リセールバリューを視野に入れた賢いマンション選び

昨今では、転勤やライフステージの変化などに応じて住まいを買い替える人が多くなっています。これにともなって注目されているのが、住まいの資産価値。資産性を高く維持できる物件を選んでおけば、買い替えがスムーズになるからです。今回は、資産価値の維持率を示す値・リセールバリューに焦点を当てて、資産価値を視野に入れた物件の選び方や三大都市圏のランキングを紹介します。

※記事内に掲載しているデータは、すべて東京カンテイのプレスリリース「2018年 中古マンションのリセールバリュー」(2019年7月22日発表)より抜粋。値が同じ場合は、小数点2以下で順位をつけてあります

リセールバリューを視野に入れた賢いマンション選び

[資産性を計る指標・リセールバリューとは]

リセールバリュー(以下RV)とは東京カンテイ独自の指標で、築10年前後のマンションの中古流通価格を、新築分譲時の価格で割った値です。数値が大きいほど、新築時の価値を高く維持できていることを意味します。
  
「不動産の価値の大半は、立地で決定づけられます。住みたいと思う人が多数いる一方で条件に合致するマンション供給が少ない場合などは、RVが高く出る傾向にあります」(東京カンテイ井出さん、以下同)
 
これをマンション選びのポイントとして整理してみると、以下のようになります。もちろん、すべてにあてはまるわけではありませんが、参考にしてみてください。
 
・大都市への出やすさ
オフィスや商業施設などが集積した大都市に近い物件ほど、人気を集めます。
 
・最寄駅までの出やすさ
特に徒歩5分以下だと数が限られるため、市場で希少性が評価されやすくなります。
 
・再開発エリアや新駅の周辺
注目度が高くない時点で購入しておくと、開発後・開業後にRVが高くなります。
 
・マンションの規模
総戸数300戸以上など、物件規模が大きくなるほど人気が高まる傾向にあります。
 
・タワーマンション
周辺一帯のランドマークになるような高層物件は、市場で人気を集めやすくなります。

首都圏 駅別 リセールバリュー(RV)ランキング2018

首都圏のRVランキングからは、上で紹介したポイントの多くを見てとれます。
「まずトップの原宿駅は、市場にはこの街に住みたいと思っている人が多い半面、マンションの供給がほとんどありません。このため、中古マンションの希少性が高くなるわけです。また、2位のみなとみらい駅では、一帯の先進性の象徴であるタワーマンションが数値を牽引しています。6位の大崎駅は、この10数年間で大規模再開発が相次いだ影響でしょう。開発前の一帯のマンション価格はそれほど高くありませんでしたが、街全体が大幅に魅力アップしたため、RVも高いスコアになったと考えられます」

なお、RVは、過去の実績に基づくデータです。現在はトップ20の圏外でも、今後、高い伸びを示す街が出てくる可能性もあります。
「例えば、台東区や墨田区、荒川区などの城東・城北部。都心部に近い割には、これまでのマンション価格は割安でした。近年になって利便性の高さが再評価されているので、RVが高まる可能性があります。また、リニア中央新幹線の起点駅となる品川駅周辺や、駅を含めて周辺の開発が活況な渋谷駅、その渋谷駅に出やすい東急線沿線などにも注目したいですね」

中部圏 駅別 リセールバリュー(RV)ランキング2018

首都圏や関西圏のRVトップ20は、全駅が100%を超えているのに対し、名古屋圏で100%を超えているのは上位9駅にとどまっています。
「通常、新築マンションの価格が高騰すると、中古マンション価格も連動して高まるものですが、一戸建てニーズが根強い名古屋圏では、このパターンがあてはまらないエリアも多いのです。ただし、中核都市の名古屋駅周辺は、リニア中央新幹線開業に向けた大規模開発が相次ぎ、拠点性を高めています。居住用としてはもちろん、投資対象としてもマンションのニーズが高いため、RVも高くなっています。また、上位駅の多くは、東山線や名城線の駅ですが、拠点性を高めている名古屋駅にアクセスしやすいことが理由でしょう」

井出さんは、今後のRVの伸びを期待できるのは栄駅周辺だといいます。
「大手デベロッパーがマンション開発に乗り出しているため、波及効果が出る可能性があります。場合によっては、東栄なども上位に入ってくるかもしれません。また、最近では一戸建て中心の住宅街として人気を集めるエリアにマンションが建てられるケースも出てきています。総合リハビリセンター駅や本山駅など、名城線の郊外駅もRVが伸びる余地がありそうです」

関西圏 駅別 リセールバリュー(RV)ランキング2018

1位の大阪駅は、今回紹介した3大都市圏のなかでもトップになっています。
「10年ほど前の大阪駅周辺の新築マンション価格は、京都市や神戸市の中心部に比べて割安でした。しかし、梅田北ヤードの大規模再開発で一帯の求心力が急速に高まり、これが中古マンション価格にも反映されたため、大幅にRVが上がりました。3位の淀屋橋駅や6位の本町駅、8位の肥後橋駅などにも、同様の背景があります。いずれもオフィスや商業店舗の集積地で、約10年前の市場では住む街として認知されていませんでした。駅前再開発などで“職住近接”という新しい価値観が生まれ、住まいを求める人が注目するようになったのです」

なお、トップ20のうち、大半が大阪府内もしくは京都府内の駅で占められています。
「京都府は開発余地が少ないので、京都府内でRVが高い駅は、今後もあまり変動しないと思われます。大阪府内では、住宅地としてポテンシャルが高い17位の谷町六丁目駅や圏外の四天王寺前夕陽ヶ丘駅などが、今後評価を高める可能性があります。なお、リニア中央新幹線の名古屋駅-新大阪駅間では、奈良県にも新駅が設置されることになっています。新駅周辺は、開発などが活況になるはずですから、どこに設置されるか注目したいところです」

自身や家族のニーズも視野に街選びを

住まい購入が“一生に一度のビッグイベント”ではなくなりつつある今、住み替えの可能性を視野に入れ、売却時に高く売れそうな街を選んでおくことは非常に重要です。しかし、RVの数値だけにとらわれて自身や家族に不都合な街に住むのでは、本末転倒です。住みたいエリアをある程度絞ったうえで、より資産性を維持しやすいところを選ぶという手順で考えましょう。

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