【2019年】過去10年間の公示地価推移から読み取る今後の住宅地価動向

2019年3月20日、国土交通省が標準地の地価を公示しました。3大都市圏の過去10年間の対前年変動率と中心部m²単価の推移をもとに、今後の動向を不動産アナリストに予想していただきました。

※本記事に掲載している折れ線グラフは、地価公示にともなって 国土交通省が公表した各都府県地価の対前年変動率をもとに作成しました。いずれも、2010年の地価を100とした場合の推移を表しています

公示地価推移イメージ画像

首都圏エリア

東京都は上昇が、3県は横ばい状態が続く

首都圏公示地価

1都3県ともリーマン・ショックの影響で続いていた下落が2013年で終わりました。以降、東京都は上昇傾向が続いていて、東京23区の㎡単価を見ると、2017年から2018年にかけて約4%、2018年から2019年にかけては約5%上がっています。一方、3県の対前年変動率も2014年以降はプラスに転じましたが、いずれも1%を下まわっていて、ほぼ横ばい状態が続いています。

「新駅開業やその周辺での街づくりが進む港区はプラス6.0%、東京五輪選手村の大規模開発が進行中の中央区はプラス4.7%、池袋駅周辺で複数の開発が進行中の豊島区はプラス7.0%など、いずれも開発による価値の高まりが数字に表れています。また、プラス8.6%の荒川区やプラス7.2%の台東区のように、都心部の高騰によって目を向ける人が増えた影響が出ているところもあります。3県でも、所沢駅周辺、本厚木駅周辺など、駅前開発が実施されたエリアや、東京23区と隣接したエリアでは、都内と似たような傾向がうかがえます」(東京カンテイ高橋さん、以下同)

当面は、上昇・横ばいの二極化が続きそう

昨年は、東京都心部の高騰傾向に鈍化が見られましたが、今年は開発の影響などで再び上昇率に勢いが出ています。

「首都圏では流入人口が流出人口を上まわっていますから、基本的に住宅ニーズは堅調を維持するでしょう。資産性や利便性などの面で人気の都心部をはじめ、開発が活発な地域などは、当面、上昇傾向が続くと思われます。一方、郊外の一戸建てメインの住宅街などは、横ばい状態が続くでしょう。つまり、首都圏では上昇・横ばいの二極化が、より顕著になっていくのではないでしょうか」

名古屋圏エリア

駅前再開発やリニア中央新幹線で活気づく愛知県がけん引

名古屋圏公示地価

地域経済の中核を担う愛知県は、2013年以降、上昇を続けていて、岐阜県・三重県では10年前から下落が続いています。

「まず愛知県内を見てみると、トヨタ自動車の業績好調を受け、豊田市の住宅ニーズは依然として堅調です。また、名古屋市では、駅前再開発が進む中区の対前年変動率がプラス24.1%と大幅に上昇しています。中区では、リニア中央新幹線の開通を見込んだオフィス開発も活発ですが、職住近接志向の高まりもあって、住宅地の価格にも影響が出ているのでしょう。また、中村区の対前年変動率もプラス6.4%と、大きく伸びています。一方、岐阜県・三重県は、ともに流入人口より流出人口のほうが上まわっているため、なかなか住宅ニーズが活性化しない状態が続いています」

愛知は栄や伏見の動向に、岐阜・三重は経済施策に注目

上昇を続ける愛知県と下落を続ける岐阜県・三重県といった二極化が、首都圏以上に顕著になっている名古屋圏ですが、高橋さんは、今後もこの傾向が続くと予想します。

「東京都心部の地価高騰が過熱した影響で、多くの投資家が、名古屋圏に目を向けています。リニアの開通による街の成長も見込めるため、愛知県の上昇傾向は続きそうです。なお、近年は、名古屋市中区の栄や伏見町にもマンションが出始めました。長い間、地元では住む街としては認知されていなかったエリアですが、これまでの価値観に左右されず、市場で存在感を示すようなるかどうかに注目したいですね。また、岐阜県や三重県は、生産拠点や物流拠点の誘致、観光資源の活用などで、地域経済活性化につながるような施策を打ち出せれば、住宅ニーズにも好影響が出るでしょう」

関西圏エリア

大阪府・京都府はプラスに転じ、兵庫県は依然として低調

関西圏公示地価

3府県とも、2016年まで下落傾向が続いていましたが、大阪府と京都府の対前年変動率は、2018年に引き続いてプラスとなり、復調の兆しが見られます。一方、兵庫県の対前年変動率はマイナス0.2%でした。

「両府の中心地である大阪市と京都市は、訪日観光客が増加していて、ホテルや商業施設などが増えています。これに牽引される形でタワーマンションなどの供給が増えています。この傾向は、大阪市なら対前年変動率プラス8.2%の浪速区やプラス9.5%の西区、京都市ならプラス7.2%の上京区やプラス6.5%の中京区などに表れています。兵庫県の神戸市にも観光地の側面がありますが、“和”に触れたい外国人に対しては、いまひとつ求心力を発揮しきれていません。こんな点が地価にも表れているのではないでしょうか」

国内外から観光客をいかに集められるかで明暗が分かれる

観光客増が直に住宅地価を引き上げるわけではありませんが、観光産業が活気づけば、関連事業従事者が増えるため、結果として住宅ニーズを高めることにつながります。

「唯一無二の観光資源を有する京都府は、今後も上昇傾向が続くでしょう。大阪府は、2025年の開催が決定した万国博覧会が起爆剤になりそうです。万博開催に向けて大阪市夢洲エリアの開発なども進めば、地価を押し上げる原動力になるでしょう。また、今年3月には、おおさか東線の北区間が開通しました。大阪市内に4つの新駅が登場したことも、地価に影響するはずです。一方、兵庫県は宝塚や西宮の再開発がフックになるかどうかに注目したいところです」

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