適切な売出価格なら短期間に値引きなしで成約できる 大切なのは相場に合致した“売れる価格”での値付け

中古マンションの価格が上がり続けているため、強気の相場で売りに出す人が増えています。それで成約できればいいのですが、相場の実勢とかけ離れた売出価格を設定して失敗するケースは少なくありません。相場の実態に則した“売れる価格”で売り出して、早期の成約を目指すことが大切です。

中古マンション


不動産売却をお考えの方には、三菱UFJ不動産販売の「無料査定」がおすすめです。物件情報を入力するだけで査定額を算出いたします。お気軽にご依頼ください!

中古マンションは10年間で6割も上昇

中古マンション価格が上がり続けています。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の調査によると、2011年度の成約価格の平均は2,516万円だったのが、2021年度は3,949万円ですから、10年の間に約57%も上がったことになります。
直近の月ごとの変化をみても、2022年7月の成約価格の平均は4,348万円で、前年同月比11.1%増加という二桁台の大幅なアップ。首都圏中古マンションの成約価格の前年同月比での上昇は、何と2020年より26か月連続だそうです。
これだけ上がり続けているので、「まだまだ上がる」「高めの売出価格でいいのではないか」と、相場に実態にそぐわない高値で売却したいと考える人が増えるのは仕方のないことかもしれません。

しかし、それは大きな間違いのもとです。相場からかけ離れた売出価格ではなかなか売れずに、販売活動が長期化した結果、大幅な値引きを行わないと売れなくなってしまうことが少なくないのです。

最新の売出価格と成約価格の乖離率は5%程度

たしかに、中古マンションが好調に売れていますから、さほどの値引き交渉もなく、売出価格に近い価格で成約するケースが増えているのは事実です。
図表1は東日本レインズの調査による新規登録価格、つまり売出価格と成約価格の推移を折れ線グラフにしたものです。売出価格と成約価格との間には一定の差があって、その差が時期によって変動します。

2022年7月をみると、売出価格の1m²当たり単価は72.27万円に対して、成約価格は68.51万円です。両者の差、乖離率は-5.2%です。つまり、平均すると売出価格より5%程度値引きした価格で成約しているとみられます。

図表1 首都圏中古マンションの新規登録価格と成約価格の推移

3か月以内で成約できる環境になっている

不動産に関するデータバンクの東京カンテイでも、この価格乖離率と、売却にかかるまでの期間についての調査を行っています。その最新のデータをグラフ化したのが図表2です。

価格乖離率は2020年まで-6%台から-7%台だったのが、2021年上期に-4.63%、下期には-4.55%まで改善されました。平均すると売出価格より6%以上低い価格で成約していたのが4%台まで下がったわけで、それだけ値引き幅が小さくなり、売り手優位の売り手市場になりつつあるといっていいでしょう。これは図表1の日本レインズのデータと合致する動きといっていいでしょう。

その変化を裏付けるのが、成約までにかかる期間の短縮化です。図表2の棒グラフにあるように、平均すると4か月前後かかっていたのが、2021年上期には3.29か月に、2021年下期には2.89か月に短縮されています。平均すれば、3か月以内に成約できるようになっているわけです。

図表2 中古マンションの価格乖離率と売却期間の推移

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

適正な売出価格ならほとんど値引きなしで売却できる

この売却期間と価格乖離率には明確な相関関係があります。図表3にあるように、2021年の場合、1か月以内に売却が成立したケースでは価格乖離率は-2.41%であるのに対して、2か月以内に延びると-4.55%に広がり、3か月以内では-5.44%に拡大します。さらに、10月以内では-9.56%に達します。

つまり、相場に則した“売れる価格”で売り出せば、1、2か月以内に、ほとんど値引きなしで売れるのが、値付けに失敗すると販売活動が長期化し、結果的に1割近く値引きしないと売れないということになります。いかに“売れる価格”での売出しが重要であるかが分かります。

マンション価格が上がっているといっても、すべて一律に上がっているわけではありません。築年数、徒歩時間、平面的位置(向き)、立体的位置(階数)などの個別の条件によって、“売れる価格”は異なります。それを見極めた上で、妥当な値付けを行う必要があるのですが、売却希望者は自分の住まいを欲目で見がちで、相場より高く売れるはずなどの思い込みを抱きがちです。

図表3 売却期間別の価格乖離率の変化

高い査定価格より信頼できる仲介会社選び

だからこそ、冷静な目で査定してくれる仲介会社に依頼することが大切ですが、なかには売却の媒介契約を取りたいがために、相場にそぐわない高値の査定価格を出してくる会社もあります。
しかし、そんな会社に依頼すると、売却までに長い時間がかかり、結果的に大幅な値引きが必要になるといった事態になりかねません。市場で長期間物件が公開され続けると売れない物件には売れない理由があると見なされ,値下げしないと売りにくくなってしまうのです。

査定を依頼するときには、闇雲に高い査定価格を出してくるところではなく、相場に則した“売れる価格”をつけてくる会社を見つけることが大切です。最近の周辺での成約事例を聞くなどして、査定価格の妥当性を確認、信頼できそうな仲介会社を選ぶようにしたいところです。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

ご留意事項

本コンテンツに掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、当社の見解を示すものではありません。
本コンテンツに掲載の情報は執筆時点のものです。また、本コンテンツは執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び当社が保証するものではありません。
本コンテンツは、情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
本コンテンツに掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、当社は一切責任を負いません。
本コンテンツに掲載の情報に関するご質問には執筆者及び当社はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。