豪雨被害に備えるためハザードマップに加えて確認したい3つの情報
令和8年8月の千葉豪雨では、短時間に猛烈な雨が降り、各地で道路や建物が浸水しました。千葉市内に住む友人のマンションでも地下の変電設備などが水没し、エレベーターが使えなくなりました。修繕費は4000万円を超える見込みだそうです。
ところが、管理組合が契約していた火災保険には水災補償が付いていませんでした。想定を超える豪雨が珍しくなくなりつつあるなか、自宅の水害リスクをどこまで把握できているでしょうか。

ハザードマップの想定を超えることも
水害リスクを調べるとき、まず見るのが自治体のハザードマップでしょう。河川の氾濫だけでなく、下水道などで雨水を排水しきれずに起こる「内水氾濫(ないすいはんらん)」の浸水想定を公表している自治体もあります。ただし、ハザードマップは一定の前提に基づくシミュレーションです。想定を上回る雨が降ったり、局地的な地形や排水条件などによって、実際の浸水状況が想定と異なったりすることもあります。
実際、友人のマンションについて内水ハザードマップを確認すると、想定浸水深は「10センチメートル以上50センチメートル未満」でした。しかし周辺では、実際にはそれを大きく上回る高さまで水が来たと聞きました。そこで、もう一つ確認しておきたいのが「土地の成り立ち」です。
保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
水が集まる場所は地形からも見える
国土地理院の地理院地図では、土地がどのように形成されたのかを示す地形分類(自然地形)を見ることができます。友人のマンション周辺を確認すると、「後背低地(こうはいていち)・湿地」に位置し、近くには小さな河川もありました。後背低地は、河川の氾濫などによって形成された低地のうち、周囲より低く水がたまりやすい場所です。大雨で河川の水位が上がれば、川から水があふれなくても雨水を排出しにくくなり、内水氾濫が起きやすくなることも考えられます。
だからといって、低地ならすべて危険、高台なら安全というわけでもありません。低地でも砂州(さす)などの微高地は周囲よりわずかに高く、反対に台地の中にも「窪地・浅い谷」のように水が集まりやすい場所があります。
大切なのは標高の数字だけではなく、「周囲より高いか低いか」「雨水はどちらから流れてきて、どこへ抜けるのか」を見ることです。
地形分類を表示した地図を片手に実際に町を歩いてみるのもよいでしょう。普段は意識しない緩やかな坂、道路のくぼみ、小河川や暗渠など、水の流れを左右しそうな土地の特徴に気づくことがあります。
マンションは重要設備の位置を確認
マンションの場合は、土地の水害リスクだけでなく、建物のどこに重要設備が置かれているかも確認しておきたいところです。
例えば、受変電・分電設備やエレベーター設備、機械式駐車場、排水ポンプなどが地下や地盤面より低い場所にあれば、浸水した際の影響は大きくなります。停電や排水ポンプの停止が被害をさらに広げる可能性もあります。逆に、浸水しにくい高さに重要設備を設置しているマンションなら、同じ地域でも被害の程度は大きく違うでしょう。
水災補償は支払条件まで見る
もう一つ確認しておきたいのが、管理組合が契約するマンション共用部を対象とする火災保険です。
マンション管理組合向けの火災保険では、水災を補償対象から外したり、選択式にしたりできる商品があります。まず、水災補償そのものが付いているかを確認する必要があります。さらに注意したいのが保険金の支払条件です。複数社の商品を確認すると、水災では「床上浸水」や「地盤面から45センチメートルを超える浸水」などが重要な基準となるものがありました。地下などでは、その床面を基準に浸水深を判断する商品もあります。そうすると、床から低い位置にある電気設備が水没して多額の損害が出たのに、浸水深そのものは支払基準に達しないというケースも考えられます。
一方、損害額が建物などの再調達価額の一定割合以上であれば支払い対象となる商品もあります。ただし、大規模なマンションでは再調達価額も大きくなるため、設備に数千万円の損害が出ても、その基準に届かない可能性があります。
もちろん、実際の補償内容は保険会社や契約によって異なります。水災補償の有無だけでなく、支払条件、免責金額、支払限度額まで確認しておく必要があります。
地形、建物、保険を重ねて考える
私の住むマンションは、ハザードマップでは洪水でも内水でも浸水深の明示がない場所で、地形的には窪地や浅い谷には該当しておらず、実際に歩いてみても周囲より低い場所ではありません。少なくとも水が集まりやすい場所ではなさそうです。今回の大雨をきっかけにマンションの管理会社に確認したところ、水災補償が付いていないことが分かりました。なぜ付保していないのかという過去の経緯までは確認できませんでしたが、一方で重要な電気設備が比較的高い場所に設置されていることも分かりました。
水害リスクを考えるなら、まずハザードマップで想定される浸水リスクを知る。次に土地の成り立ちや周囲との高低差から、想定を超えた場合の水の動きを考える。マンションなら重要設備がどこにあるかを確認する。そして、万一被害が生じた場合、その損害を保険でどこまでカバーできるのかを調べる。
「うちは浸水想定区域ではないから大丈夫」「火災保険に入っているから安心」と一つの情報だけで判断するのではなく、地形、建物、保険という三つの情報を重ねて見てみてはいかがでしょうか。
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