新築マンションが購入可能な目安世帯年収 2024
東京カンテイが実際に物件購入した住宅ローン利用者の年収倍率から目安世帯年収を算出しました。
※「新築マンションが購入可能な目安世帯年収」とは、新築マンション価格(70m2換算)を住宅ローン利用者が実際に物件購入した時の年収倍率で割った数値です。
※年収倍率には住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」の年収倍率(中央値)を用いており、各物件の所在地(都道府県)に応じて該当する年収倍率を適用しています。
※今回の集計時点では2024年の調査結果が公表されていなかったため、2024年の目安世帯年収に関しては2023年の年収倍率を代用して算出(暫定値)しています。
首都圏
首都圏、2024年時点では「1,000万円以上」の駅が38.3%で最多
“パワーカップル”に相当する「1,500万円以上」もこの5年間で4.2%→14.2%に拡大
目安世帯年収「2,000万円以上」の駅はJR山手線の南側エリアの周辺にも波及
2019年→2024年における各目安世帯年収※の駅数やシェア、分布状況の変化などを詳しく見てみると、最も高い水準の茶色(2,000万円以上)は5駅→21駅(シェア1.4%→7.4%)と増加しており、分布エリアもJR山手線の南側エリアのみだったものが北側エリアや周辺エリアにも拡大、一部は城南エリアや横浜市中心部でも散見されている。
昨今、大手デベロッパーからは世帯年収が2,000万円以上の“パワーファミリー”を販売ターゲットとした都心立地の新築マンションを企画・開発していくとの表明も出されているが、今回の調査結果はそれらを如実に表す形となった。“パワーカップル”と称される世帯年収に相当する赤色(1,500万円以上)に関しては15駅→40駅(同4.2%→14.2%)と、茶色以上に駅数・シェアともに増大している。2019年には茶色と同様にその多くがJR山手線の南側エリアに分布していたが、2024年では主な分布先がJR山手線の北側エリアや城南エリアなどにシフトしており、一部は東京23区以外の東京都下・神奈川県・埼玉県でも確認され始めている。
また、桃色(1,000万円以上)に関しては90駅→108駅(同25.4%→38.3%)と前述した2つの区分と同じく増加しており、シェアに至っては全ての区分の中で最も大きく拡大、最大シェアも緑色から桃色へと一気にシフトしている。2019年にはJR山手線エリアを中心にその多くが東京23区内に留まっていたわけだが、2024年ではJR山手線エリアからほとんど姿を消しており、郊外エリアへのシフトが顕著となっている。一部では「横浜」「北千住」「西船橋」などのターミナル駅以遠のエリアまで分布先が及んできている。




保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。
中部圏
中部圏、2024年時点では「600万円以上」の駅が36.2%で最多
この5年間で「800万円以上」や「1,000万円以上」のシェア拡大、高所得層にシフト
首都圏や近畿圏と違い「1,500万円以上」や「2,000万円以上」の駅は確認されず
中部圏においても首都圏や近畿圏と同様にこの5年間で目安世帯年収が全域的に押し上がっていることに変わりはないが、その度合いは非常に小さく、また2024年時点で「1,500万円以上」や「2,000万円以上」の駅が確認されなかった点も特徴である(2023年時点では「池下」「矢場町」の2駅で「1,500万円以上」)。
2019年→2024年における各目安世帯年収※の駅数やシェア、分布状況の変化などを詳しく見てみると、桃色(1,000万円以上)に関しては3駅→13駅(シェア3.1%→18.8%)と駅数・シェアともに増大している。分布先が東山エリアやJR名古屋駅東側エリアである点は変わりないものの、それぞれのエリア内で駅数が増加するとともに分布範囲も拡大している。また、橙色(800万円以上)も9駅→17駅(同9.2%→24.6%)と増大、主な分布先は依然として名古屋市中心部のままだが2024年では西三河エリアにも散見され始めている。
一方、緑色(600万円以上)は40駅→25駅(同40.8%→36.2%)と減少、シェアも縮小したが依然として全体の1/3以上を占めており、最大シェアの座は青色からシフトする結果となった。青色(600万円未満)に関しては2019年当時で全体の4割以上のシェアを占めており、名古屋市内にも数多く分布していたが、駅数・シェアの変化を見ると46駅→14駅(同46.9%→20.4%)と半分以下の水準まで縮減し、名古屋市内で確認できる駅も僅かしか残っていない。




近畿圏
近畿圏、2024年時点では「1,000万円以上」の駅が31.2%で最多
2019年当時に最大シェアを誇っていた「600万円未満」は43.6%→6.0%と急激に縮小
5年前に見られなかった目安世帯年収「2,000万円以上」の駅が近畿圏でも新たに登場
2019年→2024年における各目安世帯年収※の駅数やシェア、分布状況の変化などを詳しく見てみると、最も高い水準の茶色(2,000万円以上)が0駅→4駅(シェア0.0%→2.0%)と新たに確認され始めている。分布エリアは大阪市中心部に3駅、京都市中心部に1駅で、目安世帯年収の水準が比較的高い阪神エリアでは次点の赤色の駅を含めてまだ確認されていない。近年、大阪市や京都市の中心部では国内外の投資家や富裕層などからの旺盛な実需・投資ニーズによって新築マンション価格が押し上がってきており、今後も当該区分の駅数・シェアがさらに増大する可能性は高い。
赤色(1,500万円以上)も1駅→9駅(同0.4%→4.5%)と増加している。その多くはこれまで主な分布先であった京都市中心部での増加分となっているわけだが、2024年には大阪市中心部でも登場してきている。桃色(1,000万円以上)に関しては9駅→62駅(同3.7%→31.2%)と大幅に増加しており、シェアに至っては全ての区分の中で最も大きく拡大、最大シェアも青色から桃色へと一気にシフトしている。2019年には大阪市や京都市の中心部、阪神エリアにそれぞれ散見される程度であったが、2024年ではそれらのエリア内で駅数が増加するとともに分布範囲も拡大、さらには奈良県や和歌山県の県庁所在地周辺でも確認され始めている。
また、橙色(800万円以上)も36駅→52駅(同14.7%→26.1%)と前述した3つの区分と同じく増加している。主に大阪市中心部から一般的な購入層がメインの周辺エリア(北摂エリア・京阪エリア・大阪市以南)に分布先がシフトしてきており、一部では神戸市以西や奈良市周辺などの郊外エリアにも及びつつある。




当記事出典
当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2025年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
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