一戸建て住宅・価格と戸数の動向~マンション・一戸建て住宅データ白書2023

東京カンテイが「マンション・一戸建て住宅データ白書 2023」を発表しました。 三大都市圏の一戸建て住宅は新築・中古ともに平均価格が上昇、新築一戸建ての土地・建物面積は全国的に縮小傾向が見られます。

一戸建て住宅・価格と戸数の動向~マンション・一戸建て住宅データ白書2023

三大都市圏 新築・中古一戸建て住宅の価格と土地面積・建物面積の変化

三大都市圏 新築・中古一戸建て住宅の価格と土地面積・建物面積の変化

【首都圏】新築一戸建ては調査開始以来の最高額を連続更新 土地・建物面積は新築で縮小、中古で拡大

首都圏における新築一戸建て住宅の2023年の一戸平均価格は4,769万円で、2022年の4,523万円と比べ+5.4%上昇した。2015年の調査開始以来最高額を3年連続で更新した。首都圏の新築マンションの一戸平均価格は2023年に8,094万円で前年比+30.9%上昇したことと比較すると、マンションの価格上昇が前年から逆転して上回る結果となった。平均土地面積は前年比-2.4%の113.6m²、平均建物面積は-0.6%の98.4m²と、価格の上昇に対し前年から連続して縮小した。

一方、中古一戸建て住宅の2023年の一戸平均価格は4,016万円で、2022年の3,919万円と比べ+2.5%の上昇となった。首都圏の2023年における中古マンションの一戸平均価格は4,270万円で+4.5%上昇したことと比べると、ともに連続上昇ではあるが上昇率は縮小した。平均土地面積は前年比+0.9%の126.7m²、平均建物面積は+0.2%の99.9m²と、いずれも拡大が続いた。縮小する新築一戸建て住宅とは全く逆の傾向を示しており、特に新築価格が高騰する中では、広くて割安な中古一戸建て住宅は引き続き一定のニーズがあると考えられる。

【中部圏】新築・中古ともに価格上昇続く 新築マンションが大きく上昇の一方で新築一戸建ては鈍化

中部圏における新築一戸建て住宅の2023年の一戸平均価格は3,417万円で、2022年の3,396万円と比べ+0.6%上昇した。2015年の調査開始以降8年連続で価格が上昇しているが、上昇率は前年から大きく縮小した。2023年の中部圏の新築マンション一戸平均価格が3,874万円で+10.0%上昇したことと比べると、依然として一戸建て住宅のニーズが高いことを受けて価格は抑えられ、中部圏での戸建てニーズがより高まる動きとなっている。平均土地面積は前年比-0.8%の147.3m²、平均建物面積は-0.8%の102.4m²といずれも連続して縮小した。

一方、中部圏における中古一戸建て住宅の2023年の一戸平均価格は2,447万円で、2022年の2,391万円と比べ+2.3%上昇した。7年連続の上昇で、前年から上昇率が拡大した。中部圏における2023年の中古マンション一戸平均価格は2,278万円と+3.8%上昇したことと比較して、マンションと一戸建ての上昇率の差が前年より縮小した。平均土地面積は前年比+0.4%の166.0m²、平均建物面積は前年比+0.6%の109.5m²と、平均土地面積が拡大に転じた。

【近畿圏】一戸建て平均価格の変動は新築ではマンションと比べ小幅に留まる 中古はマンションより大きく上昇

近畿圏における新築一戸建て住宅の2023年の一戸平均価格は3,680万円で、2022年の3,544万円と比べ+3.8%上昇した。近畿圏の2023年の新築マンション一戸平均価格が4,965万円で-3.5%下落したことと比べると、一戸建て価格は連続で上昇するという、全く異なる様相を呈している。平均土地面積は前年比-1.2%の115.5m²、平均建物面積は-0.5%の100.6m²といずれも縮小した。

一方、近畿圏における中古一戸建て住宅の2023年の一戸平均価格は2,589万円で、2022年の2,518万円と比べ+2.8%上昇した。近畿圏における2023年の中古マンション一戸平均価格は2,758万円で+5.3%上昇したことと比較すると、一戸建ての上昇が鈍くなり、マンションの上昇率と差が開いた結果となった。平均土地面積は前年比+1.4%の122.9m²、平均建物面積は+0.5%の101.7m²とともに拡大した。

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土地面積帯別/建物面積別戸数シェア推移

【首都圏】土地面積帯別戸数シェア推移中古一戸建ては120m²以上の面積帯が拡大

首都圏新築一戸建ての土地面積帯別シェアを見ると、引き続き広い面積帯のシェアが縮小。50m²以上80m²未満が18.2%→19.8%、80m²以上100m²未満が15.5%→16.5%、100m²以上120m²未満が24.5%→24.7%と拡大した。一方で、120m²以上150m²未満は23.9%→23.3%、150m²以上200m²未満は14.0%→12.2%、200m²以上300m²以下は3.9%→3.5%と縮小している。

中古一戸建ての土地面積帯別シェアを見ると、前年から大きな変動は見られず、最も大きな変動は50m²以上80m²未満で、18.5%→17.7%と縮小した。ただし首都圏は前年に、それまで続いていた縮小傾向が反転しており、2023年も120m²以上の面積帯がシェアを拡大。新築とは全く異なる動きを見せている。2023年の首都圏の中古土地面積は連続して拡大し、前年比+0.9%であった。

首都圏 新築・中古一戸建て住宅土地面積帯シェア推移

【首都圏】建物面積帯別戸数シェア推移新築一戸建ては資材価格高騰の影響が続く

首都圏新築一戸建ての建物面積帯別シェアを見ると、100m²を境に狭い面積帯は軒並み拡大、広い面積帯は軒並み縮小した。80m²未満は7.1%→7.6%、80m²台は10.8%→11.5%、90m²台は35.8%→37.4%と拡大。合計56.5%のシェアで、前年の53.7%から拡大した。100m²台は32.2%→30.3%、110m²台は10.3%→9.6%、120m²以上は3.8%→3.6%と縮小。資材価格高騰の影響は2023年も継続し、3圏域すべてで新築価格が上昇する一方で建物面積は縮小する動きが見られた。広さへのニーズは中古へ流れ、中古は3圏域で建物面積が拡大する結果となった。

中古一戸建ての建物面積帯別シェアは、80m²未満のみ縮小し、17.5%→16.7%となっている。その他の面積帯は80m²台が15.7%→15.9%、90m²台が26.1%→26.2%、100m²台が17.8%→17.9%、110m²台が8.2%→8.4%、120m²以上が14.7%→14.9%と拡大。ただし分布に大きな変化は見られない。2023年の首都圏の中古建物面積は前年比+0.2%とやや拡大した。

首都圏 新築・中古一戸建て住宅建物面積帯シェア推移

【中部圏】土地面積帯別戸数シェア推移新築一戸建ては100m²以上120m²未満を中心に拡大

中部圏新築一戸建ての土地面積帯別シェアは、中間の土地面積帯が特にシェアを拡大した。100m²以上120m²未満が15.2%→17.3%、120m²以上150m²未満が28.1%→28.3%と拡大している。一方で50m²以上80m²未満、150m²以上200m²未満、200m²以上300m²以下はそれぞれ縮小した。

中部圏中古一戸建ての土地面積帯別シェアは、100m²以上120m²未満が11.7%→10.9%と縮小したのが、最も大きな変動となった。この他に縮小した面積帯を見ると、50m²以上80m²未満、100m²以上120m²未満が縮小している。一方、80m²以上100m²未満、120m²以上150m²未満、150m²以上200m²未満は拡大し、200m²以上300m²以下は横ばい。2023年の中部圏の中古土地面積は前年から反転拡大し、前年比+0.4%となっている。

中部圏 新築・中古一戸建て住宅土地面積帯シェア推移

【中部圏】建物面積帯別戸数シェア推移新築一戸建ては100m²未満の合計シェアが拡大

中部圏新築一戸建ての建物面積帯別シェアは、90m²台が31.6%→33.8%と、さらにシェアが拡大した。他圏域と比較して平均建物面積が広い中部圏は、2021年までは狭い面積帯と広い面積帯が同時に拡大する傾向が見られたが、前年からは100m²未満の面積帯で合計シェアが拡大。2023年は41.5%となっている。

中部圏中古一戸建ての建物面積帯別シェアは、110m²台が14.9%→16.7%と拡大したのが最も大きな変動であった。これに次ぐ動きは90m²台で17.1%→15.6%と縮小している。80m²台が7.9%→8.0%と僅かに拡大したが、前述の110m²台を中心に100m²以上の面積帯がシェアを拡大。100m²台が23.3%→23.7%、120m²以上が25.6%→25.8%と拡大している。2023年の中部圏の中古建物面積は前年比+0.6%の109.5m²となっている。

中部圏 新築・中古一戸建て住宅建物面積帯シェア推移

【近畿圏】土地面積帯別戸数シェア推移新築一戸建ては広い面積帯がシェアを奪われる形に

近畿圏新築一戸建ての土地面積帯別シェアを見ると、狭い土地面積帯のシェアが拡大し、広い土地面積帯はシェアが奪われる形となった。最も大きく拡大したのは50m²以上80m²未満で、21.0%→22.9%の拡大。次いで80m²以上100m²未満が14.9%→16.2%と拡大したが、100m²以上120m²未満が21.6%→21.1%、120m²以上150m²未満は22.7%→19.4%縮小。150m²以上200m²未満、200m²以上300m²以下は拡大しているものの、2023年の近畿圏の新築土地面積は前年比で-1.2%縮小している。

中古一戸建ての土地面積帯別シェアは、広い面積帯がややシェアを拡大する形となった。120m²以上150m²未満は13.4%→14.2%、150m²以上200m²未満は16.0%→16.5%、200m²以上300m²以下は11.6%→11.9%と拡大。2023年の近畿圏の中古土地面積は前年から反転して拡大し前年比+1.4%となった。

近畿圏 新築・中古一戸建て住宅土地面積帯シェア推移

【近畿圏】建物面積帯別戸数シェア推移中古一戸建ては100m²以上が47.9%を占める

近畿圏新築一戸建ての建物面積帯別シェアを見ると、90m²台が34.7%→36.5%に拡大した。また、120m²以上が4.2%→4.5%と拡大したものの、100m²台は36.8%→34.7%、110m²台は12.5%→11.3%と縮小。前年に縮小傾向へ転じた近畿圏の新築建物面積は、引き続き縮小している。

近畿圏中古一戸建ての建物面積帯別シェアは、100m²以上の面積帯でシェアが拡大した。100m²台が18.0%→18.6%、110m²台が10.5%→11.2%、120m²以上が17.6%→18.1%と拡大。合計シェアは47.9%となっている。一方で、80m²未満は18.8%→18.6%、80m²台は13.8%→13.2%、90m²台は21.3%→20.3%と軒並み縮小している。2023年の近畿圏の中古建物面積は前年比+0.5%で、拡大傾向を強めている。

近畿圏 新築・中古一戸建て住宅建物面積帯シェア推移

全国都道府県別 新築・中古一戸建て住宅供給戸数

全国都道府県別 新築・中古一戸建て住宅供給戸数

一戸建て住宅調査対象の条件:(1)敷地面積50~300m2の物件(2)最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内の物件(3)木造(4)土地・建物ともに所有権の物件


対象地域:全国
地域区分:【首都圏】東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県
【近畿圏】大阪府 兵庫県 京都府 滋賀県 奈良県 和歌山県
【中部圏】愛知県 岐阜県 三重県 静岡県

【首都圏】新築分譲戸数は前年比+9.0%と増加に転じる中古流通戸数は+15.9%と大きく増加

新築一戸建ては2023年に全国で115,685戸分譲された。2022年の114,207戸と比べ+1.3%増加した。同年の新築マンションの分譲戸数は74,964戸であるので全国で1.54倍の新規供給量となった。また新築マンションは前年比-16.7%の減少となったが、一戸建ては+1.3%増加した。物価上昇の影響は一戸建て・マンションともに及んでいるが、マンションはより供給立地が絞られ価格が高騰した結果、実需層の一戸建てへのシフトが進んだと考えられる。首都圏では2023年に54,993戸が分譲され、2022年の50,466戸と比べ+9.0%と、4年連続の減少から大きく上昇に転じた。埼玉県のみ-0.1%と僅かに減少したが、他都県は軒並み増加した。特に東京都が+18.6%と大きく増加しており、前述のマンション価格高騰の影響が見て取れる。東京都は16,220戸の新規供給があり、これは新築マンションの2023年における分譲戸数20,020戸の81.0%に当たる量である。
中古一戸建ては2023年に全国で85,217戸流通した。2022年の72,624戸と比べ+17.3%と前年の反動もあり大きく増加した。首都圏では2023年に30,750戸が流通し、前年の26,539戸と比べ+15.9%増加した。

【中部圏】新築分譲戸数は前年比-6.8%の減少中古流通戸数は+19.1%と大きく増加

新築一戸建ては2023年に全国で115,685戸分譲された。2022年の114,207戸と比べ+1.3%増加した。
同年の新築マンションの分譲戸数は74,964戸であるので全国で1.54倍の新規供給量となった。また新築マンションは前年比-16.7%の減少となったが、一戸建ては+1.3%増加した。物価上昇の影響は一戸建て・マンションともに及んでいるが、マンションはより供給立地が絞られ価格が高騰した結果、実需層の一戸建てへのシフトが進んだと考えられる。中部圏では2023年に15,119戸が分譲され、2022年の16,219戸から-6.8%減少した。前年と同様に三重県のみ増加したが、同県の新築マンション供給は前年比-26.1%と大きく数字を落としている。
中古一戸建ては2023年に全国で85,217戸流通した。2022年の72,624戸と比べ+17.3%と前年の反動もあり大きく増加した。中部圏では2023年は8,213戸が流通し、前年の6,898戸と比べ+19.1%増加した。

【近畿圏】新築分譲戸数は前年比-0.3%、中古流通戸数は+14.3%

新築一戸建ては2023年に全国で115,685戸分譲された。2022年の114,207戸と比べ+1.3%増加した。
同年の新築マンションの分譲戸数は74,964戸であるので全国で1.54倍の新規供給量となった。また新築マンションは前年比-16.7%の減少となったが、一戸建ては+1.3%増加した。物価上昇の影響は一戸建て・マンションともに及んでいるが、マンションはより供給立地が絞られ価格が高騰した結果、実需層の一戸建てへのシフトが進んだと考えられる。近畿圏では2023年は16,654戸が分譲された。2022年の16,701戸と比べ-0.3%減少した。大阪府では7,241戸が分譲され前年比-0.8%の減少となった。近畿圏では大阪府が連続して前年比減少し、前年増加した兵庫県と奈良県も減少に転じた。
中古一戸建ては2023年に全国で85,217戸流通した。2022年の72,624戸と比べ+17.3%と前年の反動もあり大きく増加した。近畿圏では2023年は20,258戸となり、前年の17,717戸と比べ+14.3%増加した。

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当記事出典

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2024年1月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。

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