自然災害に備えた強い家とは ~暮らし方から考える~

物件購入には、資金面や立地面など、どうしても譲れない条件があります。しかし昨今の都市型自然災害への備えの観点から、同じ金額や立地なら、災害に備えた物件で安心・安全に暮らしたいと思うものです。
そこで、できるだけ災害に強い暮らしを手に入れるために、物件購入時のチェックポイント、および購入後にできる工夫についてご紹介します。

自然災害に備えた強い家とは ~暮らし方から考える~

災害時をイメージして物件検討を

1. 災害に強い物件の条件とは

都心部のマンションだけでなく、郊外の大型物件や高齢者だけの世帯など、自宅から避難所までの移動が困難な場合に備え、災害時に「自宅避難」ができるかが大切なポイントです。そこで、物件購入の際には、自宅で安全に避難生活が送れるかの視点で災害に強い物件かどうかを検討しましょう。

まず物件のハード面については、建築基準法上のいわゆる新耐震基準や耐震・免震構造に加えて、地域のハザードマップなどから地形や立地面の安全性について確認ができます。さらに、自宅避難時の生活をイメージするとリスクに直結したソフト面でチェックポイントが見えてきます。
例えば、マンションなどの共同住宅であれば、
1.物件独自の防災マニュアルがあるか
2.災害時の備蓄品の倉庫や自家発電設備がどこにあるか
3.防災センターに警備員・管理人がいるか(24時間・365日かどうか)
などです。

災害後、長く避難生活が続く場合もあるので、ハード面はもとより生活に直結するソフトの面で災害時に強いかどうか、具体的に検討するようにしましょう。

2. 動線・間取りから考える防災

災害時には、自分の身を守るために避難動線の確認はとても重要です。物件購入時には、見落としがちな共用部についても、避難時を具体的に想定して確認しましょう。
複数人がスムーズに通れる廊下幅があるか、途中に階段や段差はないか、バリアフリー対応のスロープがあるかなどです。またエレベーターが動かなくなることを想定して、非常階段へのアプローチなどのチェックも必要です。また、1階共用部については、トイレがあれば自宅のトイレが使えない際に災害用として活用できたり、広さにゆとりがあれば災害時に住人同士の情報交換の場にもなるので、被災時の観点から確認してみましょう。

次に専有部については、
1.玄関: 避難がしやすいように、靴はもちろん避難グッズ、備蓄品などを収納できる
 充分なスペースがあるか(シューズインクローク等)。
2.廊下(通路):充分な幅があり、危険な段差が無いかどうか。
 居室扉の開き方で廊下がふさがらないか。引き戸も狭い通路には有効です。
3.バルコニー:避難はしごや避難ハッチの設置とそれが使用できる状態かどうか。
など、内覧時には図面を見ながら具体的に確認しましょう。

また間取りについては、災害時に共助のためにも、普段から近隣の方とコミュニケーションを取りやすいよう、玄関まわりに土間などの余裕がある間取りがおすすめです。部屋の中まで入らなくも、玄関の近くで話しをしたりと、普段から気軽に情報交換をする場として使うことができます。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

インテリアの工夫で防災力をプラス

最近は新築物件にこだわらず、中古物件を購入し、リフォーム・リノベーションを施してライフスタイルに合わせてカスタマイズする方も増えています。物件内覧時に防災力が弱いと感じても、リフォームや家具の工夫で、防災力がプラスされれば、物件購入の決断ができるかもしれません。物件購入前に、その工夫が施せるかをチェックしてみましょう。

1. 家の中に避難スペースを作る

自宅避難生活では、家具の転倒や窓ガラス破損による怪我、環境の変化による病気などの2次的被害を防ぐのはとても大切です。家具の転倒防止金物の取付けや窓ガラスへの飛散防止フィルム貼りだけでなく、安心して過ごすための工夫として、家の中に避難スペースが作れるとよいでしょう。フローリングやタイルの床での避難生活は、床の硬さや冷たさがつらいものです。そこで足触りがよいカーペットを敷いたり、可動式の畳収納を置いたりするのもおすすめです。部屋の広さにもよりますが普段は2~4.5畳分の小上がりやベッドの代わりとして使用し、避難時は窓から離れた安全な場所に移動して、避難スペースにします。防災グッズを下部に収納すれば、災害時にそのまま活用できます。畳は断熱性にもすぐれ、夏には清涼感、冬にはぬくもりを感じる素材なので心に安らぎをもたらす避難スペースに適した素材です。

2. 収納の工夫で防災力アップ

暮らしていると“物”が部屋や廊下に出てしまいがちですが、いざというときの避難動線が確保できません。物件購入時には、防災の観点からも造り付けの収納力のチェックが必要です。寝室やLDKなど人が長時間過ごす空間の収納は、なるべく耐震ラッチ付きの扉や引出しのタイプの造り付け収納にし、収納自体の転倒はもとより中の物の落下を防ぐ工夫が大切です。また、水や食料の備蓄には、ローリングストック(日常で消費しながら食べた分だけ買い足し、災害時に備える方法)を実践しやすい収納がおすすめです。何がどれだけあるのか把握しやすい少し余裕を持った広さで、目の届きやすい奥行(食料等なら30~45cm程度)の棚があるといいでしょう。

「災害は忘れたころにやってくる」という言葉もありますが、災害に強い物件は将来にわたって安全に暮らすためには必須の条件です。限られた住空間の中で、平常時の暮らしやすさと災害時の安全性の共存ができるよう、物件探しの際には是非自分なりに今後の生活における防災をイメージして、住まい選びをしてください。

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