ボリュームゾーンから見る新築一戸建て住宅の変遷(中部圏)

東京カンテイ直近10年間における新築一戸建て住宅の供給動向を調査・分析
中部圏供給1位は「静岡」の2,887戸 愛知県内の駅では「高蔵寺」がトップに
中部圏での価格帯の中心は2,000万円台→3,000万円台へ 「徳重」は後期に4,000万円台が半数超え

ボリュームゾーンから見る新築一戸建て住宅の変遷(中部圏)

供給戸数

直近10年間の供給戸数を見ると、「静岡」「高蔵寺」「浜松」「沼津」で2,000戸を超えており、うち3駅が静岡県の主要行政区に位置する。1,000戸以上の供給があった駅でも「藤枝」「焼津」など静岡県の駅が入っている。愛知県の駅は、10位までに「高蔵寺」「春日井」「神領」「勝川」と春日井市の駅が半数近くを占めている。なおかつ、この4駅はいずれもJR中央本線沿線である。「名古屋」まで電車の乗り換えなくアクセスできる利便性から供給が集中しているようだ。

愛知県の駅でトップとなった「高蔵寺」北口側には日本三大ニュータウンの高蔵寺ニュータウンが広がる。「高蔵寺」での新築一戸建て住宅は、ニュータウン内のほか周辺エリアでも供給されている。南口側で春日井市と隣接する名古屋市守山区からの利用も多く確認できる。上位30駅で後期にかけて順位の上昇が目立つのは、「焼津」「岡崎」「清水」「豊橋」「尾張一宮」「大垣」「港北」となっており、「岡崎」を除いて前期は30位圏外からの上昇だった。また、ほとんどがJR東海道本線沿線である。「尾張一宮」など、やはり「名古屋」へのアクセス性が高い駅で供給が増加する傾向が見られる。「港北」は、2004年に名古屋市南西部の“鉄道空白地域”を解消するべく開通した名古屋臨海高速鉄道あおなみ線沿線で、同線からは「荒子川公園」もランクインしている。反対に、後期で順位を大きく落としたのは、「甚目寺」「徳重」「七宝」「岩塚」が挙げられる。愛知県あま市の「甚目寺」「七宝」は戸数自体が減少した。

中部圏 2015年~2024年における新築一戸建て住宅供給戸数ランキング上位30駅

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最寄駅からの所要時間

中部圏平均を見るとバス便を除いては、後期にかけて軒並みシェアが縮小している。特に6~10分は21.5%→18.9%と2.6ポイント縮小している。一方でバス便は9.9%→17.9%と8.0ポイント拡大しており、これが最も大きな変動であることから、首都圏や近畿圏と同様に中部圏でも供給立地が駅遠へシフトする傾向にあると言える。1位の「静岡」や3位の「浜松」では、最大シェアはバス便で変わらないものの、その数値はいずれも後期に大きく拡大し、8割を超える水準にまで達している。

後期はバス便を最大シェアとする駅が16→21と増加。「江南」「春日井」「勝川」「徳重」「岩塚」で駅徒歩圏からバス便に供給の中心が移った。「勝川」では、13.1%→34.7%と後期にかけて20ポイント以上拡大している。「徳重」は名古屋市営地下鉄桜通線の延伸に伴い開業した駅で、交通広場も併せて整備されており、充実したバス路線を活用した一戸建て住宅の供給が進んでいる。このほか、「比良」は11~15分から21分以上に最大シェアが移り、6~10分も24.0%→9.8%と大きく縮小している。愛知県を筆頭に車社会の色が強い中部圏では、上位30駅における供給は前期・後期ともに21分以上とバス便が中心となっている。ただし、中部圏平均では11~15分を最大シェアとしている。上位50駅まで視点を広げると、11~15分の区分が30%を超えて最大シェアとなっている駅が複数見られ、これらの動向が反映されているようだ。

中部圏 2015年~2024年における新築一戸建て住宅供給戸数ランキング上位30駅および属性別戸数シェア分布(%)

価格帯

中部圏平均は、最大シェアが前期の2,000万円台から後期は3,000万円台と高額にシフトした。2,000万円台は前期に52.1%と半数以上を占めていたが、後期は39.9%で12.2ポイントと大きく縮小している。後期に最大シェアとなった3,000万円台は36.7%→44.9%と8.2ポイント拡大した。加えて4,000万円台も、6.7%→12.2%と拡大し後期にかけて10%を超える水準となっている。上位30駅で高価格帯へのシフトが見られたのは「静岡」「高蔵寺」「豊橋」「徳重」「荒子川公園」「徳重・名古屋芸大」「春田」とほとんど愛知県の駅で、うち名古屋市内の駅が3駅挙げられる。特に名古屋市緑区の「徳重」は後期において4,000万円台が半数を超え、最も高い水準となっている。

一方で、前期から2,000万円台を維持したのは「浜松」「沼津」「江南」「藤枝」「焼津」「磐田」「岐阜」「甚目寺」「清水」「袋井」「大垣」「七宝」であり、岐阜県でランクインした2駅がいずれも含まれている。他は静岡県の駅が中心だが、同じ新幹線停車駅でも「静岡」と「浜松」では異なる動きが見られる結果となった。ただし「江南」など、2,000万円台のシェアが大きく縮小し、3,000万円台が20ポイント前後拡大している駅が複数確認できる。また、前期から後期にかけての4,000万円台の動きを見ると、「静岡」で14.3ポイント、「春日井」で13.5ポイント、「勝川」で10.4ポイント、「岡崎」で14.9ポイントと大きく拡大した。「岡崎」は後期において、4,000万円台が「徳重」に次いで高いシェアを占めている。一戸建て住宅志向の強い中部圏では、首都圏や近畿圏と比べれば緩やかではあるものの価格上昇の動きが読み取れる結果となった。

中部圏 2015年~2024年における新築一戸建て住宅供給戸数ランキング上位30駅および属性別戸数シェア分布(%)
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当記事出典元

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2025年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。

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