新築・中古マンション市場~マンション・一戸建て住宅データ白書2024
東京カンテイが「マンション・一戸建て住宅データ白書2024」を発表しました。
2024年の新築マンション供給戸数は全国で3年連続減少しています。
全国新築マンション供給戸数
2024年の新築マンション供給戸数 全国は-12.0%の70227戸 3年連続の減少
首都圏は-10.2%、中部圏は-2.9%、近畿圏は-2.9% 三大都市圏すべてで供給減
首都圏(1都3県)
首都圏では2024年に34,114戸が供給され、前年の37,971戸と比べ-10.2%(-3,857戸)と3年連続で減少した。新型コロナ禍初年の2020年を下回る水準で、1980年以降最も少ない供給戸数となった。地域別に見ると、東京都は17,386戸で前年比-20.2%、神奈川県は8,743戸で-5.0%とそれぞれ減少した。一方、埼玉県は3,461戸で+2.6%、千葉県は4,524戸で+25.2%とそれぞれ増加している。前年は1都3県のすべてで供給戸数が減少していたが、2024年は増加エリアと減少エリアが二分化する動きが見られた。価格上昇の影響で供給立地が郊外化し、埼玉県や千葉県の供給戸数が増加したものとみられる。
中部圏(東海4県)
中部圏では2024年に5,996戸が供給され、前年の6,178戸と比べ-2.9%(-182戸)減少した。地域別に見ると、愛知県は5,021戸で-3.3%と2年連続の減少、岐阜県は122戸で±0.0%の横ばい、三重県は210戸で-44.1%と大きく減少した。一方、静岡県は643戸で+31.8%と中部圏で唯一増加した地域となった。増加傾向にあった中部圏の新築供給戸数は2023年に減少に転じ本年も低い水準が継続された。
近畿圏(2府4県)
近畿圏では2024年に15,522戸が供給され、前年の16,609戸と比べ-6.5%(-1,087戸)減少した。地域別に見ると、大阪府は8,853戸で-9.8%、兵庫県は3,992戸で+20.4%、京都府は2,002戸で-7.2%と中心府県においては兵庫県を除く地域で減少している。その他の地域では滋賀県が502戸で-31.9%、奈良県が147戸で-70.8%、和歌山県が26戸で-66.7%といずれも大きく減少した。
※2024年の数値は速報値。2023年の数値は確定値として前年調査から修正。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
首都圏
新築マンション一戸平均価格は前年比-0.8%の7,830円 新築平均単価は-1.8%
中古マンション一戸平均価格は+2.3%の4,369円 中古平均単価は-0.1%
一戸平均価格は新築が僅かに下落したものの高値を維持 中古は上昇傾向が続く
2024年に首都圏で供給された新築マンションの一戸平均価格は7,830万円(速報値)となり、前年の7,896万円から-0.8%と僅かに下落した。上昇傾向から下落に転じたものの、2年連続で7,000万円台後半の高値を維持している。前年から引き続き東京都心部を中心とした高額物件の供給や、首都圏全体の供給戸数の減少による影響で新築マンションの付加価値が高まり2022年以前の価格水準を大きく上回る結果となった。平均専有面積は62.60m²で前年の61.99m²から+1.0%と4年連続で拡大した。平均坪単価は前年比-1.8%の413.5万円と下落したものの、400万円台の水準を維持している。2024年の首都圏の新築マンション価格は一戸平均価格、平均坪単価のいずれも下落に転じたものの、それぞれ僅かな下落にとどまっていることから高止まりの状況にあるといえる。
2024年に首都圏で流通した中古マンションの一戸平均価格は4,369万円となり、2023年の4,270万円から+2.3%上昇した。2014年以降価格は上昇し続け、本年に直近の最高値を更新している。高額化に拍車がかかる新築マンションに手が届かない層の受け皿として、中古マンションの購入ニーズは引き続き堅調に推移している。平均専有面積は61.27m²で前年の59.85m²から+2.4%と2年連続で拡大し、4年ぶりに60m²台の水準となった。2014年以降は概ね60m²前後で推移していることから、中古流通する物件の面積帯はバラつきが少なく安定した状況が続いているといえる。平均坪単価は前年比-0.1%の235.7万円と僅かに下落し2015年以降の連続上昇に歯止めがかかったものの、4年連続で200万円台を維持した。
※2024年の数値は速報値。2023年の数値は確定値として前年調査から修正。

新築・中古マンションの専有面積帯別シェア推移 新築は30㎡未満のシェアが3年連続で縮小
新築マンションは30m²未満のシェアが直近3年間で18.4%→11.4%→8.6%と連続で縮小し、2024年には10%を下回った。投資用物件で重要視される交通利便性の高い用地の取得が難しくなっていることに加え、近年の急激な価格上昇の影響による利回りの低下など複合的な要因で30m²未満のシェアが縮小しているものと考えられる。2019年以降の推移を見ると、2022年を境に50m²未満の物件シェアが縮小し、50m²以上の物件シェアが拡大し続けているため、今後もこのような傾向が継続していくのかが注目される。中古マンションは各シェアにおける前年からの変動はいずれも僅かにとどまり大きな変化は見られなかった。2024年は60m²を境にシェアの変動に規則性が見られる。30m²未満が12.5%→11.1%、30m²以上50m²未満が15.8%→14.4%、50m²台が16.3%→16.0%とそれぞれ縮小したのに対し、60m²台は21.4%→22.0%、70m²台が20.1%→21.4%、80m²以上100m²未満が10.9%→11.9%、100m²以上が3.0%→3.2%といずれも拡大している。このことから2024年は60m²以上のファミリータイプの中古流通が前年に比べ拡大していたことがわかる。

新築マンションの徒歩時間別供給シェア推移 4~7分のシェアが大幅に縮小
2024年は3分以内のシェアが18.3%→19.8%と拡大したものの、4分~7分のシェアが43.3%→35.5%に縮小した。両シェアの合計は2021年から縮小傾向で2023年に反転拡大したが、2024年は61.6%→55.3%と再び縮小に転じている。新型コロナ禍の影響が薄れた昨今においては交通利便性が高い駅近物件のニーズがより高まっているが、用地取得難と価格高騰の影響により駅近用地の安定した仕入れが難しい状況にあることが窺える。2024年の最寄駅からの平均徒歩時間は7.6分で前年の7.3分から+0.3分とやや長くなったものの、2019年以降は例年7分前後の平均徒歩時間であることから大きな水準の変化はなかったといえる。

中部圏
中部圏 新築マンションの一戸平均価格は前年比+27.6%の5,015万円 新築平均坪単価は+8.2%
中古マンション一戸平均価格は-1.4%の2,247万円 中古平均坪単価は-1.9%
新築マンションの一戸平均価格が大きく上昇し5,000万円台の水準に
2024年に中部圏で供給された新築マンション一戸平均価格は5,015万円(速報値)で前年の3,931万円から+27.6%と大きく上昇し、5,000万円台の水準に達した。名古屋市において大手デベロッパーから高額物件の供給が相次いだことが価格上昇の要因である。平均専有面積は63.16m²で前年の53.57m²から+17.9%と大幅に拡大している。平均坪単価は前年比+8.2%の262.5万円となり、直近の最高値を更新した。中部圏においても他の都市圏同様に供給戸数の減少と高額物件バイアスによって、価格水準が大きく上昇している。
2024年に中部圏で流通した中古マンションの一戸平均価格は2,247万円となり、前年の2,278万円から-1.4%下落した。これまでの上昇傾向から一転し下落に転じている。平均専有面積は71.94m²で前年の71.53m²から+0.6%と2年連続でそれぞれ僅かに拡大した。2014年以降は概ね71m²前後で推移しており、中古流通する物件の面積帯に大きな水準の変化は起きていないといえる。中部圏では2021年以降新築マンションの平均専有面積が縮小傾向にあり50m²台~60m²台前半で推移しているため、中古マンション市場はファミリー層の受け皿になっていると考えられる。平均坪単価は前年比-1.9%の103.3万円に下落し、一戸平均価格と同様に上昇傾向に歯止めがかかり下落に転じた。
※2024年の数値は速報値。2023年の数値は確定値として前年調査から修正。

新築・中古マンションの専有面積帯別シェア推移 新築は30㎡未満のシェアが著しく縮小
中部圏は首都圏や近畿圏と比べ、各年の供給物件における専有面積のバラつきが多く、2019年以降は各専有面積帯のシェアの変動も大きいためトレンドが掴みにくい状況となっている。2024年に中部圏で供給された新築マンションを専有面積帯別に見ると、ワンルームマンションが中心となる30m²未満のシェアの変動が最も大きいことが確認できる。2022年以降の推移を見ると41.2%→34.6%→6.2%と2年間で著しく縮小している。一方で30m²以上の各専有面積帯のシェアはすべて前年から拡大しており、2024年の中部圏の平均専有面積が前年比+17.9%と大きく拡大した要因がはっきりと現れている。中古マンションは、各シェアにおける前年からの変動はいずれも僅かにとどまり大きな変化は見られなかった。60m²未満の面積帯では、30m²未満が5.8%→4.9%と縮小し、30m²以上50m²未満が7.5%→8.1%、50m²台が8.4%→8.5%とそれぞれ拡大した。60m²以上のファミリータイプでは、60m²台が16.7%→16.6%、70m²台が29.4%→29.3%とそれぞれ僅かに縮小した。一方、80m²以上100m²未満は26.8%→26.9%、100m²以上は5.4%→5.7%といずれも拡大している。

新築マンションの徒歩時間別供給シェア 駅前大規模物件の供給で3分以内のシェアが拡大
中部圏では名古屋市の駅前大規模物件の供給が多数なされており、3分以内のシェアが23.8%→37.4%と大幅に拡大し2024年の最大シェアとなった。一方で4分~7分のシェアは48.2%→34.3%と大幅に縮小している。両シェアの合計は72.0%→71.7%と前年から僅かに縮小したものの、三大都市圏の中では中部圏が最も高い値となっている。車社会で一戸建て住宅のニーズが高いエリアであるが、マンションにおいては他の圏域と同様に交通利便性の高い駅近にニーズがあることが窺える。また、8分~11分のシェアは19.5%→17.0%、12分~15分は8.5%→10.7%とそれぞれ僅かな変動にとどまっている。2024年の最寄駅からの平均徒歩時間は6.0分で前年の6.1分から-0.1分と僅かに短くなった。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
近畿圏
新築マンション一戸平均価格は前年比+23.9%の6,201万円 新築平均坪単価は+17.9%
中古マンション一戸平均価格は+0.8%の2,781万円 中古平均坪単価は-0.6%
新築マンションは一戸平均価格、平均坪単価のいずれも大きく上昇
2024年に近畿圏で供給された新築マンション一戸平均価格は6,201万円(速報値)で前年の5,003万円から+23.9%と大きく上昇し、6,000万円台の水準に達した。一戸価格が1億円を超える物件の供給割合が増加したことによる影響である。平均専有面積は64.00m²で前年の60.88m²から+5.1%拡大した。平均坪単価は前年比+17.9%の320.3万円と8年連続で上昇し、300万円を超える水準となった。近畿圏においても首都圏と同様に高額物件が多数供給されたことで価格水準を大きく押し上げる動きが見られた。
2024年に近畿圏で流通した中古マンションの一戸平均価格は2,781万円となり、前年の2,758万円から+0.8%と僅かに上昇した。2015年から上昇傾向が継続し新型コロナ禍の2021年以降には上昇度合いが一段と加速する動きが見られたが、この伸びは2024年に鈍化する格好となった。平均専有面積は66.31m²で前年の65.37m²から+1.4%と2年連続で拡大した。平均坪単価は前年比-0.6%の138.6万円となった。僅かな変動ではあるが、これまでの上昇傾向に歯止めがかかり平均坪単価は下落に転じた。
※2024年の数値は速報値。2023年の数値は確定値として前年調査から修正。

新築・中古マンションの専有面積帯別シェア推移 新築・中古ともにコンパクトタイプのシェアが縮小
新築マンションは30m²未満のシェアが前年から17.5%→12.0%と縮小し、2019年以降最も低い値となった。その一方で60m²以上では60m²台が24.5%→27.5%、70m²台が28.5%→30.9%、80m²以上100m²未満が10.7%→11.4%、100m²以上が2.2%→2.8%とすべての専有面積帯でシェアが拡大している。首都圏と同様に用地取得難や利回り低下の影響でワンルームマンションの供給が減少したものとみられ、結果としてファミリー向けを中心とした専有面積帯におけるシェアが拡大したものと考えられる。中古マンションは各シェアにおける前年からの変動はいずれも僅かにとどまり大きな変化は見られなかった。2024年は50m²を境にシェアの変動に規則性が見られる。30m²未満が10.5%→8.9%、30m²以上50m²未満が6.7%→6.5%とそれぞれ縮小した。一方、50m²台は12.0→12.3%、60m²台は27.7%→28.2%、70m²台が23.7%→24.2%、80m²以上100m²未満が15.8%→16.1%、100m²以上が3.6%→3.8%といずれも拡大している。首都圏と境目は異なるものの、コンパクトタイプのシェアが縮小しファミリータイプが拡大する傾向は同様である。

新築マンションの徒歩時間別供給シェア 駅前大規模物件の供給で3分以内のシェアが拡大
2024年は近畿圏の中心府県から駅前大規模物件の供給が多数なされたため、3分以内のシェアが28.5%→35.0%と拡大し2024年の最大シェアとなった。4分~7分のシェアは39.9%→33.2%と縮小し、両シェアの合計は68.4%→68.2%と僅かに縮小したものの、7分以内のシェアが近畿圏の新築マンション市場の3分の2以上を占める状況に変わりはない。また、8分~11分のシェアは23.4%→21.5%、12分~15分は7.0%→7.9%、16分~19分は1.1%→2.4%とそれぞれ若干の変動にとどまっている。2024年の最寄駅からの平均徒歩時間は6.1分と前年から変動していない。2019年以降の平均徒歩時間は例年6分台であることから、本年も大きな変化はなかったといえる。

当記事出典
当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2025年1月30日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
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