通勤利便性を重視した立地選びの観点

不動産の価値の大半は、基本的に立地で決定づけられるといわれています。
昨今は共働き世帯が主流になりつつあることを考えても、交通アクセスの利便性が高い立地に人気が集まる傾向がうかがえます。
自身の通勤利便性だけでなく、家族全員にとっての移動しやすさ、将来売ったり貸したりする際の買い手や借り手のつきやすさなども踏まえ、通勤利便性の高い立地選びの着目点についてご紹介していきます。

※記事内に引用しているリセールバリューデータは、すべて東京カンテイ調べ。

通勤イメージ

資産性を計る指標・リセールバリューとは

リセールバリュー(以下RV)とは東京カンテイ独自の指標で、築10年前後のマンションの中古流通価格を、新築分譲時の価格で割った値です。数値が大きいほど、新築時の価値を高く維持できていることを意味します。

●最寄駅から複数の鉄道線数を利用できるかどうか

物件の最寄駅から利用できる鉄道路線が多いほど、さまざまなエリアに出やすくなるため、高い求心力を発揮します。また、利用可能路線の数だけでなく「いかに短い時間でオフィス集積地に出られるか」「どれだけ多くの方面に出られるか」も重要です。例えば、同じ複数路線利用可能な駅でも、中野駅と人形町駅ではリセールバリューが異なります。中央線快速・中央総武線各駅停車・東西線と、東西方向を結ぶ路線だけが集まる中野駅のリセールバリューは108%。一方、日比谷線や都営浅草線が交差していて、水天宮前駅も徒歩圏に収まる人形町駅のリセールバリューは130.8%です。新橋駅や銀座駅、大手町駅など、さまざまなオフィス集積地に乗り換えなしで出られることが大きく影響していると考えられます。

●複数の駅を利用できるかどうか

図のように、複数の駅が徒歩圏に収まるような立地なら、行動範囲が広くなります。例えば東京都中央区東日本橋の一角は、東日本橋駅(都営浅草線)・馬喰横山駅(都営新宿線)・馬喰町駅(総武線快速)の3駅が徒歩圏に入ります。各駅で利用できる路線は1本ずつですが、結果として複数路線利用可能になります。東日本橋駅を最寄りとする物件のリセールバリューは124.8%となっていることからも、求心力の高さがうかがえます。

複数の駅

●最寄駅の利用可能路線が他社線に乗り入れているかどうか

首都圏の場合、郊外と東京都内を結ぶ路線の多くが、地下鉄などと相互乗り入れを実施しています。このような鉄道の沿線にある住まいなら、実質的には乗り換えなしで都心部に出られます。例えば、東急目黒線の駅の多くは他路線と接続していませんが、終点の目黒駅から先は南北線もしくは都営三田線に乗り入れているため、実際には乗り換えずに飯田橋駅や大手町駅など、山手線内側のターミナル駅にアクセスできます。

乗り入れ

●最寄駅に急行類が停車するかどうか

特に私鉄線の場合、普通乗車券や定期券で利用できる急行や特急が運行されている路線が多数あります。このような路線には、各駅停車しか利用できない駅と、急行類も利用できる駅がありますが、当然、都市部に短時間でアクセスできる急行類の利用可能駅のほうが人気です。また、各駅停車しか利用できない駅でも、急行利用可能駅の隣駅などは狙い目になる場合があります。図のように階段の上り下りなしで急行類に乗り換えられるなら、購入予算を下げられる割に利便性は悪くならないからです。予算に応じて確かめてみましょう。

急行

●大きなターミナル駅が近距離にあるかどうか

首都圏の場合、東京駅や品川駅、上野駅など、多くの鉄道路線に加えて新幹線も発着しているような駅があります。物件から最も近い駅は別だったとしても、こうしたターミナル駅が徒歩20分圏に入るような立地なら、やはり行動範囲が広がります。例えば、新幹線を使うような出張や旅行の際は、ターミナル駅が近距離にあるなら、タクシーを使っても経済的負担を抑えられて便利です。

●職住近接ニーズは、今後も根強く指示されるはず

新型コロナウイルス感染拡大を受け、多くの企業がリモートワークを導入しました。このため「必ずしも住まいと勤務先は近くなくていい(=郊外の手ごろな住まいを購入しても従来ほど通勤で苦痛を感じることはなくなる)」という見方も出てきているようです。しかし、緊急事態宣言解除後に電車の混雑度合いが高まっていることからも分かるとおり、現実には緊急対応としてリモートワークを導入しただけで、まだまだ出社や対面のやりとりを軸に事業を展開する企業が大半だと思われます。つまり、職住近接ニーズが急速に減ることはないでしょう。この点から考えても、住まいの立地は非常に大切です。地図や路線図などをよく見て、少しでも有利なエリアを選ぶようにしましょう。

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