首都圏の中古一戸建てが売れている 買うなら早めに買わないと価格が上昇する可能性も

このところ首都圏の中古一戸建て市場が好調です。人気の高まりを受けて成約価格は上がっているのですが、それでも成約件数は過去最高水準を更新し続けています。なぜなのでしょうか。
市場の実態を見ながら、好調の背景を探ってみましょう。

首都圏の中古一戸建てが売れている 買うなら早めに買わないと価格が上昇する可能性も

中古一戸建ては10年間で6.3%しか上がっていない

中古一戸建てが売れている最大の要因は、価格の安さにあるのではないでしょうか。
首都圏中古一戸建て市場の2010年度から2020年度までの動きをみると、図表1のようになっています。2010年度の成約件数は1万件を若干超える程の成約件数でしたが、2020年度には1万4,000件台で、この間に32.9%も増えた計算です。
それに対して、成約価格は2010年度が平均3,008万円で、2020年度は平均3,199万円と上昇率は6.3%にとどまっています。中古一戸建ての成約件数が増えて、人気が高まっているのに成約価格はさほど上がらず、それがさらに人気を高めることにつながっているのかもしれません。

図表1.首都圏中古一戸建ての年度別成約件数と平均成約価格の推移

中古一戸建ては中古マンションより安い

また、このところ新築マンションの発売価格が急上昇していることも、成約価格の安い中古一戸建て人気に拍車をかけているのかもしれません。
図表2にあるように、2014年度には5,088万円だった新築マンションは、2020年度には5,994万円と6年間で17.8%のアップで、中古マンションも2,789万円から3,668万円に31.5%も上がっています。それに対して、中古一戸建ては2,958万円から3,199万円に8.1%しか上がっていないのです。
その結果、2015年度までは中古一戸建てのほうが中古マンションより高かったのが、現在では逆転して中古一戸建てのほうが安くなっています。

図表2.首都圏の住宅刑態別価格の推移

中古一戸建て価格は急速に上がり始めている

しかし、安さが魅力の中古一戸建ての成約価格ですが、2020年後半から2021年にかけて急速に上がり始めています。
東日本不動産流通機構の調査によると、図表3にあるように、2020年7月の首都圏中古一戸建ての成約件数は1,186件だったのが、2021年7月には1,248件に増えています。コロナ禍でも着実に売れていることが分かります。
この好調な売行きのなかで、成約価格の上昇が続いているのです。2020年7月の成約価格の平均は3,102万円でしたが、2021年7月には3,495万円に上がっているのです。成約価格の上昇は2020年11月以来、9か月連続であり、この上昇は今後も続くことになるのではないでしょうか。

図表3.首都圏中古一戸建ての月次別成約件数と成約価格の推移

※なお、2021年から集計条件の変更が行われているため、前年同月比の数値が図表の数値をもとに算出した数値と異なることがあります。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

中古一戸建ては新築一戸建てより土地面積が広い

中古一戸建ては、価格の安さとともに、土地面積の広さも魅力のひとつです。図表4にあるように、中古一戸建ての土地面積は新築より30㎡前後広くなっているのです。この広さの違いを考慮すれば、中古一戸建ての価格面での優位性はもっと大きくなります。新築一戸建ては土地面積121.14㎡で3,575万円ですから、中古一戸建並みの149.63㎡を確保するとなると、4,000万円を超えることになるのではないでしょうか。
この広くて安い中古一戸建てのメリットが、コロナ禍で一段と人気を高めた要因といってもいいかもしれません。

図表4.首都圏新築一戸建てと中古一戸建ての年度別土地面積の推移

コロナ禍で中古一戸建ての人気がいっそう高まっている

コロナ禍で外出自粛、在宅勤務が増加して住まいに求められる条件が変化しています。リクルートの調査によると、その変化内容として、図表5にあるように「部屋数がほしくなった」「広いリビングがほしくなった」「収納量を増やしたくなった」「仕事専用スペースがほしくなった」など、住まいの広さに関する項目が上位にあがっています。
これらの多くは中古一戸建ての特性に合致します。

図表5.コロナ拡大による住宅に求める条件の変化

中古一戸建てを買うなら早めの行動が得策に

そのため、コロナ禍において中古一戸建てを検討する人が増えています。
図表6にあるように、2019年の調査では、中古一戸建てを検討した人の割合は22%だったのが、2020年には27%に5ポイントアップしているのです。
コロナ禍はいずれ終息するでしょうが、コロナ禍で定着したニューノーマルの生活がポストコロナでも引き継がれ、中古一戸建ての人気も続いていくことになるのではないでしょうか。
そうなると、ますます価格が上がっていく可能性が高く、中古一戸建ての購入を考えるなら、早めに行動したほうが得策になるのではないでしょうか。

図表6.住宅の形態別の検討種別の割合

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