用途変更ハードル低下で広がるか?空き家活用のチャンス

2019年6月25日、建築基準法の一部改正が施行され、建物の用途変更にかかる建築確認申請の面積制限が100㎡超から200㎡超に変更されました。建物の用途変更とは、例えば、一般の住宅(居宅)を店舗やシェアハウス(寄宿舎)などに使い道を変更することです。今回の改正の背景には、使われていない中規模一戸建てが空き家のまま放置されることを抑制したいという考えもあるようです。

空き家活用のチャンス

多くの空き家に活用チャンス

100m2というと一般的な4LDK程度の2階建の建物程度のサイズです。国土交通省の調べによると、戸建住宅ストック(空き家)約2,800万戸のうち、100m2から200m2未満については約6割の1,680万戸を占めています。

200m2までの規模となると一戸建としては規模が比較的大きい部類に入ります。そのまま一戸建として賃貸することも可能ではありますが、用途変更によって利用用途を広げたほうが活用される可能性が広がります。また、立地や需要状況によっては一戸建てとして貸すよりも共同住宅やシェアハウスとして貸したほうが家賃収入が多くなるケースもあり、こうした一戸建て住宅の活用が期待されています。

建築基準法の一部を改正する法律案(概要)

戸建住宅ストック(約2800万戸)の面積分布(「建築基準法の一部を改正する法律案(概要)」より抜粋)

建物の用途変更の壁

用途変更について建築確認申請の手続きを行うにあたっては、竣工時に検査を受けている建物であることが前提になります。建物を建築する際に「このような建物を建築します」という建築確認申請を役所に対して行いチェックを受け、そして竣工時には申請内容通りの建物が竣工していることを役所に検査してもらう必要があります。この検査を受けている場合、検査済証という書類が発行されます。

しかし、現状は検査を受けていない建物が多く、平成以降に竣工した建物でも検査を受けていないという建物が散見されます。検査を受けていない場合、竣工当時の法律に合致した建物だったかどうかを証明しなければならず、その費用と時間の負担が重く、用途変更が進まなかった面があります。今回、200m2以下の建物については、その負担がなくなるため用途変更がしやすくなると言われています。

なんでもありではないことに注意

今回の改正で200m2以下の建物については建築確認申請が不要となったとはいえ、「なんでもあり」というわけではないことに注意する必要があります。

そもそも建築基準法など建物に関する法律では、それぞれの用途に応じて、防火や避難、採光などのルールがきめ細やかに決められています。用途変更をするということは、こうした法律の規定に則って、現行の用途から新たな用途に合致するよう建物を改修する必要が出てくる可能性があるのです。また、建築基準法とは別の法律、例えば消防法等の関係規定については従前のままであり、用途を変えることによる手続きには注意が必要ですので、建築士などの専門家に相談しながら進めたほうがよいでしょう。

収益アップの可能性と税務にも注意

一戸建てとして貸すより、用途変更をして店舗などとして貸したほうが一般的には家賃収入が増えますし、既存建物を解体して建替えするより、用途変更したほうがコストがかからないときには、より収益性が高い運用が可能になる場合もあります。とはいえ、こうした収入とコストの見積もりや、投資回収効果について吟味することは、他の不動産投資や建て替えと同じように重要なことです。

一定の要件を満たした上で空き家を一棟すべて賃貸すれば、相続時に土地や建物の評価を落とすこともできます(例えば、借地権割合が6割、借家権割合3割の場合、土地評価額は18%減、建物は30%減など。)。ケースによっては貸付事業用宅地等の小規模宅地の特例が使えることもあるでしょう。このように相続対策になるという面もある一方で、住宅から店舗に変更する場合、固定資産税と都市計画税が増加するといったことも考えられます。

用途変更による空き家再生については、用途変更そのものの手続きについてコストが少なくなくなるというメリットはあるものの、空き家再生事業の良し悪し、建築法務や税務面の問題点などについても専門家を活用しながら吟味したほうがよいでしょう。

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