住まいのエンディングノートを活用しよう
実家が空き家になる可能性について考えたことはありますか?両親が高齢になり実家が空き家になる、相続が発生しても誰も住む予定がない。こうした状況で、実家の維持管理を続けていくことやこれにかかる費用に悩むケースが増えています。
放置された空き家は劣化が進んで地域に悪影響を及ぼすだけでなく、近隣からの苦情が出るなどのリスクを伴います。また、空き家になった実家を売却しようとしたとき、両親が元気なうちに実家に関する様々な資料や情報を整理しておかないとスムーズに売却できないといった問題が発生するケースもあります。
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住まいのエンディングノートを活用
2024年6月、国土交通省が、日本司法書士会連合会及び全国空き家対策推進協議会と協力して「住まいのエンディングノート」を作成しました。これは、放置空き家の発生を防ぐため、住まいを相続した方へ住まいや土地などの情報を伝えていくことに加え、元気なうちから住まいの将来をご家族で話し合うきっかけとしていただくことを狙いとしているものです。
「まだ大丈夫」と思いがちですが、いざという時に慌てないように、早めの準備が必要で、そんな時に役立つのが「住まいのエンディングノート」です。
「住まいのエンディングノート」は、自宅や実家に関する情報を一冊にまとめるツールです。例えば、所有している土地・建物、借りている土地・建物などの住所や、将来どのように処理したいかといった基本的な情報を記載できるようになっています。このほか、住宅ローンなどの借入金などについても記載できる欄があります。こうした情報を記載しておけば、家族や次の所有者がスムーズに管理・引き継ぎを行えます。
所有している不動産がどこにあるのかを調べるためには所有者に郵送される「固定資産税の納税通知書」などがありますが、こういった所有不動産の調査方法や問い合わせ先などについても書かれています。
エンディングノートは、親が元気なうちに家族で話し合いながら記入するのがベストです。家族間で話し合うきっかけにもなりますし、書き記すことで頭の整理にもなります。
保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
エンディングノートにおける重要ポイント
「住まいのエンディングノート」には、不動産を取り扱うプロから見ても、極めて重要な情報を記録できるようになっていると思います。それは、実家を管理する、売る、貸す、自ら使うにしても、必ず必要となるポイントです。
所有土地については、
1.隣地境界・越境物など、近所の人と申合せ事項がある
2.建て替えについて制約がある
3.道路の権利関係が複雑
4.地下に埋まっているものがある(他人の上下水道・ガス管など)
といった4つの項目についてチェックできるようになっています。これらは、土地を利用する際の制限となる事項です。
例えば上記1のように、境界線と境界点について隣地所有者と合意している事項があり、現状の境界とは異なっていたり、隣地からの越境物について合意があるなどの場合、その部分に所有権があっても自由に利用できない、建て替えが制限されてしまうなどの可能性があるのです。
3のように道路の権利関係が複雑だと、自由に通行できなかったり、道路を掘削して新たな給排水管を設置できない、給排水管を設置する場合、他の道路所有者の承諾や承諾料が必要となってしまうなどの制限があるかもしれません。また、他人が敷地内を通行する権利が設定されているかもしれません。
4のように所有する土地に他人が使っている給排水管があるならば、勝手に掘削することができないかもしれませんし、その部分に建物を建てることが難しくなるかもしれません。
これらについては、将来、不動産を売却する、貸す、自分で使うにしても障害になる可能性があるので、早い段階から確認し、対処していく必要があるのです。
お恥ずかしい話ですが、筆者は不動産のプロではありますが、こうした準備を全く行わずにいたため、両親が施設に入所したあと、こうした情報を確認し整理するのに思った以上に苦労した経験があります。基本情報が準備できていないと、プロに相談したとしてもすぐに売却したり貸したりすることができない場合があるのです。
この年末にぜひチャレンジを
上述した様々な事項は、普段の生活では意識されにくい部分ですが、実際に行動を起こす段階になってから困ることが多い項目です。年末年始は家族が集まりやすい貴重な時間です。この機会に、家族で「住まいの未来」について話し合ってみてはいかがでしょうか?「住まいのエンディングノート」を活用すれば、比較的簡単に議論ができると思います。
一気にノートを作り上げようとしなくても、できるところまで家族でやってみるというのでもよいと思います。家族が分かっている部分がどの部分で、分からない部分がどの部分なのかが共有できているだけでも十分だと思います。将来に向けた備えを少しずつ始めることで家族の安心が得られ、将来の手間やトラブルを大幅に軽減できるでしょう。この年末年始、ぜひチャレンジしてみてください。
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