共有名義の不動産を売却する方法 <空き家を放置していると税金が6倍に!>

両親が亡くなって、田舎の土地・建物を相続したけれど、誰も住まないし、かといって売るにも共有で相続した兄弟姉妹の合意を得るのが難しく、放置したままになっている・・・そんな人が少なくないのではないでしょうか。
でも、そのままにしていると、固定資産税などのコストがかさむだけではなく、放置することが不適切な「特定空き家等」に指定され、行政の調査が入ったり、固定資産税が今の6倍になる可能性があります。そこで、今回はそうなる前に空き家を活用する方法を紹介します。

共有名義の不動産を売却する夫婦

放置すると2022年には空き家率が30%を超える!?

総務省統計局の『土地・統計調査』によると、2018年のわが国の住宅総数は約6241万戸で、そのうち約849万戸が空き家になっています。図表1にあるように、総住宅数に占める割合は13.6%に達しているのです。

しかも、野村総合研究所の予測によると、2033年には空き家が約1955万戸に増え、空き家率は27.3%に達するそうです。10件のうち3件近くが空き家になるわけで、このままでは、たいへんな事態になりかねません。

放置すると2022年には空き家率が30%を超える!?

資料:総務省統計局『住宅・土地統計調査』

17.2%の人が自宅以外の土地を所有している

この空き家のうちかなりの部分が、子どもは大都市などに出ていって、その後両親だけが住んでいたけれど、その両親も亡くなり、住む人がいなくなった住まいではないかとみられています。

実際、国土交通省の調査によると、図表2にあるように、自宅以外の土地を持っている人が、合計17.2%に達しています。現在は大都市などで居住しているため、なかなか管理できず、かといって売却するにも、「自分たちが生まれた家で、両親が大切にしていた家を売るのは忍びない」などと反対する兄弟姉妹などがいて、なかなか合意を得られないことが多いようです。

しかし、この空き家を放置していると、治安、防災、景観などさまざまな面で問題となります。

17.2%の人が自宅以外の土地を所有している

資料:国土交通省『平成30年度土地問題に関する国民の意識調査』

市区町村の命令に従わないときには50万円の罰金も

そのため、政府は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)を制定、2015年5月に完全施行しました。放置された空き家について、市区町村などが調査し、適切に対応できるように定めたもので、図表3のような段階を踏むことで、空き家を無くそうという狙いです。

まず、問題になりそうな空き家について、市区町村が立ち入り調査を行えるようにし、問題のある空き家に関しては、「特定空き家」に認定します。

この「特定空き家」というのは、行政から委任を受けた建築士や土地家屋調査士などの専門家が立ち入り調査を行い、空家等対策の推進に関する特別措置法に定めるところの「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」にあると見なされた場合に指定されます。

「特定空き家」に指定されると行政は持主に対して、適切に管理するように所有者に助言・指導できるようになります。

それでも改善が進まない場合には、勧告を行って、住宅用地としての税制上の特例措置から除外します。住宅用地は税制上、固定資産税が6分の1に軽減されているのですが、その特例をはずして、6倍にするということです。

「空家法」による行政の空き家に対する対応

2018年までの累計で行政による代執行が41件に

それでも、改善されないときには、改善の命令を出し、命令に従わないときには最大50万円の罰金を課されることがあります。最後は、行政代執行といって、市区町村などが強制的に空き家を解体、その費用を所有者に請求します。

国土交通省の調査によると、2018年度までに全国で1万5586件の空き家に関して助言・指導が行われ、うち41件が代執行に至っているそうです。

空き家を放置していると、最悪の場合、固定資産税が6倍になって、しかも行政代執行されて、その費用まで請求されることになりかねません。

そうなる前に、適切な管理を行い、将来的にも使用する予定がないことが明確なら、売却するなど、早めに手を打っておくべきでしょう。

地元の不動産会社や管理会社に管理してもらうことも

自分では管理が難しく、しかも兄弟姉妹などで共有になっている場合には、利害が対立することもあります。
ここはそうした相続財産などに関する管理や有効活用、売却などに豊富な経験を持つ不動産会社に任せるのが安心ではないでしょうか。

当面の管理に関しては地元の不動産会社、管理会社などに任せる方法もあります。自分で安心して任せられる会社を見つけるのは簡単ではないので、全国にネットワークを持つ会社に依頼するのが現実的です。建物がいたまないように、定期的に風通しや清掃などをしてもらうこともできます。

もちろん、一定の費用はかかりますが、近隣に迷惑をかけたり、また「特定空き家」に指定されて、固定資産税が6倍になるなどのリスクを防ぐためには、必要なコストではないでしょうか。

兄弟などでよく話し合って売却するのも選択肢に

自分たちが利用する可能性がないのであれば、他の選択肢を考える必要があります。

たとえば、最近は、リタイア後に田舎住まいを考える人、若いうちから地方への移住を考える人も増えています。そうした人を念頭に賃貸する手があるかもしれません。ほとんどの自治体で「空き家バンク」を運営して、情報提供を行っています。一定のリフォームを行って、そこに、載せてみるのもいいかもしれません。

それも難しいようであれば、やはり売却するのが安心です。地方の不動産の売却は簡単ではありませんから、豊かな経験を持っている不動産会社に任せるようにしたいところです。

いずれにしろ、放置していると大変なことになりかねないので、まずは共有名義になっている兄弟姉妹などでよく話し合って、その結果を踏まえて不動産会社などに相談するなど、早めに対策をとっていただきたいところです。

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