三大都市圏 築年帯別に見る駅別利回り分布の分析

東京カンテイが、利回りをリスクの側面から判断した場合に築年やエリアによってどのような違いが生じているのかを調査し、築年が経過しても利回りが上がらない駅=賃料下落より価格下落が緩やかな駅として分析しました。
首都圏:低利回りを維持する=価格のさがりにくい駅はJR山手線の内側から西に広がっている。
中部圏:経年を経ても利回りが下がらない駅=価格が下がりにくい駅は市営地下鉄名城線「久屋大通」。
近畿圏:築年を経ても利回りが下がらない駅=価格が下がりにくい駅は京都市、大阪市、阪神間に存在。

築年帯別に見る駅別利回り分布の分析

首都圏:低利回りを維持する=価格の下さがりにくい駅はJR山手線の内側から西に広がっている

築30年でも利回り5%未満の低利回り=価格下落リスクの小さい駅は城西方面に分布している

下図は直近3年に中古流通したマンションのうち築年が30年のもの(築年29年超31年未満)と同時期に発生した賃料事例のうち築年が30年のもの(築年29年超31年未満)によって算出した築30年中古マンション利回りの駅別(352駅)分布である。利回りが4%未満(青色のドット)の駅は僅か4駅である。これらは都営地下鉄大江戸線「牛込神楽坂」(3.69%)、東京メトロ南北線「麻布十番」(3.92%)、東京メトロ日比谷線「広尾」(3.73%)、東京メトロ半蔵門線「半蔵門」(3.81%)である。極めて限定的な都心の高級物件立地に限られている。また、利回り4%台の緑色のドットの駅は63駅と築年の浅いケースと比べて大きく駅数を減少させている。平均の利回りは築30年になると首都圏では6.19%まで上昇し、全体的には賃料の下落より価格の下落が大きい駅が増え、利回りが上昇する傾向となるが、低利回りを維持し、価格下落リスクの小さい緑色のドットの駅は東京23区から城西方面の周辺地域まで広がっている。

首都圏30年中古マンション利回り水準分布

首都圏の築30年の平均利回りは6.19%。5%未満の駅はかなりリスクが小さいとみられる

築年帯別の平均利回りは新築時から築30年までに4.44%→5.18%→5.81%→6.19%と上昇する。平均坪単価は新築時から築30年までに284.8万円→208.5万円→138.2万円→131.6万円(指数100.0→73.2→48.5→46.2)と低下するのに対し、平均坪賃料は月額10,536円→9,000円→6,690円→6,790円(100.0→85.4→63.5→64.4)とかなり緩やかに低下するため、利回り自体は上昇する。

首都圏の築年帯別の平均利回り

首都圏のランキングで常に上位に入っている駅はJR山手線「目黒」、「恵比寿」、東急東横線「代官山」、東京メトロ南北線「麻布十番」である。このほかにも「広尾」や「半蔵門」、「六本木」が該当する。これらの駅にみられる共通点はブランド力や交通利便性は言うまでもないが、開発が間断なく続いていたり、オフィスが更に集中度合いを高めている「東京」「大手町」などへのダイレクトアクセスが可能な駅である。また、駅周辺のエリアが魅力的な街として老若男女を問わず引きつける力があることである。

首都圏のランキングで常に上位に入っている駅

利回りが同数値の場合は小数点以下3位の数値で順位を確定させた。

中部圏:経年を経ても利回りが下がらない駅=価格が下がりにくい駅は市営地下鉄名城線「久屋大通」

築30年でも利回り5%未満の低利回り=価格下落リスクの小さい駅はピンポイント的に存在する

下図は直近3年に中古流通したマンションのうち築年が30年のもの(築年29年超31年未満)と同時期に発生した賃料事例のうち築年が30年のもの(築年29年超31年未満)によって算出した築30年中古マンション利回りの駅別(40駅)分布である。利回りが4%未満(青色のドット)の駅はなく、利回り4%台の緑色のドットの駅が僅かに1駅のみ存在する。名古屋市営地下鉄名城線「久屋大通」(4.65%)は、築20年中古マンションでは事例がなかったが、築年時の利回りが5.93%→築10年中古マンション時の利回りが5.50%と、集計結果では築年が古くなるほど利回りが低下する希有な駅となっていることがわかる。中部圏平均と比べても同駅の流通坪単価の下落は緩やかである。「久屋大通」という駅の持つポテンシャル、交通利便性、商業性の高さ、「栄」までの近さなどを考えると、同駅が名古屋市の中でも優良な立地であることが理解できる。

中部圏 築30年中古マンション利回り水準分布

中部圏の築30年の平均利回りは8.05%。6%未満の駅はかなりリスクが小さいとみられる

中部圏の築年帯別の平均利回りは新築時から築30年までに5.18%→6.32%→7.42%→8.05%と上昇する。平均坪単価は新築時から築30年までに185.5万円→119.6万円→72.7万円→64.4万円(指数化する100.0→64.4→39.1→34.6)と低下するのに対し、平均坪賃料は月額8,021円→6,301円→4,498円→4,317円(100.0→78.6→56.1→53.8)と相対的に緩やかに低下するため、利回り自体は上昇する傾向となる。ただし賃料水準は築30年目には半額程に低下する。

中部圏の築年帯別の平均利回り

中部圏のランキングで常に上位に入っている駅は名古屋市営地下鉄桜通線「高岳」、東山線「東山公園」、名城線「本山」である。このほかにも「久屋大通」や「新瑞橋」などが名を連ねる。これらの駅に見られる共通点は名が通った住宅地であることや「名古屋」や「栄」など主要駅へのアクセスの良さ、開発の発展の有無、環境の良さなどである。また、各エリア共通の要素ではあるが、駅周辺が魅力的な街として多くの人を常に引きつける力があることである。中部圏は上位10位のランキングを掲出したのみであったがそれでも住宅地として高く評価され利回りが低い=リスクが低いと評価されている駅は限られていることが明らかである。上位駅の中に名古屋駅の西側に位置する駅が皆無であることも大きな特徴となっている。

中部圏のランキングで常に上位に入っている駅

利回りが同数値の場合は小数点以下3位の数値で順位を確定させた。

近畿圏:築年を経ても利回りが下がらない駅=価格が下がりにくい駅は京都市、大阪市、阪神間に存在

近畿圏の築30年でも利回り5%未満の低利回り=価格下落リスクの小さい駅は東京駅の北側エリア

下図は直近3年に中古流通したマンションのうち築年が30年のもの(築年29年超31年未満)と同時期に発生した賃料事例のうち築年が30年のもの(築年29年超31年未満)によって算出した築30年中古マンション利回りの駅別(173駅)分布である。
利回りが4%未満(青色のドット)の駅は京都市営地下鉄烏丸線の「烏丸御池」(3.98%)のみとなっている。後に詳しく述べるが、「烏丸御池」は築年を経て賃料水準が下がっても利回りの変化がほとんど生じない代表的な駅である。このような傾向は価格が賃料以上に下落せず、マンション購入に関するリスクがかなり小さい駅と言える。利回り4%台の緑色のドットの駅は5駅で、阪急京都線「河原町」(4.13%)、大阪市営地下鉄谷町線「阿倍野」(4.73%)、千日前線「桜川」(4.68%)など、元々低利回り体質の駅が並ぶ。

近畿圏 築30年中古マンション利回り水準分布

近畿圏の築30年の平均利回りは7.46%。6%未満の駅はかなりリスクが小さいとみられる

近畿圏の築年帯別の平均利回りは新築時から築30年までに4.92%→5.57%→6.87%→7.46%と上昇する。平均坪単価は新築時から築30年までに196.5万円→142.4万円→82.1万円→74.7万円(指数100.0→72.5→41.8→38.0)と低下するのに対し、平均坪賃料は月額8,055円→6,610円→4,699円→4,644円(100.0→82.1→58.3→57.7)と比較的緩やかに低下するため、利回りは上昇する。

近畿圏の築年帯別の平均利回り

近畿圏のランキングで常に上位に入っている駅は京都市営地下鉄烏丸線「烏丸御池」、東西線「京都市役所前」、阪急神戸線「岡本」、阪急今津線「門戸厄神」である。このほかにも「阿倍野」や「河原町」、烏丸線「丸太町」も同様である。これらの駅の共通点は大阪市、京都市、阪神間の中心駅であること、駅や周辺の街にブランド力があること、大規模再開発などが行われているエリアか再開発が間断なく続いているエリアである。近畿圏の中では大阪市に代表されるように急速にマンションが供給され、オフィス街から居住可能エリアに変貌したという変化が起こったエリアがあるが、大阪市内には古くからの住宅適地として評価される「谷町筋」に低利回り駅が集中していることからも、このようなリスクの多寡の評価は一朝一夕には出来上がらず、急激に評価がかわることも少ないと言える。

近畿圏のランキングで常に上位に入っている駅

利回りが同数値の場合は小数点以下3位の数値で順位を確定させた。

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当記事出典元

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2017年10月31日配信)」の情報を元に掲載しております。
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