~マンションは売却するなら築20年までが正解~20年を過ぎると格段に価格が下がり、売りにくくなる

最近は永住を前提に新築マンションを取得する人が増えているといわれますが、いずれはより広い物件に、少しでも便利なエリアに、あるいはもっとグレードの高いマンションに住み替えたいと思っている人も少なくないでしょう。その場合、築年数によって中古マンション価格が大きく変化し、売りやすい築年数帯があることなどを頭に入れておきながら、売却や買い替え時期を見極めるようにするのが得策です。

マンション

マンションは“ある時期”を境に物件価格がガクンと下がる

通常、マンションは築年数が経過するほど、価格が下がり、売りにくくなるものです。ただ、築年数と価格は単純に正比例するものではなく、“ある時期”に物件価格がガクンと下がってしまいます。売却を前提とするのであれば、その“ある時期”を念頭に入れておくのが重要です。そのため、物件価格がガクンと下がってしまい、売りにくくなる前に売却の準備をしておくのが良いでしょう。
図表1をご覧ください。これは、不動産流通の物件情報交換を行う公益法人である東日本不動産流通機構が、首都圏の流通市場に新規に登録された物件の価格(新規登録価格)と、実際に成約した物件の価格(成約価格)を、築年数帯別にグラフ化したものです。

中古マンション成約価格は築20年超で大幅ダウン(価格について)

成約価格をみると、築0~5年は5,619万円です。民間調査機関の不動産経済研究所による2019年の首都圏新築マンションの平均価格は5,980万円ですから、新築並みの価格を維持しているといっていいでしょう。それが、築6~10年は4,885万円に下がり、以降は築11~15年は4,391万円、築16~20年は3,941万円と築年数が5年経過するほど、およそ500万円ずつ低下します。
それが、築21~25年は2,846万円と築16~20年に比べると1,000万円以上安くなってしまうのです。ここが、ガクンと下がる時期にあてはまります。築26~30年ではさらに1,000万円以上下がります。

東日本不動産流通機構『築年数から見た首都圏流通市場(2019年)

新規登録成約率をみても築20年までが目安になる(売りにくくなることについて)

東日本不動産流通機構では、成約価格や新規登録価格とともに、「新規登録成約率」を築年数帯別に算出しています。この新規登録成約率というのは、新たに売りに出された物件のうち、何%が成約したかを数値で示したもので、その結果が図表2です。
最も新規登録成約率が高いのは、築6~10年の31.9%で、次いで築11~15年が26.1%、築16~20年が25.8%で続いています。それが、築21~25年になると18.6%に、築26~30年では13.5%まで下がります。
この新規登録成約率からみても、築20年までに売りに出せば、比較的スムーズに売りやすいということになります。

東日本不動産流通機構『築年数から見た首都圏流通市場(2019年)

築15年までなら売出し価格で売れる可能性も(価格について)

図表1に戻ると、新規登録価格は築6年~15年の10年間では、成約価格とほとんど変わらないレベルになっています。つまり、比較的建築後の築年数が浅い物件であれば、物件によって新規登録価格と成約価格にほとんど差がなく、売出し価格のままで成約する可能性が高いという見方もできます。
それに対して、築16~20年以降は新規登録価格と成約価格の間に10%前後の差があって、新規登録価格のままでは売りにくくなっているのかもしれません。
成約価格や新規登録成約率をみれば、築20年までがいいのですが、新規登録価格と成約価格との差の大きさを考慮すれば、それ以前、できれば築15年までが安心ということになりそうです。

築浅物件なら売却益が出る可能性が高くなっている(価格について)

築年数は、売却時に売却益が出るかどうかにもかかわってきそうです。不動産仲介の業界団体である不動産流通経営協会では、中古マンションを売却したとき、取得時の価格より高く売れて売却益が出ているかどうかを、築年数帯別に調査しています。
それによると、図表3にあるように、築10年以内の築浅物件だと半数以上の物件が取得価格以上の価格で売れて売却益が出ており、築10年超~15年以内でも4割以上の物件で利益が出ています。それが、築15年を過ぎると売却益が出る物件は2割台に減少します。
できるだけ高く、しかもスムーズに売るためには築20年までがひとつのメドですが、利益を出すためにはそれ以前、築15年までが目安ということになりそうです。

不動産流通経営協会『不動産流通業に関する消費動向調査(2019年度)』

新型コロナの動向に応じた素早い対応が求められる

以上のように、より有利に売却するためには、築15年、遅くとも築20年以内の売却が得策ですが、今後の中古マンション市場の動向は、新型コロナウイルス感染症をいつ抑制できるのかによって大きく左右されるでしょう。
すでに、一部では、先行きの価格低下を懸念して、早めに売っておいたほうがいいのではないかと値下げする物件も出始めているといわれています。値下げ物件が増えれば、築年数の古い物件はより売りにくくなってしまう可能性もあるので、できるだけ有利に売却を進めるためには、早めの行動が求められるかもしれません。

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