2024年 中古マンションの売出事例と取引事例の価格乖離率(首都圏)
東京カンテイ 中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率の最新データを公表
首都圏 2024年下期の価格乖離率は-4.19%、通年で縮小へシフト
売出・取引価格ともに上昇一服、売却期間は5ヵ月間まで長期化するも売り急ぐ動きなし
中古マンションの価格乖離率&売出→成約までの期間
首都圏における2024年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が5,069万円(前期比:-0.1%)、対する取引価格は4,847万円(同+1.9%)と8期連続のプラスを示した。一方、売出・取引事例の価格乖離率※は-4.38%と前期から2ポイント近くも縮小し、コロナ禍当初で購入ニーズが高まった2021年の水準をさらに下回った。
価格高騰が進む中でも東京都心部においては比較的資金に余裕がある購入層からの実需・投資ニーズは引き続き旺盛で、圏域平均の価格水準を押し上げている。2024年下期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が4,871万円(同-3.9%)、取引価格が4,667万円(同-3.7%)と揃ってマイナスを示した。なお、売出・取引事例の価格乖離率は-4.19%と引き続き縮小した。売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2024年上期には5.10ヵ月、下期には5.11ヵ月となっており、通年で5ヵ月間を超えた水準で推移している。

建築コストの先高観や歴史的な円安などを背景に、新築と同じく中古マンションでも連れ高の様相を呈している。特に、立地優位性や交通利便性が良好であったり、新築の代替となり得る築浅中古物件では直近の取引価格よりもさらに強気な価格に設定するケースも多く、データからは売り出し後の反響が芳しくなくても早期かつ大幅な価格改定をせずにじっくりと買い手が現れるのを待っている様子が窺える。

売却期間の違いによる価格乖離率とそのシェア
首都圏における2024年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-2.41%であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-3.45%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から5%以内の値下げで成約に至っていたことになる。2023年の調査結果と比べて4ヵ月まではやや縮小するほどで大差はなかったが、5ヵ月~12ヵ月では大幅に縮小しており、価格乖離率は期間を問わず3%台~5%台の低い水準に留まっている。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは20.6%(2023年:31.7%)で、前年から10ポイント以上も縮小した。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは45.7%(同57.4%)とこちらも大幅に縮小、今回は過半数を割り込んだ。売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには全体の2/3以上に相当する67.8%(同77.8%)のケースで成約に至っていた。

次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合で最もシェアが大きかったのは「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」の44.4%で、次いで「-5%以内」の33.2%となっている。2021年には最大シェアが「-5%以内」から「0%」にシフトしたが、直近においてもその状況が続いている。売却期間が1ヵ月以内の場合で価格乖離率が-10%を超えるケースの合計シェアは9.1%、一方で売却期間が10ヵ月まで長期化した場合には「-20%超」のシェアが2割前後まで拡大している。

※中古マンションの「価格乖離率」とは
中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率。
当記事出典元
当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2025年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
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