どんな不動産を購入するか? 都心 or 地方の比較

不動産投資の種類は本当に様々だということは、数多くの書籍等が出ていることからもお分かりになろうかと思います。いわゆる王道と言われる方法から個性的なものまであるなか、前回は多くの方が興味を持たれる「一棟物件 or 区分所有」についてのご紹介をしました。
今回は「都心 or 地方」を取り上げてみます。こちらも前回同様、よくいただくご質問のひとつです。
※記事内に掲載している写真はすべてイメージです。

都市&地方

<都心 or 地方>

双方の大きな違いのひとつは、賃貸収入(インカム・ゲイン)と売却損益(売却益:キャピタル・ゲイン、売却損:キャピタル・ロス)のバランスです。

一般的に、都心物件は地方に比べ利回りが低くなる傾向で、後々の売却時の売却益(キャピタル・ゲイン)を期待しているケースが多いようです。例外としてリーマンショック後などは都心でもある程度不動産価格が下落し、利回りが見込めたため、最終的な賃料収入を現在よりも大きく得ることはできていました。そのかわり売買の市況が悪かったので、売却益に期待することよりも、長期的に保有し賃料収入を得ていくスタンスの方が多かった印象です。
地方物件の場合は都心よりも利回りが高めのことが多いので、都心に比べ少ない投資で収益を得ることは可能です。ただし昨今の売買や賃貸の市況の状況によっては、売却時に売却損が大きくなる可能性も。その点も含めて購入を検討する必要があります。
もちろん、これらはあくまで一般論であって個々の物件により状況は変わりますし、収益性以外に相続税評価額が下がるという効果も期待できます。

上記のような違いがあるため、都心不動産は、何か経費がかさむことがあった場合に借入があると少ない賃貸収入インカムゲインでは対応しきれない可能性があること、一方地方不動産は売却損キャピタルロスが大きければそれまでの賃貸収入インカムゲインが吹き飛んでしまうリスクがあることを、常に意識しておく必要があります。

都心物件と地方物件の比較

<空室・賃料減少について>

アパートイメージ

一般に、都心の方が空室・賃料減少共に少ないイメージがあろうかと思います。
確かに平均すればそう言えるでしょう。ただ地方であっても、新たな供給が少ない場所であれば需給バランスが保たれ、結果として空室や賃料減少もあまりないということもあります。
地方でよく目にするケースとして注意が必要なのは、賃貸先が限られている場合です。特定の企業や学校による需要だけに頼ったものはリスクが高くなります。移転などによりそれらがなくなってしまうと賃貸経営自体が全く成り立たなくなってしまいますから、何かしらの戦略が無くては難しい「投資」です。

都心は需要が多いというのは事実ですが、供給もそれなりに多くなりますので、需給バランスは常に気にしておきたいところです。賃貸市場は玉石混交で、入居待ちとなるほどの人気物件がある一方、都心であっても競争力が弱ければ空室期間が長引くものもあります。
また、「都心では賃料が上がっている」というニュースやデータがあったとしても、ほんの一部の高額賃料物件が全体の平均を引き上げているという場合もあります。
市況の大きな流れだけではなく、実際の物件がある地域の状況について調べてみることが大切です。

<売却想定について>

いわゆる「出口」を考える場合、都心であれば、資産家、地主の方、相続対策による購入、会社員の方など、地方の方含め需要が幅広いことが特徴と言えます。
地方の場合は都心に比べて基本的に購入希望者層が厚いとは言えず、需要は限られます。
都心不動産の価格が高止まりしている時期などは、まだ価格が上がりきっていない地方不動産に目を向ける方も増える傾向がありますが、市況が反転すると需要が一気に冷え込むこともあるので注意が必要です。

<保有コストについて>

地方では、賃料収入に占める経費の割合が高くなりがちです。仮に賃料が都心の2/3だからといって、かかる経費もそうなるわけではないからです。
設備故障の修繕・交換費用、退去に伴う原状回復費などは、都心と地方で多少の差こそあれ、賃料に比例するほどの違いにはなりません。
例えば賃料が6万円(都心)と4万円(地方)として、原状回復費のオーナー負担がそれぞれ8万円と同額とすると、資金回収期間は都心、地方それぞれ1.3ヵ月、2 1.8ヶ月という差になります。この差は1回限りではなくランニングコストとして中長期に渡り継続するわけですから、あなどれません。
単純な表面利回りだけではなく、経費を含めた数字を見ることが大切です。

前回・今回に渡り、不動産投資の種類として「一棟物件 or 区分所有」、「都心 or 地方」という2つの視点を取り上げました。
2000年以降多様化してきている不動産投資は、種類や方法も多岐に渡り、一概にこうと言い切れない部分もあります。
それぞれ注意点なども異なってきますので、まずは基本となる考え方を理解した上で、ご自身に合うものを選択し深堀りしていくと良いでしょう。

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