【2026年】過去10年間の公示地価推移から読み取る今後の住宅地価動向
2026年3月17日、国土交通省が標準地の地価を公示しました。
3大都市圏の過去10年間の対前年変動率と中心部平均m2単価の推移をもとに、今後の動向を不動産アナリストに予想していただきました。
※本記事に掲載している折れ線グラフは、地価公示にともなって国土交通省が公表した各都府県地価の対前年変動率をもとに編集部で作成しました。いずれも2017年の地価を100%とした場合の推移を表しています。

首都圏
都市部の居住ニーズは、依然として底堅く推移
景気と連動して上向きだった首都圏の住宅地価は、コロナ禍の停滞期を経て、2022年から上昇傾向が再開しました。1都3県すべてで対前年変動率はプラス推移を継続していますが、特に東京都は毎年上昇幅が拡大しています。
「都市部の居住ニーズが底堅く増加していることに加え、ロシアのウクライナ侵攻後の物価高騰などにより、住宅地価も上振れしやすい状況が続いているのです。また、ここ数年は東京都心部を中心に投資ニーズが集中していることも、上昇の加速要因になっていると見ています。周辺3県は、東京都の隣接エリアが上昇を牽引しています。なかでも千葉県の上昇が顕著なのは、東京都内の通勤圏ながら、まだまだ価格上昇の余地を残しているエリアが多かった影響だと考えられます。つくばエクスプレスの東京駅への延伸が検討されていることなどを受け、同線沿線の流山市や柏市、松戸市などは、特に注目度が高まっているようです」(東京カンテイ高橋さん、以下同)
イラン情勢の行方は、今後の住宅地価の動向にも影響する
高橋さんは、今年2月末に始まったアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃によって、住宅地価推移の先行きは不透明感が増大してしまったと指摘します。
「イラン攻撃前は、大手企業を中心に賃上げムードが高まっていたので、今後も住宅地価や住宅価格は上昇を続けそうな気配でした。しかし、イラン攻撃にともなうホルムズ海峡の封鎖は、原油価格の高騰やナフサを原料とする製品の受注見合わせといった事態を引き起こしています。国内経済が停滞するような情勢が長引けば、当然、消費マインドは低下するでしょう。ひいては、住宅地価の下落につながる可能性もあるのです」
名古屋圏
愛知県は堅調に上昇傾向を維持、岐阜県・三重県は停滞が続く
愛知県は首都圏同様に上昇基調にあり、2017年比で110%以上になっています。一方、岐阜県・三重県は弱含み傾向が続き、未だに10年前の水準に戻っていません。
「愛知県の住宅地価は、良くも悪くもトヨタ自動車の業績による影響を受けやすい特徴があります。ここまでの同社の業績は堅調に推移しているため、これに連動して愛知県の住宅地価も上昇傾向が続いているのでしょう。半面、岐阜県・三重県が弱含み傾向から脱却できずにいるのは、人口減少に歯止めがかかっていないからだと思われます。なお、2024年以降の三重県の住宅地価が若干上向きになっているのは、大きな工業地帯を擁していて、ある程度の住宅ニーズを喚起できている証左でしょう。また、両県のなかでも、名古屋市に出やすいエリアやリニア中央新幹線の停車駅候補となっているエリアでは、若干の上昇傾向が見受けられます」
イラン情勢とともに、岐阜県・三重県はインバウンドの捕捉がカギ
イラン情勢の行方によって住宅地価の動向が変わるという点は、首都圏同様です。また、岐阜県・三重県について、高橋さんはインバウンド需要をキャッチできるかが今後のカギを握ると言います。
「愛知県の住宅地価は、トヨタ自動車がイラン情勢のネガティブ要因をどれだけ回避できるかにかかっていると言えます。また、弱含み傾向が続いている岐阜県・三重県は、インバウンド需要をどれだけキャッチできるかにかかっているでしょう。近年の海外観光客は目が肥えてきて、王道的な観光地ではなくニッチなスポットを訪れる人が増えているようです。両県とも良質な観光スポットを複数擁していますから、インバウンドニーズをうまく誘導できれば、観光産業に従事する勤労者の増加や居住ニーズの向上を誘発する可能性があると思います」
関西圏
コロナ禍収束や大阪・関西万博によるインバウンド需要の高まりが影響
微増・微減で動きが鈍かった関西圏の住宅地価は、2024年以降、上昇傾向が顕著になり、3府県とも2026年の対前年変動率の上昇幅は拡大しています。
「2024年以降は、コロナ禍の収束や大阪・関西万博開催によるインバウンド需要の増大、万博にともなう新線・新駅の開業などで、3府県とも上昇傾向が加速しました。また、首都圏の地価や住宅価格の高騰が過熱気味であることを受け、次なる投資先として関西圏の注目度が高まったという側面もあると思います。なお、京都府は厳しい景観条例があるため開発余地が少ない傾向にありましたが、京都市以外のエリアでは規制が緩和されてタワーマンションなども増えています。これらも、府全体の地価を押し上げる要因になっていると思います。また、兵庫県は、高騰した大阪府で住宅を購入できないという人たちの受け皿になったことで、上昇傾向が高まったものと見ています」
全国的な経済情勢に加え、インバウンド需要の動向にも注意を
高橋さんは、イラン情勢が国内経済におよぼす影響もさることながら、関西圏においては特にインバウンド需要に対する影響度合いにも注意が必要だと言います。
「関西圏の住宅地価には、インバウンド需要の変動の影響を受けやすいという特徴があります。アメリカ・イスラエルのイラン攻撃にともなう原油高騰により、航空機利用時の燃油サーチャージは世界的に値上がりしていますから、これが人流の鈍化を誘発する可能性も大きいのです。また、中東の空港や上空飛行が制限されるケースも出てきているため、ヨーロッパからの観光客が減少する恐れもあります。首都圏・名古屋圏同様、イラン情勢の行方には目を光らせる必要があるでしょう」
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