中古住宅購入時に必要な自己資金 ~後編~
住まいの購入時には、物件価格以外にもさまざまな経費の支払いが生じるものです。そして、諸経費や手付金は、基本的に自己資金から捻出する必要があります。無理のない資金計画を立てるためには、どのようなタイミングでどのような支払いが生じるのか、しっかり押さえておくことが大切です。
今回は、後編として、引き渡し時から入居以降に必要なお金についてご紹介します。
監修・試算/大森広司 氏
引き渡し時
登録免許税
住まいの所有権を公的に示せるようにするためには、所管の法務局で土地や建物を登記する必要があります。中古住宅の場合、もとは売主の名で登記されているので、引き渡し日に所有権移転登記を実施する必要があります。また、住宅ローンを借りて購入する場合は、引き渡し日(=住宅ローン実行日)に抵当権設定登記を済ませることも必要になりますし、購入する住まいが新築の場合は所有権保存登記も必要になります。これらの登記手続きをする際、法務局の窓口で納めるのが登録免許税です。
登記の代行報酬
先に紹介した所有権移転登記や所有権保存登記、抵当権設定登記は、司法書士に代行してもらうケースが大半です。引き渡し日当日に司法書士に同席してもらい、登記に必要な登録免許税と代行報酬を現金で支払うことになります。なお、新築一戸建てを購入する場合や、土地を購入してから家を新築する場合には、建物表示登記も必要になります。建物表示登記の場合、登録免許税を納める必要はありませんが、手続きは土地家屋調査士に代行してもらうことになるため、別途、報酬が必要になると覚えておきましょう。
仲介手数料
前編で紹介しましたが、売買契約時と引き渡し時で半額ずつ支払う場合は残金を、引き渡し時に一括という場合は全額を支払います。
固定資産税などの精算金
住まいを所有すると、毎年、固定資産税が課税されます。また、住まいが都市計画法で定められた市街化区域内にある場合は、都市計画税も課税されます。いずれも1月1日時点の所有者が、その年一年間の納税義務を負います。このため、1年分の税額を日割り計算し、引き渡し日以降の相当額を、買主から売主に支払うことになります。また、マンションの場合は、毎月、管理費や修繕積立金がかかります。これも日割り計算し、引き渡し日以降の相当額を売主に支払います。
入居以降
引っ越し代
引っ越し会社に依頼する場合、旧居から新居までの運搬距離や荷物の量、時期などによって金額が変わってきます。転居時期が決まった時点で、複数社から見積もりを取って選定しておきましょう。
不動産取得税
住まいを含め、不動産を新たに取得した際に課税される税金です。不動産取得税の税額は、引き渡し時に実施した所有権移転登記の内容に基づいて算出され、納税通知書が送られてきます。この納税通知書をもとに、金融機関の窓口などで納めることになります。なお、物件によっては不動産取得税の軽減措置を適用できることがあります。この場合、取得から60日以内に所管の税務署に申告する必要があるので注意しましょう。
以上を踏まえてシミュレーションしてみると…
手持ちの自己資金を把握して、無理のない計画を!
以上のように、中古住宅購入時にはさまざまな費用がかかります。上の試算表でいえば、手付金以外に180万円以上の現金を用意する必要があります。購入を検討する際には、手持ちの現金のうち、どれだけ住宅購入にまわせるか(=購入後、どれだけ残すか)をよく考えて、無理のない計画を立てるようにしましょう。
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