新築一戸建てと新築マンションの比較~マンション・一戸建て住宅データ白書2024
東京カンテイが「マンション・一戸建て住宅データ白書2024」を発表しました。
一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れています。
首都圏
最寄駅からの駅徒歩所要時間 新築一戸建ては徒歩15分にピーク
全体の供給量が減少する中でも徒歩10分は前年と同程度の供給量
新築一戸建ては徒歩15分以内で供給する傾向が継続 新築マンションは徒歩5分にピーク
最寄駅からの徒歩時間別に2024年に新規分譲された一戸建て住宅と新築マンションの分譲戸数分布を見ると、一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れる。(バス便物件を除いて25分まで集計)
新築一戸建て住宅の徒歩時間については、首都圏において15分以内で供給する傾向が継続し、ピークとなっている徒歩15分で3,995戸の供給があった。次に多く供給があったのは徒歩13分の3,562戸。また、徒歩14分でも3,552戸が供給された。全体の供給戸数が減少する中でも、徒歩10分において前年と同程度に供給がなされている様子も見られる。
都心部でのマンション価格が高騰する中では、それまで都心部のマンション購入を検討していた実需層の一部が一戸建てにも目を向けるようになり、立地や予算など買い手のニーズは従来よりも広がっていると考えられる。また、資材費や労務費を含む建設費が上昇していることから、供給側の立地選定もより厳しくなっているだろう。
一方、新築マンションでは、首都圏においては引き続き徒歩5分に供給のピークが形成されている。ホテルや商業施設など、マンションは一戸建てよりも駅近の立地をめぐる競合が多い。来年以降も建設費の上昇が見込まれる状況においては、引き続き用地取得は厳しいものになると予想される。

2024年行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング
2024年の首都圏行政区の中で1年間に新築一戸建て住宅が最も分譲されたのは、埼玉県川口市で1,566戸であった。首都圏全体の供給戸数が減少する中でも前年の1,503戸から戸数を伸ばしたが、そのペースは鈍化した。1位となるのは5年連続で、首都圏における一戸建ての最多供給立地として定着している。2位も前年と同じ東京都八王子市で、1,380戸の供給があった。八王子市も前年の1,190戸から増加している。3位は千葉県船橋市の1,229戸で、戸数を前年の1,091戸から伸ばし、順位も5位から押し上げた。4位は東京都練馬区の1,055戸。前年から戸数は減少し、順位も下がった。また、同じ東京23区で1,000戸を割り込んだ東京都足立区が4位から5位に後退した。前年は6都市で1,000戸以上の供給があったが、2024年は4都市へと減少している。
ベスト10の顔ぶれを見ると、前年11位であった神奈川県藤沢市が765戸から821戸へ増加して9位にランクインするという変化があった。前年10位の埼玉県所沢市は778戸から663戸へ減少し、17位に大きく後退した。また、12~14位には前年から比較的大きく順位を上げた都市が並び、いずれも戸数が増加している。ベスト10の中でマンション戸数が増加したのは5都市で、埼玉県川口市と神奈川県藤沢市ではマンション・一戸建てともに増加している。埼玉県川口市では、前年にマンション戸数が大きく減少したため一戸建てメインの立地へシフトした様子が見られたが、2024年は異なる動きとなった。一戸建てのみ増加したのは、2位:東京都八王子市、3位:千葉県船橋市、8位:東京都町田市の3都市。

一戸建て住宅調査対象の条件:(1)敷地面積50~300m²の物件 (2)最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内の物件 (3)木造 (4)土地・建物ともに所有権の物件
対象地域:全国
地域区分:【首都圏】 東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県
保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
中部圏
最寄駅からの駅徒歩所要時間 一戸建てピークは徒歩15分の状況が継続
15分以遠にも一定の供給 新築マンションは徒歩3分と駅近へピークがシフト
新築一戸建は引き続き徒歩15分にピーク 新築マンションのピークは駅近へシフト
最寄駅からの徒歩時間別に2024年に新規分譲された一戸建て住宅と新築マンションの分譲戸数分布を見ると、一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れる。(バス便物件を除いて25分まで集計)
新築一戸建て住宅は、中部圏では引き続き徒歩15分にピークが形成されている。前年に10分→15分とピークが駅遠の方向へシフトしており、2024年もその状況が継続した。また、15分以遠にも一定の供給が見られることが中部圏の特徴である。
都心部でのマンション価格が高騰する中では、それまで都心部のマンション購入を検討していた実需層の一部が一戸建てにも目を向けるようになり、立地や予算など買い手のニーズは従来よりも広がっていると考えられる。また、資材費や労務費を含む建設費が上昇していることから、供給側の立地選定もより厳しくなっているだろう。
一方、新築マンションでは中部圏では、前年は徒歩6分にピークがあったが、2024年は徒歩3分と駅近の方向へシフトした。ホテルや商業施設など、マンションは一戸建てよりも駅近の立地をめぐる競合が多い。来年以降も建設費の上昇が見込まれる状況においては、引き続き用地取得は厳しいものになると予想される。

2024年行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング
2024年の中部圏の第1位は浜松市中央区で505戸の新規供給があった。浜松市は行政区の再編があったため前年との比較ができないが、前年に浜松市としてのランクインはなかった。同区では新築マンションも近畿圏の他の都市と比べ多く供給されている。2位は愛知県春日井市で476戸の供給があった。同市は2017年から2020年まで4年連続で1位となっていたが前年は4位へ後退していた。2024年は戸数を伸ばし、順位も上がった。一方でマンションの新規供給はなく、一戸建てメインの立地状況がより強まった様子である。3位は前年に続き愛知県豊橋市で466戸の供給があった。前年から一戸建て戸数は減少したが、マンション戸数は増加している。前年1位だった愛知県一宮市は4位へ後退した。
中部圏では分譲戸数が前年比-16.9%減少している。ベスト10を多く占める愛知県においても-15.2%減少している中、静岡県は-9.8%と圏域内で最も減少が抑えられていた。こうした動きを表すかのように、2024年は愛知県が静岡県の都市に一戸建て分譲戸数の首位を譲る形となっている。ただし30都市全体を見れば、愛知県は23市区がランクイン(前年22)しており、大きく供給立地の変化が起こったとは言えない。浜松市中央区を除き、前年は登場しなかったが2024年にベスト30位内に入った都市は14位:愛知県江南市を筆頭に、20位:愛知県西尾市、21位:愛知県東海市、26位:愛知県知多市、27位:愛知県刈谷市、29位:愛知県高浜市の6市となっている。

一戸建て住宅調査対象の条件:(1)敷地面積50~300m²の物件 (2)最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内の物件 (3)木造 (4)土地・建物ともに所有権の物件
対象地域:全国
地域区分:【中部圏】 愛知県 岐阜県 三重県 静岡県
近畿圏
最寄駅からの駅徒歩所要時間 一戸建ては10分のピークで増加
新築マンションは引き続き徒歩3分にピーク 一方で4~5分での供給が減少
新築一戸建ては引き続き徒歩10分にピーク 新築マンションは徒歩4~5分での供給が減少
最寄駅からの徒歩時間別に2024年に新規分譲された一戸建て住宅と新築マンションの分譲戸数分布を見ると、一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れる。(バス便物件を除いて25分まで集計)
新築一戸建て住宅の徒歩時間については、近畿圏では徒歩10分にピークがあることは変わらないが、前年の1,204戸から1,333戸へ増加しており、他の区分と差が開いた。近畿圏は駅間が短いため、最寄駅からの所要時間が相対的に近くなるという特徴がある。
都心部でのマンション価格が高騰する中では、それまで都心部のマンション購入を検討していた実需層の一部が一戸建てにも目を向けるようになり、立地や予算など買い手のニーズは従来よりも広がっていると考えられる。また、資材費や労務費を含む建設費が上昇していることから、供給側の立地選定もより厳しくなっているだろう。
一方、新築マンションでは、近畿圏は徒歩3分にピークがあることに変化はないが、徒歩4分や徒歩5分での供給が特に大きく減少し、徒歩6分、7分での供給戸数をいずれも下回った。ホテルや商業施設など、マンションは一戸建てよりも駅近の立地をめぐる競合が多い。来年以降も建設費の上昇が見込まれる状況においては、引き続き用地取得は厳しいものになると予想される。

2024年行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング
2024年の近畿圏1位は大阪府東大阪市で530戸の新規供給があった。戸数自体は前年の527戸から大きく増加したわけではないが、他の都市が減少したことで4位から順位が押し上がる形となった。2位は兵庫県尼崎市の506戸。前年の498戸から戸数を伸ばし、2年ぶりに2位へランクインした。同市は大阪府方面へのアクセス性が高い割に地価が抑えられており、行政も子育て世帯の流入に向けた施策を打ち出している。3位の兵庫県明石市も子育て支援策を受けてファミリー層の人気が高まっているが、戸数が572戸→462戸と減少し、前年の2位から後退した。4位の大阪府高槻市は、戸数が405戸→460戸へ増加するとともに前年から順位を押し上げた。大阪府枚方市は戸数が549戸→426戸へ減少し、順位も落としている。また、前年まで2年連続1位となっていた兵庫県姫路市も586戸→412戸へ減少、6位へ大きく後退した。10位以内ではこのほか、大阪府寝屋川市も前年7位から10位へ後退している。一方で滋賀県大津市が前年11位から9位となり、ベスト10入りを果たした。
ベスト10以下を見ると、15位の大阪府松原市が前年29位から大きく順位を上げている。戸数は143戸→231戸へ増加した。近畿圏では2024年は前年比-7.0%分譲戸数が減少しており、ベスト10のうち兵庫県明石市、大阪府枚方市、兵庫県姫路市、大阪府豊中市、大阪府寝屋川市の5都市で戸数が減少。増加した都市もその動きは比較的小さいものであった。

一戸建て住宅調査対象の条件:(1)敷地面積50~300m²の物件 (2)最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内の物件 (3)木造 (4)土地・建物ともに所有権の物件
対象地域:全国
地域区分:【近畿圏】 大阪府 兵庫県 京都府 滋賀県 奈良県 和歌山県
保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
当記事出典
当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2025年1月30日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
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