2022年 中古マンションの価格乖離率&売却期間(近畿圏)
東京カンテイ 中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率の最新データを公表
近畿圏 2022年下期の価格乖離率は-7.93%、コロナ以降で最大に
売出価格が3千万円の大台に達するも取引価格の上昇は限定的 売却期間は概ね安定推移
中古マンションの価格乖離率&売出→成約までの期間
近畿圏における2022年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が2,993万円(前期比:+0.6%)、取引価格が2,782万円(同+0.4%)と揃って続伸、ただし上昇度合いは大きく鈍化した。一方、売出・取引事例の価格乖離率※は-7.05%と前期から0.13ポイント拡大した。これまでは近畿圏でも“売り手市場”の様相を呈していたが、上昇度合いは首都圏ほど強くなく、直近にかけては在庫数の増加や反響の鈍さのみならず、上値の重さも出始めている。2022年下期での一戸平均価格は、売出価格が3,013万円(同+0.7%)と3期連続のプラスを示して3千万円の大台に達したのに対して、取引価格は2,774万円(同-0.3%)と僅かながら5期ぶりに反落した。また、売出・取引事例の価格乖離率は-7.93%と新型コロナ以降で最大となっており、売出価格の上昇に取引価格が徐々についてこられない状況となってきている。

売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2022年上期には4.50ヵ月、下期には4.43ヵ月と2021年上期のピーク時から徐々に短くなってきている。ただし、直近においても首都圏(3.22ヵ月)や中部圏(3.82ヵ月)を依然として上回っており、前述した価格乖離率の拡大と併せて、価格高騰に伴って買い手側が物件購入に対して慎重になってきてる様子が窺える。

売却期間の違いによる価格乖離率とそのシェア
近畿圏における2022年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-3.92%であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-5.18%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から5%程度値下げした金額で成約に至っていたことになる。また、売却期間が7ヵ月まで長期化すると、価格乖離率は-10%を超え始める。2021年の調査結果と比べて、大半の売却期間で価格乖離率は概ね拡大している様子が確認できる。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは23.8%(2021 年:24.7%)で、全体の1/4弱が売り出し開始から1ヵ月以内で成約に至っていた。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは52.5%(同51.4%)と過半数を占め、売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには全体の3/4に相当する75.2%(同72.5%)のケースで成約に至っていた。
次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合に最もシェアが大きかったのは「-5%以内」の40.4%で、次いで「-10%以内」の23.9%となっている。売却期間が1ヵ月以内の場合でも価格乖離率が-10%を超えるケースはあるものの、それらのシェアは合わせても13.6%に留まっている。一方、売却期間が5ヵ月まで長期化した場合、「-20%超」のシェアは12.2%まで拡大しており、さらに8ヵ月以上まで長期化した場合にはそのシェアは20%前後にまで達している。
※中古マンションの「価格乖離率」とは
中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率。
当記事出典元
当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2023年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
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