戸建住宅で気を付けたい“防犯性”

マンション購入の際はオートロックなどのセキュリティシステムの有無が重要なチェックポイントに挙げられますが、戸建購入となると新築・中古共に、事前の防犯チェックが二の次になりがちです。防犯カメラ設置や警備保障システム加入とまでいかなくても、“安全な我が家”を手に入れたいものですね。物件購入前のチェックポイントや、暮らしやすさとデザイン性も考慮した防犯の工夫をご紹介します。

戸建住宅で気を付けたい“防犯性”

戸建住宅を取り巻く犯罪状況の確認

防犯性について警察庁による「侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和2年)」(図表1)を見てみると、戸建住宅が全体の約4割を占めているのが現実です。マンションの場合、高価なセキュリティシステムを管理費として住人全員で費用を負担するのに対し、戸建住宅では負担が個人にのしかかることから対策が手薄になることも原因の一つと言えるでしょう。また、同じ床面積でもマンションより窓の数が多いため、施錠忘れ(無締り)も起こりがちです。
やはり住宅・土地購入前に、“防犯対策”という視点で、周辺立地や住宅自体を確認することはとても重要です。空き巣が多い時間帯でもある平日昼間の人通りや夜間の外灯の明るさだけでなく、隣家の塀や植栽、電柱から入りやすくなっていないかなどの確認も必要といえるでしょう。

図表1:侵入窃盗の発生場所別認知件数
図表2:一戸建住宅

開口部=侵入口の状態と防犯対策

1.サッシ

侵入手口で無締りの次に多いのはガラス破りです。(図表2参照)サッシを後から交換するのはかなりの施工手間や費用がかかるので、防犯ガラスの必要性については購入前や建築前の確認・計画が重要です。トップライト(天井窓)やハイサイドライト(壁の高い位置にある窓)、スリット窓などは、インテリア性も高く、防犯性もあるので新築計画の際は検討しましょう。
また、戸建購入後に対応できるものとして、ガラス破りの侵入に時間がかかることで抑止力となる二重ロックタイプのクレセント錠への交換や、防犯用ガラスフィルム貼りなどもお薦めします。特にガラスフィルムは「防犯性能の高い建物部品」の認定基準に基づいた製品(CPマーク付き)を専門業者が施工することで、充分な性能を発揮することを覚えておきましょう。

他に人が出入りできる大きさの1階窓用で定番になりつつある防犯商品が窓シャッターです。シャッター本体は閉めた状態でも、羽根(スラット:ブラインドのように角度を変えることができる部分)を調整することで換気ができるので、室内環境も防犯性も良好に保てます。

サッシ

2.玄関ドア

施錠開け(破り)防止で気になる玄関ドアですが、様々な対応がなされた商品があるので、デザインだけでなく鍵の防犯性能にも注目しましょう。例えば、ドア自体にドリルで穴を開けるなどしてそこから操作して鍵を開けるサムターン回しへの対策や、鍵穴からの操作によるピッキングへの対策キーシステムや、採光ドアのガラス部の防犯性強化を施すなど、中古物件などの場合は最新の機能が備わっていない場合もあるので確認が必要です。

また、リフォーム済の中古物件を購入した際には、売主や前居住者だけではなく、リフォーム会社が鍵のスペアを持っているかもしれないことも考慮して、新しい鍵への交換を申し入れてもよいでしょう。(費用は自己負担になることがあります)

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

設備機器や盲点箇所への防犯意識

1.設備機能

最近のカメラ付きインターホンは、広角で録画機能付きになっている物が多いので、新しい設備になっていると安心です。インターホンは門や塀の外に取付け、敷地内に他人が安易に入れなくなっていると防犯性が上がると言われています。そういった理由で玄関ドア付近のインターホンを門塀に取り付け直すなど、場所を変更することもあるでしょう。その場合、ワイヤレスインターホンという選択肢もあります(屋外カメラインターホンと室内モニターの距離が離れている等、設置環境によっては利用できない場合があります)。手軽に設置できるように設計されているため、一般的に行う施工業者との打合せや日程調整などの時間や施工費用を抑制できるメリットがありますが、電波の状態などに影響されることがあるので注意が必要です。

センサー付きライトは、ポーチ灯だけではなく駐車場や裏庭など道路や家から見えにくい場所に取り付けるのも効果的です。人感センサーはもちろん、外光の明るさや設定時間で点灯消灯したり、人が30秒以上居続けるとフラッシュしたり、それらを一つの器具で設定可能な物もあります。
設備機器等のチェックは設置の有無や性能だけでなく、本体の耐用年数や配線の古さによる不具合などの確認もできたら良いでしょう。

2.裏庭・2階以上の開口部

裏庭や敷地内の細い通路は盲点になりがちですが、少し前から防犯対策の一つに挙がっている砂利敷は、踏み歩くと音が出るものなどがあり、防犯だけでなく雑草成長の抑制や景観の良さにも一役買うのでお薦めです。
2階以上の窓は安全と考えがちですが、室外機や塀に足をかけてベランダに飛び移ったり、カーポートの屋根や樋をつたって侵入されることもあるようです。足場となる物の設置位置関係を注意し、市販されている室外機カバー(温風吹き出しを妨げず意匠性を良くする商品等)を付けてプランターなどで飾れば侵入を防ぐ障害物にもなる上、デザイン性のあるエクステリアにもなります。

暮らしとデザイン、防犯の備え

犯罪者は普段から下見を重ね、目を付けた住宅の弱点や住人の様子を伺っているので、外から見やすい部分にスキを見せない工夫が必要です。室内が見えにくいミラーレースカーテンや、ベランダ手摺にハンギンググリーンなどがあれば抑止力になるでしょう。
長い旅行などで留守が気になる場合は、時間設定機能のついている照明器具にすると夜間に照明が点いて在宅しているようにみせられます。また、外出先でも来客対応ができるスマートドアホンなど、普段の暮らしの利便性向上と同時に空き巣対策にもなり得ます。

長引くコロナ禍で「置き配」サービスが定着しましたが、届いた商品が盗まれたり、ドア外に置きっぱなしになっていることで空き巣に狙われるような犯罪も生まれているそうです。戸建住宅にはあまり普及していなかった宅配BOXも、今では大きさやカラーが選べるようになっているので選択肢に入れるのも良いでしょう。

最近では減ったと言われる“ご近所付き合い”ですが、せっかく長く住むことを前提で戸建住宅を購入・新築するのであれば、内覧だけでなく早いうちから、防犯確認含めご近所との交流をはかり、周囲一帯で防犯性の高い暮らしを手に入れられると良いですね。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

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