今、不動産投資は旬なのか?

最近、FIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉をよく耳にします。若いうちに経済的に自立し、仕事を辞めるという生活スタイルを意味しているそうですが、これを達成するために不動産投資にトライしようという方が増えているようです。一方で、不動産価格上昇はもう限界に近く、不動産投資にはよい環境とは言えないのではないかという意見もあります。

今、不動産投資は旬なのか?

売買価格と賃料の推移

不動産投資市場のトレンドを理解するためには、建物面積1m2あたりの売買価格と賃貸面積1m2あたりの賃料の推移を見ることが有効な方法です。
 中古マンションと一棟アパート(投資対象が数戸~十数戸の部屋数がある建物全体)を見てみましょう。図表1のグラフは東京23区の中古マンション売買価格とマンション賃料の推移を表したものです。売買価格は、2012年後半から上昇傾向が継続し、2007年後半のピークを大きく上回っています。一方マンション賃料は、2013年以降、上昇傾向が続きますが、2008年のピークには到達していません。

図表1 東京23区中古マンション売買価格とマンション賃料推移

売買価格の上昇が続いていること、賃料よりも売買価格のほうが上昇したことから、中古マンション投資の利回り低下が顕著となっており、「これまでのような価格上昇はもう続かないのではないか」という意見が出ているようです。

図表2は23区の一棟アパートに関するグラフです。アパート賃料は2009年の水準に到達していることから、そろそろピークに達する可能性もありそうです。賃料がピークになると予想する投資家からすると、強気な価格提示が難しくなることから、売買価格は今年になって下落した可能性があります。

図表2 東京23区一棟アパート売買価格と賃料推移

グラフを見ると、マンションの売買価格は上がりすぎているように見えますが、今がピークなのかは分かりません。一棟アパートの売買価格も、再び上昇しないとは言い切れません。過去トレンドだけで不動産投資の旬を判断するのは難しいのです。

よい物件を見つけたときも「旬」といえる

一方で、不動産投資に慣れている方は、市場のトレンド以上に、個別物件の投資採算に注目しています。
例えば、相場と比較して割安で売られている物件が最も分かりやすい例です。少しの投資や工夫で賃料アップが見込める、あるいは運営コスト削減が見込める物件も投資対象として妙味があります。空室の多い物件でも、空室を解消できるアイデアがあれば、これも投資採算のよい物件になります。
こうした物件に気づくためには、価格と賃料の相場について理解し、一般的な運営コストにも精通していなければなりません。そのうえで収支改善の方法を複数考え、最も少ない投資で最も収支の改善が期待できる方法を採用しましょう。
物件情報は不動産会社から入手しますが、その物件が投資に見合うかどうかの判断に必要な相場感、運営コスト感や、借主に人気のある改修工事例などについても不動産会社との付き合いの中で情報を蓄積していくのが一般的です。信頼できる不動産会社を一つ持っておき、日頃から懇意にしておくことが重要です。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

投資家本人にも旬がある

投資家自身が投資するタイミングとして旬かどうかという考え方もあります。例えば、老朽化した賃貸不動産しか保有していない人は、築年数の浅い賃貸不動産に買い替えたほうが投資効率は上がるかもしれません。少なくとも築浅物件のほうが賃貸市場での競争力はありますし、建物が新しければ、減価償却費という現金支出のない経費を差し引けますので節税メリットも享受できます。
あるいは、保有資産の多くが現金や預貯金だという人の場合、ほとんど収益を生まない資産運用しかできていないため、不動産投資や他の金融資産への投資は検討に値します。最近、インフレが懸念されていますが、インフレはお金の価値が下がることを意味します。不動産はインフレに強いとも言われており、現金を保有し続けるより一部を不動産に振り替えることも選択肢の一つとなるはずです。
いずれにしても、不動産投資を検討する場合は個別物件の投資採算を無視できませんので注意が必要です。

目利き力と相談できるパートナーとの関係構築が重要

2010年頃、不動産価格が低迷していたときも、まだ下がるのではないかと、投資に踏み出せなかった人も多いと言います。そうした中でも個別不動産を吟味し投資をした人が成功しているのです。結局、不動産投資は、市場全体の動向だけでなく、個別物件を吟味し、自分自身が不動産投資をするタイミングにあるかどうかを総合的に検討することが大切なのだと思います。実際、不動産投資を上手に実践している方は、自ら不動産投資を学び、不動産会社や税理士などの専門家との関係構築に力を注ぎ、旬を見極めているのです。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

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