中古マンションを買ってリノベーション 3つのチェックポイント

中古マンションの設備機器を含め全面的に改装するとともに、間取りや動線を変更したリノベーション済中古マンションが知られるようになってから10年以上が経過しました。

マンションリノベーション

こうした中で、壁紙が自分の好みとは違う、必要以上に作り込まれたものは避けたい、キッチンが気に入らない、間取りが欲しいものと違うといった声がある一方で、まったく手が加えられていない中古マンションを見つけて、自分の好きなようにリノベーションをしたいという声も多く聞かれるようになりました。

自分の好きなようにといっても、何でもかんでも自由に改装できるというわけではないのがマンションです。そこで今回は、中古マンションを買ってリノベーションをするならば知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

知っておきたい3つのポイント

ポイント1:構造壁は壊せない

マンションには、手を加えられる部分とそうでない部分があります。原則として専有部分と呼ばれる部分は手を加えることはできますが、共用部分はマンション所有者の共有物であり、勝手に手を入れることができません。共用部分は、構造壁(コンクリートの壁)、玄関扉、窓、サッシ、バルコニーなどです。このうちリノベーションで特に問題となるのは構造壁です。

構造壁は、その建物を支える機能をもつ壁です。ですから間取りを大きく変えたいからといって、構造壁を解体することはできません。解体してしまうと耐震上、問題となる可能性もあるのです。

勝手にマンションの窓際の壁にエアコンのスリーブ穴をあけてしまっているケースを見ることがあります。また、コンクリートだけでなく中にある鉄筋まで切断してしまっているケースも散見されます。これは本来あってはならないことなのです。

そのほか、よくある話として、お風呂の追い炊きができるようにするために、もうひとつ給排水路を新設しなければならないときに、強引に構造壁に穴をあけてしまったりするという例もあり、これも危険な場合があります。

このように間取りだけでなく、追い炊き可能な給湯にしたいと思っても、構造壁が問題になって実現できないということもありますので、事前にチェックしておきたいポイントです。

ポイント2:水回りはPS(パイプスペース)の位置で決まる

自由に空間を変えるとなると、キッチンの場所を従前とは全く違う場所に移したいといった考えになることもあります。ここでポイントになるのは排水の配管ルートです。

マンションの排水管は、共用部分となる「縦管」と専有部分となる「横引き管」に分かれます。マンションの図面をみると「PS」と書かれている部分を見かけると思いますが、これはパイプスペースのことで、ここに縦の排水管が設置されていることを意味しています。

自由に交換・修繕が可能なのは「横引き管」です。専有部分のスラブ(コンクリート床)に対して横に這わせるように配管しPSにつなげて排水するわけですが、排水ですから当然傾斜をつけなければなりません。PSに近い場所にキッチンやバスルームなどの水回りを設置する場合はさておき、離れた場所に設置する場合、横引き管の距離が長くなる分、高低差も大きくしなければなりません。つまり、スラブと実際に私たちの足が触れるフローリングとの隙間も大きくしなければならなくなります。結果として、天井とフローリングの差、すなわち天井高が少なくなってしまうという問題も発生します。

水回りの場所を大きく変えたい場合、PSの位置を事前にチェックしておく必要があるのです。

ポイント3:間取の自由度は階高で決まる

階高とは、スラブ(フローリングの下にあるコンクリート床)の面から、上の階のスラブ面までの高さを言います。天井高という言葉はよく聞かれると思いますが、これは、室内におけるフローリング面から天井面までの内側の高さを言います。

古いマンションですと、直床、直天井といって、スラブ面に直接カーペットを貼ったり、コンクリート天井に直接壁紙を貼るというものが多かったのですが、最近では、二重天井、二重床が多くなっています。二重天井ならば照明の配線も自由にできますし、二重床であれば水回りの配置の自由度も高まります。

階高

しかし、二重にすると天井高が低くなります。一般に、二重天井は約800mm、二重床は約1200mm程度となりますので、これだけで2000mmも天井高に影響を及ぼします。最近のマンションですとコンクリート床の厚みは約2000mmありますので、天井高を2500mm以上にしたい場合、階高は最低2900mm必要ということになります。

階高2900mm以上のマンションとなると2000年以前に建築されたマンションですと少ないと思いますので、天井高にこだわるかこだわらないかを決めたり、リビングを直天井にして高さを保つなどの工夫をする方が多いです。

事前に専門家と相談

構造壁の位置、PSの位置と配管ルート、階高をどうやって調べるかですが、まずは、不動産会社に確認するのがベストです。スムーズに回答を得られない場合は竣工図を確認し、その上で現地を見学するとよいと思います。

最近では、リノベーションに詳しい不動産会社もありますし、設計士、工務店などの専門家が、物件見学に同行してくれるサービスもありますので、利用してみるのもよいでしょう。

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