ねらい目な中古戸建の見つけ方を考える

ねらい目な不動産が欲しいと思っても、そう簡単に見つかるものではありません。相場より明らかに安い物件はすぐに売れてしまうか、そもそも市場に出にくいのが現実です。しかし、中古戸建については必ずしもそうではないと筆者は考えています。今回は、ねらい目な中古戸建の見つけ方について考えてみたいと思います。

ねらい目な中古戸建の見つけ方を考える

建物評価額と現実のズレにねらい目な物件を探す鍵あり

人の目に見える事象や情報はすぐに価格に反映されるのが常です。例えば、リフォーム済物件は水回り機器などが更新され、床や壁紙も貼替されており、誰の目で見ても価値が上がっていることが分かるため、リフォームしていない物件とは価格が大きく異なるということは理解できると思います。新築と築20年の一戸建てでは、築年数もさることながら、見た目の新しさだけでなく設備機能の新しさから大きく価格は異なります。これも誰もが納得できる話だと思います。

筆者が考えるねらい目な物件を探す鍵は、「『木造戸建の建物評価額は築20年で価値が概ねゼロになる』という市場における暗黙の了解がある」ということです。この考え方の基礎には、法定耐用年数という考え方があります。法定耐用年数とは、賃貸用の建物などの資産を取得したときは、その価値(値段)を通常予定される耐用年数で分割し、経費として計上する減価償却を行う必要があります。この耐用年数を「法定耐用年数」といい、資産の種類によって細かく設定されています。建物は賃貸用ではなくても、この考え方を代用してその価値を評価をするケースが多いのです。

一戸建ての法定耐用年数は22年であり、22年経過したら建物価値はほぼゼロに近い水準になるということを意味します。金融機関の担保評価や不動産仲介業者による価格査定の現場では、相当量をこなさなければならないという環境にあることから、これらの劣化状況やメンテナンス状況を細かく実査して評価するということはほとんどできないのです。結果として、建物の価値を判断するにあたって法定耐用年数を用いるという簡便法を採用することが多いのです。こうなると建物評価額と現実のズレが生じやすくなります。つまり、建物によっては実質的な年齢が築年数よりも若いと判断できるものがあるということです。ここにねらい目な物件を探す鍵があると筆者は考えています。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

建物の実年齢と築年数のギャップを狙う

建物の実質的な年齢を決めるものとは何でしょうか? 筆者が考えるに、外壁と屋根防水、構造躯体のメンテナンス(腐食防止、シロアリ対策)、給排水管のメンテナンスが実質的な年齢を決める大きな要素であると考えています。これらがメンテナンスされていれば、木造建物は長持ちするだけでなく、今後のメンテナンスコストも低く抑えられる可能性が高いからです。リフォーム済物件のようにキッチンやユニットバスを交換したり壁紙を貼り替えることも重要ですが、建物の構造躯体や給排水管がメンテナンスされていない状態で見た目だけきれいにしても、長持ちする価値ある建物とは言えないと思うのです。逆に、見た目はきれいではなくても、これらがきちんとメンテナンスされている建物ならば、実年齢は築年数より若く長持ちするはずです。これこそ価値ある建物と言えるのではないでしょうか。

2000年以降の中古戸建がねらい目

筆者が考えるねらい目な物件は、2000年以降に確認申請を行った中古戸建です。耐震基準は最新のものとなりますし、地盤調査をした上で必要に応じて地盤改良をしないと建築できないルールが施行されていますので、建物の構造としては安心なものが多いのです。

その中でも、外壁と屋根の防水工事などを実施している建物はねらい目です。こうした建物はメンテナンスしていない建物に比べて建物の実年齢は実際の築年数より若返ると筆者は考えています。あくまで筆者の感覚ではありますが、メンテナンスすれば15年程度はメンテナンスする必要がなくなるので、控えめに見ても10年は若返ったと考えてもよいかもしれません。仮に新築の建物価格が2000万円(うち6割が建物躯体(1200万円)、4割が住宅設備や内装設備(800万円))だとすれば、築20年なので建物価値はゼロと評価されていたとしても、外壁と屋根防水処理、防蟻処理、給排水メンテナンスを行っている物件なら、建物躯体部分に限って言えば築年数10年相当と言えるかもしれないわけです。そうであれば、建物価値は600万円ほどと言ってもよいかもしれません。市場での評価はゼロでも、実質的には600万円ほどの価値があると考えられるなら「ねらい目」と言ってもよいのではないでしょうか。

メンテナンスの記録も確認

メンテナンスをしっかりしてきたかどうかは、売主がいついくらかけてどこを修理・メンテナンスしたかという記録(見積書や工事結果報告書など)を残しているかどうかを確認すればよいでしょう。不動産仲介会社に聞けば確認してもらえます。筆者の経験ではありますが、住まいの修繕をきちんと行い、その記録を保管している売主は、その家を大切に使ってきた可能性も高いのです。大切に使われた建物は長持ちする可能性が高く、こうした中古戸建を探すことが、ねらい目な物件を見つける基本的な方法ではないかと筆者は考えています。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

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