家計にも環境にもやさしい 中古一戸建てに導入できる省エネシステム

東日本大震災により、今年の夏には電力使用制限令が発令されました。
家庭・企業の節電努力が功を奏し、制限令は予定より早く解除されましたが、省エネへの関心は日増しに高まっています。
そこで今回は、既存の一戸建て住宅にも導入可能な省エネシステムをご紹介していきます。
参考文献:(財)経済調査会発行「積算資料ポケット版 総合編2010前期」

家計にも環境にもやさしい 中古一戸建てに導入できる省エネシステム 東日本大震災により、今年の夏には電力使用制限令が発令されました。家庭・企業の節電努力が功を奏し、制限令は予定より早く解除されましたが、省エネへの関心は日増しに高まっています。そこで今回は、既存の一戸建て住宅にも導入可能な省エネシステムをご紹介していきます。参考文献:(財)経済調査会発行「積算資料ポケット版 総合編2010前期」

太陽光発電

□特徴
屋根に設置した太陽電池モジュール(ソーラーパネル)で発電します。一般家庭の屋根の面積であれば、3kW~4kWのモジュールの搭載が可能なので、単純計算で標準家庭の7割程度の電力をまかなえることになります。ただし、発電量は時間帯や天候によって左右されますから、以下で紹介する他の省エネシステムとの併用が、より効果的です。なお、時限措置ですが、発電した電力が余った場合には、電力会社に買い取ってもらえる制度も活用できます。

設置イメージ画像提供:シャープ

設置イメージ画像提供:シャープ

導入費用目安
200万円~(発電量1kW当たり約70万円)

メリット
余った電力を電力会社に買い取ってもらえる

デメリット
夜間は発電しない。また、雨天時などは発電効率が下がる

□注意点
建物が密集した都市部などでは、太陽光が十分に屋根に当たらない可能性もありますし、屋根面積が狭い一戸建ても多くあります。費用対効果の面で、しっかりした検討が必要になります。また、既存の一戸建て住宅に導入する場合は、屋根の強度を確保しつつ、台風などの強風にも耐えられるような設置技術が必要になります。施工業者を選ぶ際には、工事実績の数や多様性など、技術力や信頼性を重視してください。

エコキュート

□特徴
ヒートポンプという装置で外気から熱を取り出し、併設しているタンク内の水を温める電気給湯システムです。ヒートポンプは電気料金が安い夜間電力を使って動かすため、一般的なガス給湯器を使う場合に比べて光熱費を節約することができます。また、IHクッキングヒーターやエコキュートのお湯を使った床暖房などとの併用で、オール電化住宅にすることもできます。高齢者など、火気を使わずに安全に暮らしたいと希望する層から注目を集めています。

パナソニック HE-K37WQS

パナソニック HE-K37WQS

導入費用目安
機器50万円~70万円+施工25万円~30万円

メリット
火を使わないオール電化にすることも可能

デメリット
一定以上の設置場所が必要で、湯切れの心配もある

□注意点
住まいの敷地内にヒートポンプと貯湯タンクを搬入・設置するスペースが必要になりますし、設置場所にはタンクの重みをしっかり支えられるコンクリート基礎も必要です。一度に大量のお湯を使うと湯切れを起こしますが、そのタイミングによっては昼間電力で給湯することになるので、かえってコストがかかるおそれもあります。タンク容量にはバリエーションがありますので、設置場所や家族の人数などを考えながら選択しましょう。

エコジョーズ

□特徴
従来のガス給湯器の排気熱は約200度もありました。無駄に排気されていた熱エネルギーを活用する仕組みを採り入れ、排気熱を50度にまで下げた(=効率を飛躍的に高めた)ガス給湯器が、エコジョーズです。効率が高まったことで、より短時間で高温のお湯を沸かすことができるようになり、ひいてはガス料金の節約にもつながるのが最大の特徴。また、設置スペースも費用も従来の給湯機とさほど変わらないため、他の省エネシステムに比べて導入しやすい点も魅力です。

東京ガス EJ-T4208ARSAW3QU

東京ガス EJ-T4208ARSAW3QU

導入費用目安
機器25万円~30万円+施工5~8万円

メリット
比較的低コストで済み、導入の制限も少ない

デメリット
エコキュートに比べてランニングコストが高くつく場合も

□注意点
よくエコキュートと比較されますが、どちらが優れているのかは使い方によって変わってきます。特にランニングコストで見ると、月々のガス料金が、エコキュートの電気料金より高くなる場合もあります。自分の家族構成や生活パターン、お湯を使う量などをよく確かめてみて、できるだけ厳密にシミュレーションしてみるといいでしょう。

エコウィル

□特徴
都市ガスやLPガスを燃料にエンジンをまわし、その際に生じる熱でお湯を沸かします。また、エンジンで発電機をまわすことで発電します。温水床暖房も併用すれば、給湯・暖房・発電と3役をこなしてくれます。バックアップボイラーを備えているので、湯切れを起こす心配がありません。メインの機能は給湯なので、併設するタンク内のお湯を温め終えるとエンジンが停止します。このため、発電量は家庭で使う電力の3割~4割程度になります。

東京ガス GEH-1011ARS-K/GFMR11ABDE2JSV

東京ガス GEH-1011ARS-K/GFMR11ABDE2JSV

導入費用目安
機器80万円~90万円+施工20万円弱

メリット
ワンセットで給湯・発電

デメリット
お湯を使う量が少ないと省コストにつながりにくい

□注意点
発電ユニットと貯湯ユニットの搬入・設置スペースが必要です。前者が80kg超、後者が200kg超と重いので、しっかりしたコンクリート基礎も必要になります。お湯をよく使う家族構成・ライフスタイルであれば効率的に活用できますが、逆にお湯の使用量が少ないのであれば、他のシステムのほうがいい場合もあります。複数の省エネシステムを扱っている施工業者に相談してみるといいでしょう。

エネファーム

□特徴
都市ガスやLPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電する燃料電池システムです。電気をつくる際に生じる熱で、併設するタンク内の水を温める機能も備えています。ガスから電気とお湯をつくるという点、バックアップボイラーを備えているので湯切れの心配がないという点ではエコウィルと同等ですが、ガスを燃焼させることなく発電するので、エネファームのほうがCO2削減率が高いといえます。

東京ガス NA-0111ARS-K/NAT-C11ARSAW6CU

東京ガス NA-0111ARS-K/NAT-C11ARSAW6CU

導入費用目安
機器330万円+施工20万円

メリット
ワンセットで給湯・発電

デメリット
非常に高額なので、節約による投資額の回収に時間がかかる

□注意点
エコキュートやエコウィル同様、大きなユニットを2つ設置することになるため、一定以上のスペースや堅牢なコンクリート基礎が必要になります。また、国からの補助はあるものの、導入費用は非常に高額。その一方で、節約できる年間の光熱費は数万円レベルなので、投資額の回収にはかなり長い時間がかかります。

まとめ

上記のように、省エネシステムにもさまざまな特徴があります。省エネ効果や省コスト効果は家族構成やライフスタイルによっても大きく変わってきます。また、エコウィルやエコキュート、エネファームは、タンクにお湯を貯めておくタイプなので、飲料用には使えないことも覚えておきましょう。設置に必要なスペースや使い勝手、導入費用やランニングコストなども合わせて、複数のシステムの場合で施工業者に試算してもらうといいでしょう。なお、現在のところ、ここで紹介したシステムは停電すると稼働しません。発電機能があるものでも、停電下で緊急代替電源としては使えないので注意してください。

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