私はこうした「空き家対策」

2015年の春に、筆者の祖父の代から人に貸していた土地が父のもとに返却されました。
思いがけず古家付き土地が戻ってきたことで、我が家では、複数の対策を比較検討しました。
似たようなことで、どう対処すべきか悩んでいらっしゃる方も多いと思いますので、今回は、筆者自身の経験から、着眼点や注意点についてご紹介したいと思います。

※画像はすべてイメージです

私はこうした「空き家対策」

どのような土地が戻ってきたのか

父のもとに返ってきた土地の概要は以下のとおりです。

・土地面積 :約130m2
・家屋 :築約40年の木造2階建て・5DK
・立地 :最寄駅まで路線バス利用で約20分(首都圏エリア)

生前贈与の形をとると、贈与税が発生してしまいます。このタイミングで税金を納めてまで名義を変えるメリットはないため、父名義のままで対策を考えることにしました。

選択肢(1) 現状のまま売却

この話が浮上した時点で、筆者自身は売却するのが最良の手段だと思っていました。他の選択肢に比べて出費を抑えられますし、必要なコストには売却金を充当できるため、実質的には負担が生じません。
また、現地は首都圏に立地しているとはいえ、最寄駅から遠い住宅地です。再開発が検討される気配もなく、社会が人口減少傾向にあることをあわせ考えれば、年月が経過するほどニーズを喚起しづらくなることが予測されます。
しかし、父は「代々引き継いできた土地なので大切にしたい」という想いが強く、私の説明を聞いても考えを変えませんでした。
よくある話ですが、特にシニア世代は、代々守ってきた土地を自身の代で手放すことに抵抗があるようです。子どもの新居購入や孫の学費など、目に見える形で次世代の支援につなげられる場合は、受け入れやすくなると思います。
しかし、我が家の場合、私を含めて子どもたちには既に持ち家があり、孫は全員社会に出て独立しているため、父にとっては売却に値する動機がなかったのです。
このため、今回は父の意向を尊重し、所有したままでの運用を考えることにしました。

選択肢(2) 残っている古家を賃貸運用

できるだけ出費を避けたいという観点から、売却の次に検討したのが、残っている木造家屋に最低限の手を入れて、賃貸に出すという方法です。
しかし、素人目に見ても、水まわりを中心に、汚れや傷みが激しい状態です。試しに専門のルームクリーニング業者に見てもらうと「ここまでひどいと、費用をかけてもさほどきれいにならない」と言われてしまいました。
なお、リフォーム業者にも見てもらいましたが、人に貸し出せる状態にするには、外回りのトタン板の張り替えや、雨どい・玄関扉の交換も必要だと指摘されました。キッチン・バス・トイレ・給湯器の交換も含めると、300万円以上かかってしまう計算です。
また、地元の不動産仲介会社に聞いてみたところ、周辺エリアのファミリー向けの賃貸マンションの賃料相場は月額10万円前後。マンションやアパートより部屋数が多いからといって賃料設定を上げても、見送られてしまう恐れがあります。
さらにいえば、現地周辺では似たような空き家が増えてきているようです。
最終的に、中途半端に手を入れるだけでは借り手がつかず、むしろ無駄につながりかねないと判断し、古家の賃貸運用は見送りました。

こういうケースでは検討の余地が

・最寄駅まで至近、街並みに風情があるなど、賃貸住宅ニーズの高いエリア
・「好きに手を入れていい」と許容できるような信頼できる借り手がいる

選択肢(3)集合住宅を新築して賃貸運用

集合住宅

現地はごく平凡な住宅街の一角で、駅から近いわけでもありません。「住みたい街」として特別な競争力を発揮できるエリアではない以上、高額な融資を受けて賃貸住宅を新築するのはリスクだと考えていました。
しかし、運用法を検討しはじめたところでタイミングよく大手住宅メーカーが営業をかけてきたので、参考までに話を聞いてみました。
提案されたのは、いわゆる「一括借り上げ・賃料保証」です。賃貸住宅をオーナー負担で新築し、以降10年間は先方が借り上げるというもの。
既存建物の解体や賃貸住宅の建設は、先方の指定業者に依頼するという契約内容でしたが、見積書の内訳を見ると、すべて割高に感じます。
例えば、解体費用は200万円で計上されていましたが、私が地元の解体業者から提示された見積もりでは150万円でした。
また、契約期間は10年ですが、2年ごとに賃料の見直しがあるといいます。
つまり、入居者がうまく集まらないような状態が続けば、賃料を減らされかねないわけです。トータル4000万円近くという多額な資金を要するうえ、各費用が割高に感じる点、契約内容にリスクがある点、そして、10年の契約期間を終えた後も安定的に入居者を確保し続けられるかが不透明な点を考え、やはり賃貸住宅への建て替えは見送ることにしました。

こういうケースでは検討の余地が

・「一括借り上げ」や「賃料保証」を扱っている複数の会社に声をかけて競合させれば、より有利な条件を提示してもらえる可能性も
・一定以上の賃貸ニーズを見込み続けられそうなエリアなら、一括借り上げではなく、不動産仲介会社に管理を委託して運用する手も

選択肢(4)既存家屋を解体し、駐車場として運用

駐車場

現地は駅から離れていますが、そのぶん、マイカー需要が高いことが特徴のひとつです。
そこで、月極駐車場としての運用を検討しました。この場合、自身で解体を手配し、更地にする必要があります。複数の解体業者から見積もりを取りましたが、どこも、提示額は150万円強でした。解体後にアスファルト舗装も施す場合は、さらに50~60万円プラスになります。
ただし、現地の半径100m圏に月極駐車場が4カ所もある点が気がかりで、決断できずにいました。

そんな折に、コインパーキングの運営会社が声をかけてきました。
提案書にある賃料を見ると、地域相場に合わせて月極駐車場として貸し出す場合より高くなっています。また、もう一社にも声をかけて条件を提示してもらいましたが、基本的な条件は以下の様な感じで、ほとんど差がありませんでした。

・既存建物の解体はオーナー側で費用負担・手配(業者の紹介は可能)
・更地になった後のアスファルト舗装と設備・看板の設置は運営会社側負担
・賃貸契約期間は2年で、都度更新(契約期間途中に解約すると違約金発生)
・契約満了に伴う解約時は運営会社側で設備と看板を撤去し、アスファルトに空いた穴はコンクリートで埋める

ただし、契約書のひな型を見せてもらうと、契約期間中でも賃料を変えられる余地があるような気がします。この点を確認してみると、2社とも「確かに条文にはありませんが、過去、契約途中で賃料改定をオーナー様に申し入れたことはありません」という回答でした。
最終的には、2社のうちの一方が、より高い賃料を提示したうえで、契約書の特記事項に「契約期間中は賃料を改定しない」旨を加えると申し出てくれたので、契約にいたりました。

なお、特筆しておきたいのが、解体費用の補助についてです。
現地は自治体の不燃化推進地区に該当していました。かつ、現地の既存家屋は木造だったため助成の対象となり、解体費用約150万円のうちの約100万円を補助してもらえました。
結果として、土地活用のための初期費用は50万円ほどに抑えられたわけです。助成制度があることは、運用法について都度相談に乗ってもらっていた不動産仲介会社が教えてくれたのですが、この自治体では、解体前に申請することになっています。
たとえ他の諸条件が適合していても、解体工事がはじまってからでは申請を受け付けてもらえないそうです。筆者自身は完全に失念していたので、もし仲介会社が進言してくれなければ、制度を活用できずに終わるところでした。
空き家問題や木造家屋密集地域を解消したい自治体は少なくないはずですから、解体に限らず、関連する補助制度があるかもしれません。
また、地域によっては、建物を解体して更地にすると固定資産税が上がってしまうケースもあります。
方針の比較検討段階から、各自治体の窓口や、各自治体の助成サービスについて紹介している民間のWEBサイトで確認しておくといいでしょう。

複数の選択肢・会社を比較することが大切

「できる限り手放さずに守り続けたい」という父の心情面も含めて考えれば、コインパーキング運用は、我が家にとっていちばん丸く収まる選択だった気がしています。
一連の経験を通じて実感したのは、複数の選択肢を比較検討し、メリット・デメリットを把握することの大切さです。
また、より有利な条件を引き出すためには、複数の会社に声をかけてみること、声をかけた会社に競合だと伝えることが何よりも有効です。
ベストな結論を導き出すうえでの参考にしていただければ幸いです。

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