ライフプランシミュレーション

ケース2 子供が大きいファミリー

今回はケース2として、「子供が大きいファミリー」のケースを考えてみます。
子供が中学・高校くらいになると、ピークが目前に迫った教育費のことを真剣に考えるご家庭も増えます。子供が2人以上の場合、年齢差によっては支出が集中する年も出てくるのでなおさらです。
一方、子供の成長に伴い、そろそろマイホームをという方も少なくありません。教育費とマイホーム購入をうまく両立させるには、これまで以上に家計の予算組みをしっかり考え実行していくことが大切です。その際、目先の「単年」だけではなく数年に渡る「推移」も押さえておきましょう。
また全体のお金の流れの中で、少しずつでも良いのでリタイア後の生活費についても意識し始めておきたいところです。
今回は、以下のモデルを前提として話しを進めましょう。

子供が大きいファミリー

「子供が大きいファミリー」の想定モデル

  • 家族構成:夫(会社員)45歳、妻(専業主婦)43歳、長男17歳、長女14歳
  • 年収:夫 税込800万円(手取り640万円)、毎年1%上昇
  • 現在の貯蓄:1,100万円
  • 年間の生活費:260万円(教育費・住居費除く)、毎年1%上昇
  • 子供の進路:中・高まで公立、大学は私立
  • 61~64歳年収:現役時の65%
  • 65歳で退職、退職金1,600万円
  • 65歳からの年金:月22万円

4,500万円の住宅を購入した場合の家計収支試算グラフ

こちらのご家庭が4,500万円の一戸建てを以下条件で購入したとして、家計収支を試算してみます。

住宅購入条件(住宅ローン使用)

  • 自己資金950万円(頭金700万円、諸経費250万円)
  • 借入金額3,800万円、金利1.8%、期間25年、元利均等返済
  • 年間返済額188.9万円(月15.8万円)
  • 年間維持費(税金、一戸建てのため自身で決めて行う修繕積立金)40万円

試算結果からわかる、注意するべきライフイベント

家計収支推移

家計収支推移
  1. 長男、長女の大学入学

    全体を通して貯蓄額がマイナスになることはなさそうです。
    ただし単年で見ると子供それぞれの大学入学時は支出が収入を上回りますので、足りない分はそれまで貯蓄した分から補てんします。

  2. 長男の大学卒業

    長男大学入学から卒業までの4年は、子供2人にかかる教育費がピークを迎えるため、貯蓄額は増えない状況です。不要な支出は当然ですが、加えて普段の生活も節約を心掛けましょう。長男大学卒業後は家計に余裕が出るため、リタイア後生活費のための貯蓄が進みます。

  3. 夫の61歳と残債

    61歳以降も働く場合、給与がカットされることも多く見受けられます。40代半ばで住宅ローンを組むと60歳ではまだ残債がある場合も多く、生活費がそのままであれば貯蓄を取り崩していくケースも少なくないため注意が必要です。

  4. 夫のリタイアと残債

    退職金をもらう時点での貯蓄は2,600万円程度です。ただしローンが残っていますので、それを完済すると1,900万円程度になります。
    退職後の家計を考えてみましょう。住居関連費が月3.4万円(40万円÷12ヶ月)、その他の生活費が月21.5万円(※)、一方、受け取り年金が月22万円とすると、毎月3万円程度の不足が発生します。この不足分を貯蓄1,900万円で賄っていくことになります。ただし介護費用など突発的な支出もありうることは留意しておきたいところです。

  • ※参考:総務省 2014年家計調査報告 高齢無職世帯の支出

なお、上記は保守的に見て全期間固定金利1.8%で試算しています。
現在は、低利の変動金利や5年・10年等の固定金利選択型を組み合わせる方法もありますので、それぞれのご家庭事情に合った手段を検討してください。
仮に金利が1.4%の場合、借入額3,800万円であれば年間返済額は188.9万円→180.2万円に減少します。また金利が1.4%で、年間返済額を188.9万円で維持する場合は、借入額は3,800万円→3,980万円程度に増えます。

妻がパート勤務している場合の家計収支試算グラフ

ここで、妻がパート勤務をしている場合を想定してみましょう。
妻年収が90万円(給与所得控除+基礎控除の範囲内であるため、手取り90万円を想定)、生活費を上記例に月1万円(年間12万円)加算したとします。

家計収支推移(妻がパート勤務している場合)

家計収支推移(妻がパート勤務している場合)

試算結果からわかる共働きの特徴

この収入分を、ピークとなる教育費の一部に充当することが可能になるので、全体を通して貯蓄額だけでなく単年でも収支がマイナスになることは少なくなります。
家計の中で何にお金を使うかの優先順位にもよりますが、教育費と住居費にもう少しお金をかけた場合を考えてみましょう。
仮に子供二人が高校から私立に通ったとして、住宅購入予算も少々上げてみます。例えば4,700万円の住宅をローン4,000万円で組んだ場合、現役時の単年収支はプラスを保ち、退職時点での貯蓄はローン完済しても2,500万円程度残りそうです。
ただし収入が不安定などの場合は、妻収入分は貯蓄にまわす位置づけにし、あくまで夫の収入の範囲内で検討する方が賢明です。

まとめ

子供が大きくなってくると、今まで以上に家計に占める教育費が増えてきます。
それまで計画的に貯蓄をしておくことや、無理のない資金計画が大前提ではありますが、教育費がピークとなる数年間だけはどうしても家計がぎりぎりになることがあるかもしれません。
マイホーム購入との両立を考える場合、当初返済期間を長く取ることでその期間を乗り切るという考え方もあります。ただし繰り返しになりますが、その場しのぎの安易な考えは禁物です。教育費ピーク後は計画的に繰り上げ返済をするなどで、退職時にはローン完済できるように予めしっかりとした資金計画を立てる必要があります。
また最近の晩婚化の影響もあり、子供を持つのが遅くなる傾向も見られます。仮に30代後半で子供が生まれたとすると、退職と子供の大学卒業が同時期になります。子供にかかる教育費とリタイア後の生活費双方を、より意識して計画を立てましょう。

住宅ローンシミュレーション

購入したい物件価格から、月々の支払額を計算しましょう。

物件価格から返済額を試算

頭金と住宅ローン返済可能額から、借入可能金額を計算しましょう。

借入可能金額を試算

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ライフプランを立てる際に、プラスで活用できそうな制度

最後に、住宅購入にあたりご両親などからの援助を受けられる方も少なからずいらっしゃいます。もちろん、最大限自分たちの力でというのが基本でしょうけれども、恵まれた環境にいらっしゃるのであれば、それを享受するのも選択肢のひとつかもしれません。

相続税や贈与税について「相続税・贈与税ガイド」にわかりやすく解説しています。何点か紹介しますのでご参考ください。

1. 要確認!消費増税に伴い、非課税額が時期により変動。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度をおさらい

2. 長期で考えるなら、毎年の非課税枠を活用してコツコツ贈与を受ける!

年間受贈額110万円までが非課税の暦年贈与(1との併用可)

3. 子供の教育資金を援助してもらうという選択肢もあり!

教育資金の一括贈与が1,500万円まで非課税になる特例

4. 平成27年新設の制度は、結婚に係る費用などの一括贈与も非課税に!

結婚、子育て資金の一括贈与が1,000万円まで非課税

より詳しい相続税や贈与税のことはこちらをご覧ください。

相続税・贈与税ガイド

  • ※制度にはそれぞれ適用要件や、注意点がありますので、実際に利用される際には詳細をご確認ください。
  • 北野琴奈
    執筆・監修:
    ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)北野琴奈 氏
    経歴:
    1974年北海道生まれ。津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
    実践型FPとして家計、資産運用、不動産、賃貸経営などに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。
    会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
    自らポートフォリオを組み、金融・不動産を含めた資産を形成・運用。実物不動産は、国内・海外含め計数十室保有。
    テレビ・新聞・雑誌等のメディア出演・取材協力多数。
    著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント』等がある。
本コンテンツの内容について
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