ハザードマップポータルサイトを使って見よう
損害保険料率算出機構は、風水雪災リスク評価と料金体系の変更を検討しているという発表を今年1月にしました。また、地震保険料も地域によって値上り値下がりが出ており、立地によるリスクが異なるという認識が損害保険の世界にも徐々に浸透していきているようです。
このことは、今後、立地による自然災害リスクも住まい選びの一つの判断材料になるということなのではないかと筆者は考えています。
自然災害リスクについては、その確度はともかく、一般に公開されている資料などを調べることである程度のことが分かります。今回は自分で簡単に調べることができるサイトをご紹介します。
まずはチェックしたい「わがまちハザードマップ」
自然災害リスクを調べるなら国土交通省ハザードマップポータルサイト が便利です。ここには「わがまちハザードマップ 」と「重ねるハザードマップ 」という二つの入り口があります。
まずは「わがまちハザードマップ」をチェックしましょう。「わがまちハザードマップ」では、お住まいの市区町村などが公開している洪水ハザードマップなどを確認することができます。例えば千葉県浦安市ですと、洪水ハザードマップのほかに、内水ハザードマップ(高台でも浸水する可能性があるエリアを表示した地図)、地震災害による震度被害マップや液状化マップを確認することができます。
ここで見ることができる各種マップは各市区町村が公開している災害マップですので、避難場所の掲示もあり、万が一の場合にどうすべきかについてご家族やご近所の方と話し合う時にも使えるマップとなっています。
想定最大規模の洪水リスク、立地別の自然災害リスクもわかる重ねるハザードマップ
もうひとつの「重ねるハザードマップ」は、洪水・土砂災害・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示できる優れものです。
昨年12月より、身のまわりの土地の成り立ちから、考えられる自然災害リスクを簡単に確認できるようなりました。「土地の特徴・成り立ち」の中の「自然地形」と「人口地形」を選んで地図上をクリックするだけで、その土地の特徴と成り立ち、自然災害リスクの解説が表示されるのでとても便利です。
土地の成り立ちは、身のまわりの自然災害リスクを教えてくれます。例えば、周囲が浸食により削られ周囲より高い「台地・段丘」では、河川氾濫のリスクはほとんどありませんが、河川との高低差が小さい土地は注意が必要ですし、河川によって形成された「谷底平野」は、大量の雨が集中して降ると河川氾濫に注意が必要と言われています。
また、土砂災害警戒区域や土砂災害危険個所も確認ができ、土砂災害警戒区域は、住宅の購入時に不動産会社が交付する重要事項説明書で説明義務が課されていますが、土砂災害危険個所についてはそうではありませんので、不安がある場合にはこうしたサイトを利用し自分で調べるとよいでしょう。
リスクを認識できれば対策が打てる
住まいを購入する際、不動産会社などが実施する重要事項説明だと洪水ハザードマップが公開されていれば説明してもらえる場合がありますが、現在の宅地建物取引業法上においては洪水ハザードマップについて説明義務が課されているわけではありません。土地の特徴や成り立ちから想定される自然災害リスクについても説明義務はありません。これは、洪水ハザードマップに記載された内容の確度がさほど高くないという面があるからだと言われています。また、土地の特徴や成り立ちから想定されるリスクについても、あくまで一般論ですし個別の土地のリスクを示すものではありません。
とはいえ、少なくとも想定される自然災害リスクを事前に知ることができるわけですから、公開されている情報をご自身で調べることには意義があります。事前にリスクを知ることができれば、買うか買わないかの判断を含め、そのリスクにどう対処するか考えることができるからです。
一定のリスクがあることをわかって購入するのであれば、保険を付保する、基礎を高めにして建築する、耐震強度を高めるなど、様々な対策を打つことができます。もちろん、万が一の際にどうやって身を守るか、どこに避難し家族が落ち合うかといったことなどを事前に検討しておくこともできます。
「理想的な暮らしを実現するための住まい選びは、安全な暮らしという土台があってこそ成り立つものです。自然災害リスクを回避する、回避が難しい場合でもリスクを極小化するための方法を事前に考えておくことも大事だと思います。」
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