戸建てにも十分な修繕積立金の準備を!

「マンションは管理費と修繕積立金がかかるけれど、戸建てはこうした費用がかからないというメリットがある。」といった意見をおっしゃる方をよくお見受けします。
確かに戸建て住宅は、共同で管理しなくてよいという点に加えて、維持管理コストがマンションのようにはかからないという点がクローズアップされることが多々あります。今回は戸建てにかかる費用についてお話します。

マンションと一戸建て

戸建て住宅でも管理費はかかる

「戸建ての場合、管理費はかからないはず」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、戸建て住宅であっても、庭の手入れをしたり、敷地内の草むしりをしたり掃除するといった作業が必要になります。他人に任せれば費用がかかりますし、自分で対応すれば道具を購入するといった費用だけでなく、作業時間を費やすことになります。

また、戸建ての場合、修繕積立金を徴収されることはありませんが、建物が劣化したり、雨漏りしたりすれば、そのための修理はしないわけにはいきませんから、一定の費用はかかります。

屋根と外壁防水は特に重要

一般に、屋根と外壁の防水工事は、15年に1度は実施したほうがよいとされています。防水工事を行わないと、雨漏りの原因になってしまうからです。木造建物は水分に弱く、できる限り水分が建物に染み込まないようにする必要があります。少しずつ水が浸透すると、柱などの構造物が腐食してしまう可能性が高まります。暖かく湿った場所はシロアリが好むこともありますので、雨漏りがシロアリの害を引き起こすこともあります。

また、外壁などの内側に断熱材のグラスウールなどが入っている場合、これが水分で湿ってしまいます。そうなると断熱性能が落ちるだけでなく、グラスウールに接触する柱などが腐食してしまったり、カビが大量発生し住む人の健康を害することもあります。

水分の侵入を防ぎ、木部が乾燥している状態を継続していれば、木造住宅の躯体は100年経過しても使えると言われていますが、日本では木造住宅が耐久消費財のように扱われた結果、維持管理を行わないというのが一般的になってしまい、20年で価値がなくなってしまうという状況に陥ってしまったのだと筆者は考えています。

外壁修繕 一戸建て

雨漏りしていないから大丈夫?

「今、雨漏りの症状は出ているわけではないから、慌てて防水工事をしなくても大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。実は一番まずいのは、目に見える雨漏りではなく、知らないうちに徐々に時間をかけて染み込んでくる雨漏りなのです。こうした雨漏りは見つけにくく、長期にわたって水が染みてきますので、柱などが腐食する原因になりやすいのです。

早いうちに発見できれば、修繕費用は少ない金額で済む場合が多いのですが、柱や梁、場合によっては土台(コンクリート基礎の上に載っている角材)を交換しなければならないような大工事になると、相当の費用がかかってしまいます。

これを防ぐには、インスペクションなどの目視による定点観測がよいとされています。もちろんすべてを目視できるわけではありませんが、私たちの体と同様に、定期的に検診を実施し、早期に問題を発見できれば、軽い処置で治癒するけれど、放置していると取り返しのつかないことになるということと同じことだと思います。

毎月1万円程度の積立を

屋根と外壁の防水工事は、一般的な2階建て、床面積100m²の戸建て住宅なら、100万円から150万円程度の費用がかかります。となりますと、新築で戸建てを購入した場合、毎月1万円を積み立てておけば、15年後にしっかりと屋根と外壁の防水工事が可能になります。

中古戸建てを購入する場合はどうすべきでしょうか?

中古戸建てで屋根と外壁の防水工事を適時に行っているというケースはそう多くはありません。中古住宅であっても、建物を長く大事に使いたいとお考えであれば、屋根と外壁の防水工事は、購入したらすぐに行うつもりでいたほうがよいでしょう。つまり、中古戸建ての購入予算に100万円から150万円程度のゆとりを持っておくということです。

その上で、購入前に、「いつ屋根と外壁の防水工事を行ったか」を確認するとよいと思います。仮に防水工事から10年経過していたのであれば、5年後には工事が必要になる可能性があるということになります。

筆者としては、売買契約前にインスペクションを実施し、外壁や屋根の劣化状況を見極め、防水工事をいつごろまでに実施したほうがよいのか、その場合の費用はどの程度かかるのかを、契約する前にインスペクターからアドバイスをもらっておくのがベストだと考えています。

インスペクションの結果、例えば5年後に防水工事を行えばよいと分かれば、5年間の修繕積立と、当初予算のゆとり部分の一部で十分に工事が可能となります。

木造住宅を長く使うためにも、毎月1万円の修繕積立を検討してみては如何でしょうか。

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