろそろピークが近いとなると、しばらく様子見をしてもいいかもしれません。これからの中古住宅市場、どうなると考えればいいのでしょうか。
成約件数減少のなかでの成約価格上昇続く
最近の首都圏の中古マンション市場をみると、成約件数が減少するなかで、成約価格の上昇が続いています。
東日本不動産流通機構の調査によると、図表1にあるように、首都圏中古マンションの成約件数は減少傾向が続いています。2021年3月には4,228件だったものが、2022年3月には3,405件まで減っています。前年同月比でみても、2022年1月から3月まで3か月連続して前年同月比二桁台の大幅な減少が続いているのです。
そのなかで、成約価格が上がり続けています。22年3月の成約価格の平均は4,158万円で、前年同月比8.4%の上昇です。首都圏中古マンション成約価格の上昇はこれで22か月の連続です。連続して成約価格の上昇が始まる前の20年5月は3,296万円でしたから、2年足らずの間に26.2%も上がった計算です。
中古マンションの在庫件数は減少から増加に
中古マンション価格の先高感が強いこともあって、「まだまだ上がるのではないか」「今売り出しては損するのではないか」「もう少し待ったほうがいいだろう」と売却希望者の様子見の傾向が強まっています。その結果、需要が強いなかで物件数(在庫件数)が減少、需給の逼迫感が強まり、価格上昇につながっているのではないでしょうか。
首都圏の中古マンション在庫件数は2019年12月から22年1月まで26か月連続で減少が続きました。減少が始まる前には5万件近くだったのが、最近では3万件台まで減少しています。
それがようやく、22年2月に前年同月比2.6%の増加とプラスに転じ、3月も8.5%と増加幅が拡大しました。不動産仲介の担当者などによると、様子見状態から、「そろそろ売り時」と売り出す人が増えて、在庫物件が増えてきたのではないかということのようです。
売り手市場から買い手市場への変化の兆しか
成約価格と在庫価格を比べても、図表2にあるように、21年3月には在庫価格の1㎡単価が63.57万円に対して、成約価格は59.02万円ですから、その差は4.55万円でした。それが22年3月には在庫価格が72.77万円で、成約価格が65.40万円ですから、その差は7.37万円に拡大しています。在庫価格から4、5万円安い価格で成約していたのが、7万円以上安くしないと成約できなくなっているとみることができます。売り手優位の売り手市場一色だったのが、買い手優位の買い手市場への移行が始まる兆しかもしれません。
まだまだ成約価格の月ごとの上下動が激しいので、予断を許さない段階ですが、近く成約価格が頭打ちになって、ピークを迎える可能性がありそうです。
保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
中古一戸建ての在庫は22か月連続の減少
中古一戸建ても図表3にあるように、成約件数が減少するなかで、成約価格の上昇が続いています。
成約件数は22年1月から3月まで前年同月比で二桁台の減少で、1月には1,000件を切りました。在庫件数が大幅に減少して、選択肢が狭くなった結果、成約件数が減少しているものとみられます。決して、需要が減退しているのではないでしょう。
いずれにしろ、首都圏の中古一戸建ての成約件数の減少は、20年6月から22か月連続になります。
中古一戸建て価格は「まだまだ上がる」と様子見する人が多く、なかなか市場に物件が増えないため、需要が供給を上回る状態が続き、価格が上昇しているのです。
中古一戸建ては売り手市場が続いている
2022年3月の首都圏の中古一戸建ての成約価格の平均は3,741万円ですが、図表4にあるように、在庫物件の平均は4,449万円です。その差は708万円ですから、それなりの値引き交渉が行われていると推測されます。
それでも、直近で在庫価格が最も高かった21年12月には在庫価格が4,466万円で成約価格は3,564万円でした。その差は902万円でした。
それに比べると2022年3月の在庫価格と成約価格の格差は小さくなっているのです。それだけ値引き交渉の余地が小さくなっているわけで、中古一戸建て市場では依然として売り手優位の、売り手市場が継続しているとみることができそうです。
市場動向を見極めてタイミングを見つける
首都圏の中古住宅市場では、成約件数が減るなかで、成約価格の上昇が続いていますが、マンションは在庫価格と成約価格の格差が大きくなっており、そろそろ市場の需給関係に変化の兆しがみられるようです。間もなく価格の上昇がピークを迎える可能性もありそうです。
ただ、そうはいってもピークを迎えてすぐに価格下落が始まるとは考えにくく、当分は高値が続くでしょうから、価格上昇か高値横ばいのなかで売り買いのタイミングをつかむようにしたいところです。
また一戸建てについては在庫価格と成約価格の格差がない状態が続いており、タイトな需給関係のなかで、いましばらく価格上昇の勢いが継続されそうです。買うならさらなる値上がり前に早めに行動したほうがいいでしょうし、売却するならもう少し様子を見てもいいかもしれません。ただし、市場の動向を常にウォッチングしてタイミングをはずさないようにしましょう。
保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
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