新築一戸建てと新築マンションの比較~中古・新築マンション・一戸建て住宅データ白書 2022

東京カンテイが「マンション・一戸建て住宅データ白書2022」を発表しました。
一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れています。新築一戸建て住宅に関してはコロナ禍においても最寄駅からの所要時間については大きな変化が見られず、駅徒歩時間は住宅購入の上で依然として重要視されていることが分かります。

新築一戸建てと新築マンションの比較~中古・新築マンション・一戸建て住宅データ白書 2022

首都圏

最寄駅からの駅徒歩所要時間は新築マンションで駅遠が増加
首都圏の新築一戸建ては15分にピーク 新築マンションは5分にピーク 明確な差が表れる

新築一戸建ては徒歩15分を中心に広く分布、新築マンションは価格高騰で駅近物件が入手難

最寄駅からの徒歩時間別に、2022年に新規分譲された一戸建て住宅と新築マンションの分譲戸数分布を見ると、一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れる。(バス便物件を除いて25分まで集計)新築一戸建て住宅は徒歩時間については、2017年にこの分析を開始して以来一貫してほぼ正規分布している。コロナ禍においても最寄駅からの所要時間については大きな変化が見られず、駅徒歩時間は住宅購入の上で依然として重要視されていることが分かる。

今後も立地に変化は起こらないということはないが、一戸建て住宅は実需で購入する人が多いため、コロナ禍が予想を超えて長期化する中では、生活利便性を犠牲にした住宅購入へのシフトが起こるとは考えにくく、駅徒歩時間を長くするという変化は起こりにくい。また、駅周辺は戸建ての住環境には適さないことや都市計画上高度利用や商業用途を主眼に置いた計画が採用されているエリアが多いことで、かえって一戸建て住宅が供給しにくい環境となっていることなど、一戸建て住宅には独自のロジックが働いていると考えるべきである。

一方、新築マンションでは2022年も引き続き駅徒歩5分以内に強いこだわりを持って供給されていた様子がわかる結果であるが、2022年は山が駅遠の方向へシフトしている動きも見られ、首都圏では前年の3分から5分へ山がシフトした。駅遠物件の増加が前年より多く見られた背景には、ここ数年来の用地取得難に加え、マンション価格の高騰と物価高によって購入者が駅近物件を入手しにくくなったことも挙げられる。

首都圏2022年新築一戸建て住宅と新築マンションの徒歩時間別分譲戸数分布(バス便を除く)

2022年行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング

2022年の首都圏行政区の中で1年間に新築一戸建て住宅が最も分譲されたのは埼玉県川口市で1,382戸であった。川口市は2021年も1,455戸で2年連続1位となっていたが、2022年は、戸数はやや減少したが3年連続で1位を守った。

2位は千葉県船橋市の1,143戸で前年の1,160戸から僅かに減少したものの、順位は変わらず2位となった。3位は東京都練馬区の961戸となった。同区は前年870戸に留まり5位に後退したが3位に戻った。一方前年3位であった東京都足立区は912戸で前年の1,138戸から減少し5位に後退した。

ベスト10位の顔ぶれを見ると、10位に新たに千葉県市川市が加わったのみ(神奈川県藤沢市が10位→12位に後退)でほとんど変動がない。
首都圏では分譲戸数が前年比0.9%減少したが、年間1,000戸以上供給された都市が2021年の4から2に減少した程度で、ランキングの動きから立地の変化などを読み取ることは2022年については難しい。
2021年に指摘したような埼玉県の躍進のような変化も2022年には特段見られず、同じ傾向が維持されたと見るべきだろう。

前年は登場しなかったが2022年にベスト30位内に入った都市は18位の東京都世田谷区を筆頭に25位:葛飾区、26位:杉並区、27位:横浜市戸塚区、28位:さいたま市見沼区となっている。反対に東京都東村山市(前年22位)、埼玉県草加市(27位)、東京都大田区(28位)、埼玉県狭山市(29位)、横浜市港南区(29位)が圏外に去った。

首都圏 2022年行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング

一戸建て住宅調査対象の条件:(1)敷地面積50~300m2の物件 (2)最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内の物件 (3)木造 (4)土地・建物ともに所有権の物件

対象地域:全国
地域区分:【首都圏】 東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県

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中部圏

新築一戸建て・新築マンションの最寄駅からの徒歩時間分布 一戸建てピークが10分に変化
新築マンションは駅徒歩6分が最多 用地取得難に加え価格高騰も影響

新築一戸建ては徒歩9分と10分に山 新築マンションのピークは2分→6分に

最寄駅からの徒歩時間別に、2022年に新規分譲された一戸建て住宅と新築マンションの分譲戸数分布を見ると、一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れる。(バス便物件を除いて25分まで集計)新築一戸建て住宅は徒歩時間については、2017年にこの分析を開始して以来一貫してほぼ正規分布してきたが、中部圏のピークが前年の15分から2022年は10分へと変化した。駅徒歩9分の住宅も前年の880戸から2022年は1,086戸と増加し、2番目の山を作っている。コロナ禍においても最寄駅からの所要時間は住宅購入の上で依然として重要視されている。一戸建て住宅は実需で購入する人が多いため、コロナ禍が予想を超えて長期化する中では、生活利便性を犠牲にした住宅購入へのシフトが起こるとは考えにくく、駅徒歩時間を長くするという変化は起こりにくい。また、駅周辺は戸建ての住環境には適さないことや都市計画上高度利用や商業用途を主眼に置いた計画が採用されているエリアが多いことで、かえって一戸建て住宅が供給しにくい環境となっていることなど、一戸建て住宅には独自のロジックが働いていると考えるべきである。

一方、新築マンションでは2022年も引き続き駅徒歩5分以内に強いこだわりを持って供給されていた様子がわかる結果であるが、山が駅遠の方向へシフトしている圏域も見られ、中部圏では前年の2分から6分へ山がシフトした。駅遠物件の増加が前年より多く見られた背景には、ここ数年来の用地取得難に加え、マンション価格の高騰と物価高によって購入者が駅近物件を入手しにくくなったことも挙げられる。

中部圏2022年新築一戸建て住宅と新築マンションの徒歩時間別分譲戸数分布(バス便を除く)

2022年 行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング

2022年における中部圏の1位は愛知県春日井市で540戸が供給され、前年の2位から順位を押し上げた。前年は500戸が供給されたが、戸数を40戸増加させ、2020年以来2年ぶりに首位に返り咲いた。2位は名古屋市中川区で522戸(前年2位、500戸)、3位は愛知県岡崎市で476戸(前年4位、493戸)となっている。なお、春日井市は2017年から2020年まで4年連続で1位となっており中部圏では1位の常連都市である。

中部圏は分譲戸数が前年比3.5%減少したが、ランキング全体から見ても供給立地の変動は2022年も起こっていない。30位内の31都市のうち24都市が愛知県、静岡県5、岐阜県2という分布で、前年の24市区を愛知県が独占していた状態とほとんど変わらない。ただし年間300戸以上供給があった市区は、2021年は14であったが2022年は10に減少した。愛知県下の郊外都市が多く、元々一戸建ての多い都市に2022年も引き続き新規分譲が行われたと見るべきであろう。

前年は登場しなかったが2022年にベスト30位内に入った都市は13位の愛知県稲沢市を筆頭に、25位:愛知県刈谷市、27位:愛知県安城市、28位:愛知県北名古屋市、29位:愛知県清須市の5市となっている。反対に愛知県碧南市(前年21位)、名古屋市瑞穂区(22位)、名古屋市西区(28位)、愛知県瀬戸市(30位)がそれぞれ圏外に去った。

中部圏 2022年 行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング

一戸建て住宅調査対象の条件:(1)敷地面積50~300m2の物件 (2)最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内の物件 (3)木造 (4)土地・建物ともに所有権の物件

対象地域:全国
地域区分:【中部圏】 愛知県 岐阜県 三重県 静岡県

近畿圏

新築一戸建て・新築マンションの最寄駅からの徒歩時間分布 一戸建ては10分をピークに正規分布
コロナ禍でも立地重視の傾向続く 新築マンションは徒歩3分が最も多くなる

新築一戸建ては徒歩10分を中心に広く分布、新築マンションは駅近と駅遠に散らばる

最寄駅からの徒歩時間別に、2022年に新規分譲された一戸建て住宅と新築マンションの分譲戸数分布を見ると、一戸建て住宅とマンションでは立地選択の差異が明確に表れる。(バス便物件を除いて25分まで集計)新築一戸建て住宅は徒歩時間については、2017年にこの分析を開始して以来一貫してほぼ正規分布している。コロナ禍においても最寄駅からの所要時間については大きな変化が見られず、駅徒歩時間は住宅購入の上で依然として重要視されていることが分かる。

今後も立地に変化は起こらないということではないが、一戸建て住宅は実需で購入する人が多いため、コロナ禍が予想を超えて長期化する中では、生活利便性を犠牲にした住宅購入へのシフトが起こるとは考えにくく、駅徒歩時間を長くするという変化は起こりにくい。また、駅周辺は戸建ての住環境には適さないことや都市計画上高度利用や商業用途を主眼に置いた計画が採用されているエリアが多いことで、かえって一戸建て住宅が供給しにくい環境となっていることなど、一戸建て住宅には独自のロジックが働いていると考えるべきである。なお、近畿圏のピークが10分にあるのは立地が駅に近いわけではなく、近畿圏は駅間が短く最寄駅からの所要時間が相対的に近くなる圏域の特徴によるものである。

一方、新築マンションでは2022年も引き続き駅徒歩5分以内に強いこだわりを持って供給されていた様子がわかる結果であるが、首都圏や中部圏が駅遠の方向へ山をシフトさせている中、近畿圏は4分から3分へシフトした。(2021年の数値は確定値。カンテイアイ110号掲載の数値と異なる)近畿圏は駅徒歩8分の物件も増加しており、駅近と駅遠の双方に立地が散らばった様子が見て取れる。駅遠物件の増加が前年より多く見られた背景には、ここ数年来の用地取得難に加え、マンション価格の高騰と物価高によって購入者が駅近物件を入手しにくくなったことも挙げられる。

近畿圏2022年新築一戸建て住宅と新築マンションの徒歩時間別分譲戸数分布(バス便を除く)

2022年 行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング

2022年の近畿圏1位は兵庫県姫路市で694戸の新規供給があった。前年は603戸が分譲され2位となっていた。2位は兵庫県尼崎市の596戸で、前年の4位(489戸)から107戸増加して順位を押し上げている。3位は大阪府枚方市で520戸が供給され、前年は691戸が新規分譲され1位となっていたが、171戸減少して首位陥落した。前年は3位であった大阪府東大阪市は518戸で、前年の578戸から60戸減少して2022年は4位に後退した。

近畿圏では2022年は前年比3.8%分譲戸数が減少したが、ベスト10の顔ぶれには大きな変化はなく、ほとんどが近畿圏の三大都市の外周部に位置する都市が名を連ねており、供給立地に大きな変化はない。10位の大阪府八尾市(前年15位)のみ入れ替わっている。近畿圏ではそもそも一戸建てとマンションの供給立地が明確に分離しており、大阪府下の都市に供給が集まる傾向は変わらない。大阪市内に新規供給が少ない傾向も変わらず、2022年には30位の中に大阪市の区は皆無となった。

前年は登場しなかったが2022年にベスト30位内に入った都市は22位の堺市西区を筆頭に23位:大阪府大東市、27位:大阪府松原市、29位:京都府八幡市、30位:神戸市須磨区、奈良県橿原市の6市区となっている。反対に大阪府茨木市(前年16位)、堺市堺区(19位)、大阪市東住吉区(23位)、大阪市生野区(25位)、京都府宇治市(29位)がそれぞれ圏外に去った。

近畿圏 2022年 行政区別新築一戸建て分譲戸数ランキング

一戸建て住宅調査対象の条件:(1)敷地面積50~300m2の物件 (2)最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内の物件 (3)木造 (4)土地・建物ともに所有権の物件

対象地域:全国
地域区分:【近畿圏】 大阪府 兵庫県 京都府 滋賀県 奈良県 和歌山県

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当記事出典

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2023年1月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。

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