2024年 中古マンションの売出事例と取引事例の価格乖離率(中部圏)
東京カンテイ 中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率の最新データを公表
中部圏 2024年下期の価格乖離率は-8.59%、拡大傾向は一服してやや持ち直す
売出・取引価格ともに前年から一段高で最高値も更新 売却期間は通年で5ヵ月間を超える

中古マンションの価格乖離率&売出→成約までの期間
中部圏における2024上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が2,814万円(前期比:+11.0%)、取引価格が2,574万円(同+12.0%)といずれも大きく上昇した。また、売出・取引事例の価格乖離率※は-8.53%で、前期から0.82ポイント縮小した。一戸建て住宅を志向しやすい土地柄や国内外からの投資ニーズを集めきれていない状況などを背景に上値が重い価格トレンドを示していたが、高騰する新築マンションに対する割安感の強まりから再び上振れる動きを示している。2024年下期での中古マンションの一戸平均価格は前期の大幅上昇からの反動もあり、売出価格が2,804万円(同-0.4%)、取引価格が2,563万円(同-0.4%)と揃って弱含んだ。また、売出・取引事例の価格乖離率は-8.59%とやや拡大したが、通年で見ればいずれも大きな変化は見られなかった。
売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2024年上期には5.52ヵ月まで長期化して集計開始以来で初めて5ヵ月間を超えた。下期には5.26ヵ月とやや下回ったが、5ヵ月間を超えている状況に変わりはない。売却期間の長期化はネガティブな要素として捉えられるのが一般的だが、価格乖離率では拡大傾向が一服して持ち直す動きも見られ、これらのデータを以て現在の市況感を総合的に判断すると必ずしも悪化の一途を辿っているとは言い難い状況にある。
売却期間の違いによる価格乖離率とそのシェア
中部圏における2024年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-3.88%であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-4.55%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から4%~6%前後値下げした金額で成約に至っていたことになる。また、売却期間が6ヵ月まで長期化すると、価格乖離率は-10%を超え始める。2023年の調査結果と比べて早期に成約まで至ったケースを中心に価格乖離率の縮小が確認できる。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは23.4%(2023年:28.0%)で、全体の2割強に相当するケースが売り出し開始から1ヵ月以内で成約に至っていた。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは44.0%(同49.8%)と4割以上を占め、売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには62.1%(同70.0%)のケースで成約に至っていた。
次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合に最もシェアが大きかったのは「-5%以内」の35.7%で、2023年まで3年連続で最大シェアを誇っていた「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」は33.2%で次点となっている。売却期間が1ヵ月以内の場合で価格乖離率が-10%を超えるケースの合計シェアは14.3%で、他の都市圏よりも大きい。一方、売却期間が6ヵ月まで長期化した場合は「-20%超」のシェアがいずれも2割以上を占めている。
※中古マンションの「価格乖離率」とは
中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率。
当記事出典元
当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2025年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
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