中古マンション天気図は47都道府県中の6割近くが「晴」 成約件数も過去最高水準の絶好調を維持

コロナ禍で苦戦する業界が多いなか、住宅市場、なかでも中古マンション市場の好調が続いています。価格の上昇が続くなかで、成約件数も過去最高水準を更新するほどの活況を呈しているのです。中古マンションの売出し価格が上がっているので、思いのほか高値で売却できるかもしれません。

中古マンション

28都道府県で中古マンション価格が上昇

2021年度3月 中古マンション価格天気図

2021年度3月 中古マンション価格天気図

民間調査機関の東京カンテイでは、全国の中古マンション市場を調査、毎月、47都道府県別の「中古マンション天気図」を公表しています。その評価は次の5段階です。
晴 ┄┄価格は上昇傾向にある
薄日┄┄価格はやや上昇傾向にある
曇 ┄┄価格は足踏み傾向にある
小雨┄┄価格はやや下落傾向にある
雨 ┄┄価格は下落傾向にある
2021年3月の都道府県別天気は、図表1にあるように、47都道府県のうち28都道府県が「晴」で、6割近いエリアで中古マンション価格が上がっているという結果でした。
過去1年間の推移をみると、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が発出されていた2020年5月には「晴」は8まで減少、雨模様の地域も少なくなかったのですが、2021年に入ってからは「晴」や「薄日」が増加、3月には「晴」と「薄日」で7割ほどに達しています。

図表1 中古マンション天気図の都道府県別分布の推移

2021年度3月 中古マンション価格天気図

首都圏の中古マンション価格は前月比3.3%アップ

実際、どれくらい上がっているのかをみると、21年3月の首都圏の70m²換算価格は4,021万円でした。前月比3.3%の高い上昇率です。3月は年度末で不動産市場が活発化する時期ですが、その前をみても、2月は0.8%、1月は0.6%、12月は1.0%など、安定的に上がり続けています。都県別にみると、東京都の2021年3月の70m²換算価格は5,535万円で、前月比1.4%のアップ、神奈川県は2,979万円で0.8%のアップなどとなっています。
近畿圏の70m²換算価格の平均は2,537万円で、前月比0.8%のアップでした。なかでも、京都府は3,116万円で1.6%アップ、大阪府は2,721万円で0.6%アップなどとなっています。

もちろん、その物件の立地条件、築年数、維持管理状況などによって異なりますが、この中古マンション市場の動きをみれば、いま売却を依頼すれば、思いのほか高い値段で売り出すことができ、成約できる可能性が高いのではないでしょうか。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

中古マンション成約件数は過去最高の水準に

実際、成約も好調です。公益財団法人東日本不動産流通機構が、首都圏の中古マンションの動向をまとめた『月例マーケットウォッチ』(図表2)によると、2021年3月の成約件数は4,228件で、前年同月比16.1%の大幅な増加となっています。
例年3月は年度末ということもあって、成約件数が増える傾向にはあるのですが、それでもこの4,228件という成約件数は、1990年5月に東日本不動産流通機構が発足して以来、3月として過去最高の数字だそうです。
グラフをみれば分かりますが、2020年4月に最初の緊急事態宣言が発出されたときには、成約件数が大きく落込み、価格も下がりました。新築のモデルルームの多くが閉鎖され、中古マンションなどを扱う仲介会社の多くが営業の自粛を止むなくされたのですから、それも当然のことです。

図表2 首都圏中古マンションの成約件数と成約価格の推移

東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」

コロナ禍で住まいへの考え方に大きな変化

コロナ禍が深刻化した当初には、このままマンションが売れなくなり、価格も暴落するのではないかと懸念する見方がありましたが、そんなことはありませんでした。図表2でも分かるように、中古マンションの成約件数は2020年6月から急回復し、8月には8月としての最高を更新するなど、力強さを取り戻しています。その流れが2021年も続いているのは先に触れた通りです。
コロナ禍で住まいに対する考え方が変わってきたことも影響しているのかもしれません。たとえば、リクルート住まいカンパニーの調査によると、コロナ禍後の住まいに求める条件として「仕事専用スペースがほしくなった」「宅配ボックス・置配ボックスを設置したくなった」「通風に優れた住宅に住みたくなった」「遮音性に優れた住宅に住みたくなった」などとする人が多くなっているのです。コロナ禍でも安心して過ごせる住まいを求める人が増えたことが、中古マンション人気を後押ししている面があるのではないでしょうか。

コロナ禍だからこそ中古マンションが人気に?

その点、中古マンションなら新築に比べて安くて広い住まいを手に入れることが可能になります。自分たちのライフスタイル、ライフステージに合わせて、またリモートワークしやすいようにリフォーム、あるいは感染症対策を施すなどして、自分たちだけの住まいを手に入れることができます。
コロナ禍のなかでも、中古マンションが売れ、価格が上がり続けている背景にはそんな事情がありそうです。三度目の緊急事態宣言が発出され、ウィズコロナのライフスタイルが求められる現在、中古マンション人気は当分続きそうですから、住まいを売却してステップアップするチャンスのときかもしれません。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

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