2022年 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)
東京カンテイ 中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率の最新データを公表
首都圏 2022年下期の価格乖離率は-5.58%、4期ぶりに5%台へ
売出・取引価格ともに大幅上昇する一方で、売却期間は通年で再び3ヵ月間を上回る状況に
中古マンションの価格乖離率&売出→成約までの期間
首都圏における2022年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が4,432万円(前期比:+6.6%)、取引価格が4,217万円(同+6.2%)と揃ってプラス、上昇率自体も拡大した。一方、売出・取引事例の価格乖離率※は-4.85%と前期から0.30ポイント拡大した。
2020年下期以降は一貫して“売り手市場”の様相を呈していたが、2021年下期を境に価格高騰に伴って在庫数の増加や価格改定の動きなど反響に鈍さも出始めている。2022年下期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が4,838万円(同+9.2%)、取引価格が4,568万円(同+8.3%)と、さらに押し上がったが売出・取引事例の価格乖離率は-5.58%と4期ぶりに5%台まで拡大している。
売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2022年上期には3.11ヵ月と2期ぶりに3ヵ月間を上回り、下期には3.22ヵ月と売却期間が徐々に伸びつつあるが、新型コロナ前に比べると依然として短い状況となっている。
直近においてはロシアによるウクライナ侵攻を契機に中古マンション価格も一段高となっているが、水面下では在庫数の増加、価格改定シェアや値下げ率の拡大など、価格調整に向けた動きも強まってきている。ただし、都心や駅近に立地する物件、億ションや築浅物件などに関しては資金に余裕がある購入層からのニーズを集めている。
売却期間の違いによる価格乖離率とそのシェア
首都圏における2022年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-2.62%であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-3.58%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から4%以下の値下げで成約に至っていたことになる。2021年の調査結果と比べ、大半の売却期間において価格乖離率が僅かに拡大、今回の調査では一部の売却期間(8ヵ月や11ヵ月)で価格乖離率が-10%を超えていた。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは40.7%(2021年:45.8%)で、前年から5ポイント以上もシェアが縮小した。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは66.5%(同69.1%)と、こちらもやや縮小したが、概ね2/3を占めている状況に変わりない。
売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには85.1%(同84.1%)のケースで成約に至っていた。
次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合で最もシェアが大きかったのは「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」の42.7%で、次いで「-5%以内」の35.2%となっている。前回の調査と同様に「0%」が最大シェアとなったが、「-5%以内」とともにシェアがやや縮小する結果となった。売却期間が1ヵ月以内の場合で価格乖離率が-10%を超えるケースの合計シェアは7.7%、一方で売却期間が7ヵ月まで長期化した場合には「-20%超」のシェアが概ね10%に達し始めている。
※中古マンションの「価格乖離率」とは
中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率。
当記事出典元
当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2023年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
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