ペットと快適に暮らせる中古マンション選び~物件編~
市場では、ペット飼育OKの分譲マンションが増えてきています。ただし、単にペット可の物件を選ぶだけでは不十分。ペットと共に快適に暮らすには、さまざまな観点からの確認が必要なのです。全2回のうち、前半となる今回は、マンション内のルールやあると便利な設備などについてご紹介します。
※記事内に掲載している写真は、すべてイメージです。
管理規約上、ペットOKになっているか
候補となる物件を見つけたら、仲介会社に依頼して、マンションの管理規約や使用細則を確認させてもらいましょう。最初にチェックしたいのが、管理規約のなかでペット飼育が正式に認められているかどうかです。
「管理規約にペットに関する記述がない(=禁止されているわけではない)というだけで、ペット可として売りに出ている物件もあるからです。気持ちよく暮らすには、ルール上、正式に認められている物件を選ぶことが大前提です」(廣田さん、以下同)
次に使用細則ですが、このなかでは暮らしにおける細かなルールが定められています。ペット飼育に関するルールも明記されているかチェックしてください。
「もとはペット不可だったマンションが、中古市場での競争力アップのために途中からペット可に切り替えた場合などは、ペット飼育に関して細かなルールが規定されていないこともあります。『バルコニーで犬を洗ったら苦情がきた』など、決まりがないためにトラブルが発生してしまうことも少なくありません。さまざまなケースを想定したうえで細かくルール設定している物件を選ぶようにしましょう」
なお、新築分譲時からペット可だったマンションや、管理体制がしっかりしているマンションなどでは、「ペット飼育細則」として専用のルールがまとめられていることもあります。
ルールに沿って暮らせそうか
もちろんルールの有無だけでなく、その内容についても確認が必要です。自身が思い描くペットとの暮らしを実現できるかという視点でチェックしてください。
「ルール設定がきちんとしているマンションなら、飼育可能なペットの種類や大きさ、頭数が定められています。自分の場合は許容範囲に収まるのか、しっかり確認してください」
また、マンションの共用部分に関するルールも、注意して見ておく必要があります。
「よくあるのは、『共用部を移動する際はペットを抱きかかえること』という規定です。こういうマンションは、大型犬の飼育にはマッチしませんよね。また、ペットを連れている人のエレベーター利用を禁止している場合もあります。高層階住戸だと、散歩や動物病院に行く際に大変な思いをすることになります。基本的に、ルールが細かく決まっているほうが安心ですが、自分にとって過大な負荷になってしまう内容もありえます。検討段階できちんと確認しましょう」
両隣、直下階に動物嫌いがいないか
ペット可の分譲マンションでも、全入居者がペットを飼っているわけではありません。なかには、単に飼っていないだけでなく、動物が苦手という人が住んでいる可能性もあります。 「動物が嫌いな人は些細なことでも気にすることが多いものです。こういう人が隣接住戸に住んでいると、自分が気を付けているつもりでもトラブルにつながりかねません。現オーナーに、両隣と直下階住戸の入居者が、ペットを飼っても問題なさそうかどうか聞いてみるといいでしょう。可能なら、下見に行った際などに直接訪問し、購入検討中であること、購入した場合はペットを飼うつもりであることを話してみてください。相手の反応で、お互いに嫌な思いをせずに暮らせそうか判断できると思います。ちなみにこの手法は、ペットを飼う場合だけでなく、小さな子どもがいる場合などにもおすすめです」
<あるとうれしいペット向け設備>
分譲マンションのなかには、ペット飼育が許可されているだけでなく、ペットや飼い主にとって重宝する設備が設置されていることもあります。
「ペットを飼ううえで必須というわけではありませんが、専用の設備が備わっているマンションなら、ルールがしっかり定められていることや、動物に理解のある入居者の多さなどを期待できます」
ここでは、代表的なものを紹介します。
□足洗い場
ペットの足を洗うための水道設備です。特に、雨で散歩コースの地面がぬかるんでいるようなときなどは、共用廊下や自宅内を汚さずに済むため便利です。
□ペット対応エレベーター
動物が苦手な人とペット連れが鉢合わせしないように配慮したエレベーターのことです。ペット連れが乗った際に操作盤の「ペットボタン」を押すと、他のフロアで待っている人が、エレベーター内に動物がいることが分かるようになっています。また、通常の動線やエレベーターとは別に、ペット連れ専用の通路やエレベーターが確保されたマンションもあります。
□トリミングルーム
ペットを飼っている入居者が利用できる共用のトリミング用スペースです。最近のペット可マンションは、バルコニーにペットを出すことを禁じているケースが大半ですし、住戸内の浴室では、抜け毛の多さなどに悩まされることも少なくありません。ペットを載せる台など、専用の設備がそろったトリミングルームがあると重宝します。
□ペット用くぐり戸付き扉
ペット用のくぐり戸が付いている住戸内のドア扉です。特に暑い時期や寒い時期は、ペットのためにドアを開けておくと冷暖房効率が悪くなるため、便利です。ただし、最初から備わっているマンションはほぼありませんから、工務店などに依頼して既存の扉を加工してもらうといいでしょう。また、中古マンション購入とリノベーションをセットで検討しているなら、こういう扉や、爪でキズが付きにくい床材などを採用するのがおすすめです。
□ペットクラブ
設備ではなく、マンション内の飼い主の集まりです。ペットを飼う人の入会を義務付け、お互いにルールを守って気持ちよく暮らせるようにチェックし合うマンションもあります。信頼できる動物病院やペット同伴で入れる飲食店などの情報を教えてもらえたり、マンション内のコミュニティに参加しやすくなったりと、さまざまなメリットがあります。
・ | 本コンテンツに掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、当社の見解を示すものではありません。 |
・ | 本コンテンツに掲載の情報は執筆時点のものです。また、本コンテンツは執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び当社が保証するものではありません。 |
・ | 本コンテンツは、情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。 |
・ | 本コンテンツに掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、当社は一切責任を負いません。 |
・ | 本コンテンツに掲載の情報に関するご質問には執筆者及び当社はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。 |