東京23区の新築マンションの平均は1億円超え! 改めて中古マンションの安さが注目される

新築マンションの価格上昇が止みません。月によっては、首都圏平均で7,000万円台に乗せ、東京23区だけに限れば、平均でも1億円を超えることもあるほどです。それだけに注目されるのが中古マンションの価格の安さです。新築の上昇につれて中古も上がっているのですが、新築に比べると安い水準ですから、買いやすいのではないでしょうか。

東京23区の新築マンションの平均は1億円超え! 改めて中古マンションの安さが注目される

1億円超えでも契約率70%以上で売れている

民間調査機関の不動産経済研究所によると、2021年9月の首都圏新築マンションの発売戸数は2,311戸で、平均価格は6,584万円でした。
図表1にあるように、2021年に入ってから4月と8月には平均価格が7,000万円台に乗せています。この両月の東京23区に限った平均価格は1億円を超えているのです。4月は1億180万円で、9月は1億812万円でした。しかも、4月の月間契約率の首都圏平均は73.6%に対して、東京23区は76.6%と1億円超えにもかかわらず、好不調のボーダーラインといわれる70%を超え、首都圏平均をも上回る売行きでした。8月も首都圏平均の73.0%とほとんど同じレベルの72.5%でした。
月間契約率というのは、新築マンションが売り出された月中に何%の契約が成立したかを示しています。新築マンションの多くは完成前に売り出される青田売りですから、発売月に7割が売れれば、完成までに完売できるだろうというメドが立ちます。

図表1 首都圏新築マンションの平均価格と契約率の推移

年収の高い人でないと簡単には買えない

価格が上昇しているにもかかわらず、これだけ売れているのですから、新築マンションの価格が下がることは考えにくく、むしろ土地の仕入価格の上昇や建築費の高止まりなどを考えると、今後も上昇する可能性が高いのではないでしょうか。
これだけ高くなると、一定の収入がないと新築マンションを手に入れるのは簡単ではありません。
2021年9月の新築マンションの平均価格は6,584万円ですから、584万円の自己資金を用意して6,000万円のローンを組むとすれば、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は16万9,371円です。年収500万円の場合返済負担率(年間の住宅ローン返済額が年収に占める割合)は40.6%に達し、金融機関が定める上限である35%を上回り、ローンを組むことが難しくなります。
年収700万円なら29.0%で、年収1,000万円だと20.3%ですから、ある程度年収がある人でないと、簡単には買えません。

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

中古なら新築の6割の値段で手に入る

そこで、注目されるのが中古マンションです。新築マンション価格の上昇につられるように、中古マンションの価格も上がっているのですが、それでも新築に比べると安い水準です。
東日本不動産流通機構の調査によると、図表2にあるように、2021年9月の首都圏の成約価格の平均は3,985万円。同じ月の新築マンションの平均価格は6,584万円ですから、中古マンションなら新築の60.5%で、2,599万円も安く手に入れることができます。
住宅ローンを組むにしても、負担は大幅に軽減されます。自己資金485万円を用意して借入額を3,500万円とすれば、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は9万8,799円と10万円を切る水準まで下がります。
これなら年収500万円で返済負担率は23.7%です。年収700万円であれば16.9%ですから、かなりゆとりを持って返済できるのではないでしょうか。

図表2 首都圏中古マンションの成約件数と平均成約価格の推移

中古マンションなら物件の選択肢が多くなる

価格が安い上に、中古マンションなら新築マンションに比べて選択肢が豊富です。下の図表3にあるように、2020年にはコロナ禍の影響で春に発売戸数が激減したこと、新築マンションの発売戸数は毎年12月に急増することを除くと、月間2,000戸前後で推移しています。物件数は平均100物件強ですから、住みたい沿線や駅が決まっていると、なかなか希望に沿った物件を見つけることができないかもしれません。
それに対して、新たに売り出される中古マンションの新規登録件数は2021年9月で月間1万3,637件でした。2021年9月の新築の発売戸数は2,311戸ですから、中古は新築に比べて数倍の選択肢があるわけで、希望の沿線や駅を絞り込んでいても、比較的探しやすくなります。
さらに、新築マンションだと人気エリアでは駅前や駅近エリアでの開発余地が乏しいため、徒歩時間の短い物件が少なくなっています。徒歩10分、15分といった物件もあります。

図表3 首都圏新築マンションの発売戸数の推移

駅前や駅近でも探しやすくなるメリットも

新築物件が探しにくくなっているのに対して、中古マンションなら駅前や駅近エリアで、開発余地の大きかった時期に建設された物件を探すことができます。築年数の経過により耐震性、耐久性などにやや不安を感じるかもしれませんが、耐震性が確保されているマンションであれば、「耐震基準適合証明書」を発行してもらうことができます。多少の費用はかかりますが、これがあれば、住宅ローン減税が受けられたり、各種税金が控除されるというメリットもあります。また、建築士などの専門家にインスペクション(建物状況調査)を依頼して、問題がないかどうかを確認してもらうこともできます。
新築マンションに比べて価格が安いとはいえ、高額な買い物なので、選択に間違いがないかどうか十分にチェックしておきましょう。

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