2024年 中古マンションの売出事例と取引事例の価格乖離率(近畿圏)

東京カンテイ 中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率の最新データを公表
近畿圏 2024年下期の価格乖離率は-7.45%、8%台を割り込むのは4期ぶり
売出・取引価格ともに最高値の更新が継続 売却期間は5ヵ月間をやや上回る水準で推移

2024年 中古マンションの売出事例と取引事例の価格乖離率(近畿圏)

中古マンションの価格乖離率&売出→成約までの期間

近畿圏における2024年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が3,478万円(前期比:+6.6%)、取引価格が3,190万円(同+6.4%)といずれも2期連続で上昇した。一方、売出・取引事例の価格乖離率※は-8.28%と前期から僅かに拡大したが、直近の最大値を更新するまでには至らなかった。次いで、下期での一戸平均価格を見てみると、売出価格が3,478万円(同横ばい)、取引価格が3,219万円(同+0.9%)と軒並み上値の重さが強まる結果となった。価格乖離率は-7.45%と0.83ポイント縮小して4期ぶりに8%台を割り込んでいる。旺盛な購入ニーズが目立つのは国内外の富裕層や投資家からの注目が一段と高まっている大阪市や京都市の中心部、人気住宅地を有する阪神エリアが中心であり、対照的に近郊~郊外エリアにある物件では一般的な購入層の伸び悩む予算レンジが重石となっている。

近畿圏 中古マンションの一戸平均価格(売出・取引)

売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2024年上期には5.39ヵ月と3期連続で長期化していたが、下期には5.24ヵ月とその動きも一服している。売却期間の長期化は他の都市圏でも見られ、いずれも5ヵ月間を超える水準で推移している。一方、価格乖離率に関してはむしろ縮小に向かっていることに鑑みれば、「期間の長期化=売り手優位の終焉」と判断するのは早計と言えよう。

近畿圏 中古マンションの価格乖離率および売却期間の推移


保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

売却時の手取り金額を試算する

売却期間の違いによる価格乖離率とそのシェア

近畿圏における2024年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-2.87%であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-4.16%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から3%~6%程度値下げした金額で成約に至っていたことになる。2023年の調査結果と比べて6ヵ月までの価格乖離率が軒並み縮小するなど、早期に成約したケースでの反響の強さが認められる。

売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは18.4%(2023年:18.8%)で、前年から僅かにシェアが縮小した。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは43.3%(同46.1%)と2023年に過半数割れとなって以降もシェア縮小に歯止めが掛かっていない。売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまで成約するケースは66.7%(同69.1%)と、依然として全体の2/3以上に相当するシェアは維持している。

次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合に最もシェアが大きかったのは「-5%以内」の43.9%で、次点は8ポイント以上も拡大した「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」の31.9%となった。売却期間が1ヵ月以内の場合でも価格乖離率が-10%を超えるケースはあるものの、それらのシェアは合わせても9.0%に留まっている。一方、売却期間が8ヵ月まで長期化した場合、「-20%超」のシェアは20%以上にまで達している。

近畿圏 売却期間別 価格乖離率シェア(2024年)

※中古マンションの「価格乖離率」とは

中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率。
 

価格乖離率 = (取引価格 - 売出価格) ÷ 売出価格 × 100%


価格乖離率が正の値となるケースはごく稀であることから、負の値となるケースのみを対象としている。また、データ抽出にあたっては、所在階数や専有面積などの情報を基に住戸の特定が可能な事例について各取引事例と当該住戸から生じた売出事例の中で最も古いもの(=最初の売出事例)を突き合わせ、売出開始から成約までに要した期間が12 ヵ月以内の組み合わせのみを対象として分析している。

近畿圏の中古マンションを探す

エリア・沿線・ご希望の条件から物件を探す

当記事出典元

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2025年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。

ご留意事項

本コンテンツに掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、当社の見解を示すものではありません。
本コンテンツに掲載の情報は執筆時点のものです。また、本コンテンツは執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び当社が保証するものではありません。
本コンテンツは、情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
本コンテンツに掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、当社は一切責任を負いません。
本コンテンツに掲載の情報に関するご質問には執筆者及び当社はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。