2023年 中古マンションの価格乖離率＆売却期間（近畿圏）

近畿圏における2023年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が2,942万円（前期比：－2.4％）、取引価格が2,693万円（同－2.9％）と揃って下落、取引価格に至っては続落となった。一方、売出・取引事例の価格乖離率※は－8.46％と前期から0.53ポイント拡大した。次いで、下期での一戸平均価格を見てみると、売出価格が3,264万円（同＋10.9％）、取引価格が2,999万円（同＋11.4％）と上期までの上値の重い動きから一変して大きく上昇、直近における最高値を再び上回る結果となった。価格乖離率は－8.12％と拡大傾向に歯止めが掛かったものの、依然として高い水準であることに変わりはない。一般的な勤労者の実需ニーズがメインの近郊～郊外エリアにある物件では反響の鈍さが見られる一方で、大阪市や京都市の中心部では依然として資金に余裕がある購入層からの旺盛なニーズを背景に価格が上振れるなど異なる動きが生じている。

売出→成約までの期間（売却期間）を見てみると、2023年上期には4.90ヵ月とこれまでの緩やかな短縮傾向から長期化に転じ、下期には5.13ヵ月と5ヵ月間を超える状況に至っている。売却期間の長期化は他の都市圏でも見られるが、その水準は首都圏（4.15ヵ月）や中部圏（4.92ヵ月）を上回っており、一般的な購入者を中心に価格高騰するに連れて物件購入に対する姿勢が一段と慎重になってきている。

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近畿圏における2023年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は－3.69％であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は－5.33％となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から5％程度値下げした金額で成約に至っていたことになる。2022年の調査結果と比べて価格乖離率が－10％を超え始めるタイミングは早まっており、また4ヵ月～6ヵ月ではいずれも拡大するなど反響次第で早期に価格調整する動きが認められる。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは18.8％（2022年：23.8％）で、前年から5ポイントもシェアが縮小した。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは46.1％（同52.5％）と過半数を割り込む状況となっている。売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまで成約するケースは69.1％（同75.2％）と、反響の鈍化で売却期間が長くなるケースは着実に増加しつつある。

次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合に最もシェアが大きかったのは「－5％以内」の42.6％で、次いで「－10％以内」の23.1％となっている。売却期間が1ヵ月以内の場合でも価格乖離率が－10％を超えるケースはあるものの、それらのシェアは合わせても14.1％に留まっている。一方、売却期間が5ヵ月まで長期化した場合、「－20％超」のシェアは13.6％まで拡大しており、さらに6ヵ月以上まで長期化した場合にはそのシェアは20％前後にまで達している。

中古マンションが売りに出された際の価格（＝売出価格）とその物件が成約に至った際の価格（＝取引価格）の差額との比率。
 

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集（2024年7月31日配信）」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。