賢く使い分けたい 様々なインスペクション

中古住宅は古くてどこに欠陥や不具合があるかわからないので不安。そういった声は以前から多く聞かれていました。こうした中古住宅売買にかかる不安を払拭するために、本年4月1日施行の改正宅地建物取引業法により、売主と買主に対して売買契約前に建物のインスペクション(建物状況調査)を実施するかどうかの意思確認が不動産会社に事実上義務付けられました。
前回はこの建物状況調査についてご説明しましたが、インスペクションにはその他にも様々な種類が存在しています。そこで今回は、建物状況調査における課題と、その他のインスペクションについてご説明します。

賢く使い分けたい 様々なインスペクション

建物状況調査の課題

まずは、今回改正された宅地建物取引業法に規定されている建物状況調査です。これと類似しているものとしては、瑕疵保険のための調査やフラット35の調査などがあります。

建物状況調査は、一定の調査範囲の中に劣化部分があるのかどうかという調査を行うものです。ですから、その劣化事象がなぜ発生し、どのように対処すればよいのかといったアドバイスは一般に受けられません。

建物状況調査は、建築士などの有資格者が一定の講習を受けないと実施できないことになってはいますが、劣化や問題の指摘はできても、原因特定や対応方法については経験がないとアドバイスができないと言われています。今回の改正宅地建物取引業法で、売買契約前にインスペクションが実施されることが徐々に浸透するとは思いますが、売主や買主は調査結果に対してどう対応したらよいかという疑問に答えてもらえない可能性があるわけです。

さらに、宅地建物取引業法では、実際に建物状況調査を行った建築士ではなく、建築や施工に必ずしも詳しくない宅地建物取引士が建物の劣化有無について説明することになっており、ますますもって売主や買主に疑問や不安を抱えさせたままになってしまうのではないかと筆者は懸念しています。

買主のためのインスペクション

これから住まいを買う方は、その家と長くお付き合いをすることになります。そういった方のために、家と長く上手におつきあいするためのアドバイス付きのインスペクションというのがあります。特定非営利活動法人 日本ホームインスペクターズ協会(JSHI)が推進するインスペクションはこれにあたります。

このインスペクションは、建物の劣化や欠陥、不具合の有無について調査するだけでなく、劣化事象などが何故発生しているのか、それに対処するためにはどうすればよいのか、場合によっては、修繕する費用はどの程度かといったことまでアドバイスしてくれます。

また、劣化の程度がさほどでもない場合は、今すぐではなくいつ頃修繕をしておくとよいといったことまで、家と長く付き合うために必要な情報やアドバイスを依頼者に提供してくれます。時には、目視や計測だけでは原因がわからない事象でも大きなトラブルにつながりかねないと判断される事象については、破壊調査や機材を使った非破壊調査をお勧めすることもあります。

建物状況調査の資格をもつ建築士で、こうしたアドバイスができるインスペクターもいらっしゃいますので、不動産会社に相談するとよいでしょう。

気を付けたい無料リフォーム事前調査

ここまで説明してきた二つのインスペクションは、売主、買主、不動産会社とは利害関係のない第三者として中立的に建物を調査することが求められていますが、リフォームのための無料事前調査などは、必ずしも中立的とは言えません。これらの無料事前調査は、例えばリフォームの売上を上げんがための調査になりがちです。もちろん、そのようなことはしないというリフォーム会社もありますが、利益相反の相手方であるという点については認識しておく必要があるのです。

最近では、こうした無料事前調査もインスペクションと称しているケースが散見されるため、先のインスペクションとは中身が異なると認識しておいたほうがよいでしょう。

様々なインスペクション

インスペクションという言葉は同じでも、中身が異なるインスペクションがあるということを理解しつつ、何をご自身が求めるのかを考えた上でインスペクションを利用するとよいでしょう。

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