ライフプランシミュレーション

ケース1 子供が小さいファミリー

今回はケース1として、「子供が小さいファミリー」のケースを考えてみます。
人生における3大支出は、教育費、住宅購入費、リタイア後の生活費と言われますが、まだ小さい子供がいる家庭の場合は、どれも不確定要素が多い状況です。だからこそ、なるべく早く家計全体の大きな流れを把握し今後のプランを整理することで、人生において成し遂げられることが多くなります。
以下のモデルを前提として話しを進めましょう。

子供が小さいファミリー

「子供が小さいファミリー」の想定モデル

  • 家族構成:夫(会社員)36歳、妻(専業主婦)34歳、長女7歳、長男4歳
  • 年収:夫 税込550万円(手取り440万円)、毎年1%上昇
  • 現在の貯蓄:650万円
  • 年間の生活費:200万円(教育費・住居費除く)、毎年1%上昇
  • 子供の進路:幼・小・中・高まで公立、大学は私立
  • 61~64歳年収:現役時の65%
  • 65歳で退職、退職金1,600万円
  • 65歳からの年金:月20万円

3,300万円の住宅を購入した場合の家計収支試算グラフ

こちらのご家族が3,300万円のマンションを以下条件で購入したとして、家計収支を試算してみます。

住宅購入条件(住宅ローン使用)

  • 自己資金500万円(頭金330万円、諸経費170万円)
  • 借入金額2,970万円、金利1.8%、期間30年、元利均等返済
  • 年間返済額128.2万円(月10.7万円)
  • 年間維持費(税金、管理費、修繕積立金)40万円

試算結果からわかる、注意するべきライフイベント

家計収支推移

家計収支推移
  1. 長女、長男の大学入学

    全体を通して貯蓄額がマイナスになることはなさそうです。
    ただし単年で見ると、支出が収入を上回る期間がある(長女大学入学~長男大学入学)ので、それまで貯蓄した分で乗り切ります。

  2. 長女の大学卒業

    長女中学入学から大学卒業までは生活費と子供2人の教育費がかかるため、基本的に貯蓄額が増えづらい状況です。長女大学卒業後は家計に余裕が出るため、リタイア後生活費のための貯蓄が進みます。

  3. 夫の61歳

    61歳以降も働く場合、給与がカットされることも多く見受けられます。住宅ローンが残っている場合は、支出が収入を上回り貯蓄を取り崩していくことも大いにありうるため、注意が必要です。

  4. 夫のリタイア

    退職金をもらう時点での貯蓄は1,800万円程度です(ローンは完済)。
    退職後の家計を考えてみましょう。住居関連費が月3.4万円(40万円÷12ヶ月)、その他の生活費が月21.5万円(※)、一方、受け取り年金が月20万円とすると、毎月5万円程度の不足が発生します。この不足分を貯蓄1,800万円で賄っていくことになります。ただし介護費用など突発的な支出もありうることは留意しておきたいところです。

  • ※参考:総務省 2014年家計調査報告 高齢無職世帯の支出

なお、上記は保守的に見て全期間固定金利1.8%で試算しています。
現在は、低利の変動金利や5年・10年等の固定金利選択型を組み合わせる方法もありますので、それぞれのご家庭事情に合った手段を検討してください。
仮に金利が1.4%の場合、借入額2,970万円であれば年間返済額は128.2万円→121.3万円に減少します。また金利が1.4%で、年間返済額を128万円で維持する場合は、借入額は2,970万円→3,120万円程度に増えます。

共働きの場合の家計収支試算グラフ

ここで、共働きの場合を想定してみましょう。
妻年収が税込300万円(手取り240万円)、長男小学校入学までは時短勤務で70%程度、生活費を上記例に月4万円(年間48万円)加算したとします。

家計収支推移(共働きの場合)

家計収支推移(共働きの場合)

試算結果からわかる共働きの特徴

家計に余裕が出ますので、全体を通して貯蓄額だけでなく単年でも収支がマイナスになることはありません。そのため、教育費や住居費にもう少しお金をかけることも可能です。
仮に子供二人が大学以外に中学、高校と私立に通ったとしても、住宅購入予算を上げられそうです。例えば4,000万円の住宅をローン3,700万円で組んだ場合、現役時の単年収支は常にプラスですし、退職時点での貯蓄はローン完済しても4,200万円程度残りそうです。

まとめ

子供が小さいファミリーの場合、注意しておきたい点はなんといっても教育費。まだ子供が小さいということで、予定外のことも起こりやすいと言えます。様々なことが積み重なるうちに家計に占める教育費の割合が膨らみ、想定外に貯蓄が減少することも。
まだ先のこととはいえリタイア後のことも含め、家計全体の中長期的な流れを意識して住宅購入計画を立てる必要があります。
また共働きの場合は、そこに依存し過ぎることにも注意が必要です。
保育料負担や家事を外注することもあるなど、働いているが故の負担増も考えられますし、働き続けられなくなる事情が出てくるかもしれません。
その他多少気が大きくなり、「働いているのだからこれくらいなら」など、お金を使うことが増えてしまう可能性もあります。

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最後に、住宅購入にあたりご両親などからの援助を受けられる方も少なからずいらっしゃいます。もちろん、最大限自分たちの力でというのが基本でしょうけれども、恵まれた環境にいらっしゃるのであれば、それを享受するのも選択肢のひとつかもしれません。

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  • ※制度にはそれぞれ適用要件や、注意点がありますので、実際に利用される際には詳細をご確認ください。
  • 北野琴奈
    執筆・監修:
    ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)北野琴奈 氏
    経歴:
    1974年北海道生まれ。津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
    実践型FPとして家計、資産運用、不動産、賃貸経営などに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。
    会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
    自らポートフォリオを組み、金融・不動産を含めた資産を形成・運用。実物不動産は、国内・海外含め計数十室保有。
    テレビ・新聞・雑誌等のメディア出演・取材協力多数。
    著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント』等がある。
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