中古マンション共用施設のチェック法~管理運営の状況から的確な判断を!~

中古マンションの購入を検討する際、共用の設備や施設については「充実しているほどいい」と思ってしまいがちです。しかし、共用部分の管理・運営コストは、入居者全員が月々収める管理費や修繕積立金の金額に影響します。また、共用施設に魅了されて購入したのに、入居後に廃止されてしまうこともありえます。注意点をしっかり押さえて物件選びの参考にしましょう。
※記事内の写真はすべてイメージです。

中古マンション共用施設

保育施設

保育施設

入居者向けの保育施設が棟内に設置されているケースです。特に待機児童が深刻化している都市部などでは人気の共用施設です。「新築時は需要が高くても、年々、預かる子どもの数が減少して運営コストの赤字がふくらむところも少なくありません。保育施設をあてにして購入したのに、入居後に閉鎖となってしまう事態も考えられるので、預かる子どもの数の推移や今後の運営の見通しなども、よく確認してください。」(マンション管理総合コンサルティング・廣田さん、以下同)

機械式駐車場

機械式駐車場

移動式のパレットに自動車を収容するタイプの駐車場で、都市部のマンションに多く見られます。駐車場使用料収入はマンションの重要な財源ですが、機械式駐車場のメンテナンスには多額のコストがかかります。このコストが修繕計画にしっかり盛り込まれていないと、将来の修繕積立金の額に影響します。
「満車に近い形で運営できていればいいのですが、空車が目立つところは収入が減るため、入居者の負担がさらに増えるおそれもあります。なお、マンションには、世帯数に応じて、自治体から駐車場の付置義務を課せられています。利用者が少ないからといって簡単には撤去できないのです。利用状況や、長期修繕計画などをよく確認しましょう。」

スパ施設やプール

スパ施設やプール

入居者向けの大浴場やプールが設置されたマンションもありますが、大量の水を使う共用施設は、維持管理に大きなコストがかかります。
「コストがかかるのに、長期修繕計画にしっかり盛り込まれていないこともあるので、事前に確認しましょう。また、毎日のように利用する人と、まったく使わない人の両極に分かれることが多いので、管理組合で利用料の値上げや廃止を検討する際も、なかなか意見が集約しません。機械式駐車場と並び、自分にとって重宝するのかどうかをよく検討するべき施設のひとつと言えます。」

スポーツジム

棟内にスポーツジムが設置されたマンションも少なくありません。
「室内に、フィットネスマシンや用具が置かれているだけの簡易なタイプなら、大したコストはかかりませんし、比較的簡単に用途を変えられるので、あまり問題ありません。ただし、スポーツクラブの運営会社を誘致しているようなケースだと、当然コストがふくらみます。利用をあてこんで購入したのに廃止になった、自分は使わないのに管理費や修繕積立金が割高になっているなど、後悔につながることもあるので、利用状況や管理状況をしっかり確認してください。」

建物や敷地内の凝った意匠

特に規模が大きいマンションでは、建物や敷地内のデザインに凝った意匠が施されていることがあります。なかには、日々の管理上、大きな負担になるものもあります。
「“建物内の吹き抜け部分に配置した樹木が育ちすぎてしまったが、重機を入れられないので剪定や撤去に多額のコストがかかる”“敷地内にせせらぎがあるが、衛生面や安全面にも配慮するには管理コストが割高になる”など、建設時には想定外だった事態が生じるケースもあります。他の物件ではあまり見られないような凝った意匠が施されている場合は、維持管理に影響していないかについても確認するべきでしょう。」

見極めが難しいと感じたら専門家に頼るのも手

「どの施設も、自分にとってどれだけの必要性・価値があるのかをしっかり判断することが大切です。検討するうえでは、管理組合の決算報告や予算などが載っている総会議案書、マンションの長期修繕計画などを売主さんから入手してください。ただ、慣れないと良し悪しの判断が難しいので、不動産コンサルタントなどに相談してみてもいいでしょう。」
共用施設の管理状況や運営状況を確認したうえで選択できるのは、中古マンション購入の大きなメリットのひとつです。検討時には、このメリットを十分に活かして事前確認してください。

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