中古住宅の購入時に知りたい「空気」「音」「光」

新築住宅だけでなく中古住宅を購入する層も年々多くなっています。今回、中古住宅を購入する際に注意する点、また中古住宅だからこそのメリットについて「空気(換気)」「音(騒音)」「光(照明)」というポイントで解説します。

インテリア

1.空気(換気)

2003年7月1日に施行された建築基準法の改正で、それ以降に着工する建物は全ての居室で24時間換気を義務づけるようにシックハウス対策が必要となりました。では、それ以前の中古住宅はどうすれば24時間換気ができるのでしょうか。

浴室などは24時間換気対応の換気扇に交換することが可能ですが、対象となる部屋に吸気口がなければ換気はできません。通常、キッチンに設置されたガスレンジのための吸気口はキッチンまたはLDKのどこかに必ず設置されています。しかし、築古物件の個室には吸気口が設置されていないのが一般的です。木造住宅では各個室の外壁に面する壁に吸気口を設置して、部屋のドアの下に1~2cmの隙間を取ることにより24時間換気対応となりますが、マンションの場合、外壁は構造体で共有部のため吸気口を取り付けることは困難です。そのような場合は、窓を0.5~1cmの隙間で常に空けておくしかないでしょう。

コロナ禍で換気の重要性が取りざたされている中、購入時に気をつけたいポイントです。

24時間換気による換気経路

2. 音(騒音)

騒音は外部からの騒音防止(遮音)と内部から発せられる騒音防止(防音)があります。
最近の窓サッシはペアガラスが標準となっていますが、中古住宅では1枚ガラスが一般的です。しかし、ペアガラスなら騒音が防止できるかと言えば必ずしもそうではありません。

ペアガラスは断熱効果がありますが騒音に対しては性能を期待できません。音は空気を伝わって伝達するため、空気を遮断するために気密性を高めるか、音源に面している物体(ガラスや壁)の質量を高める(重たくする)しかありません。ペアガラスは2枚のガラスに挟まれた中が乾燥空気なためガラスに当たった振動は閉じ込められた空気により伝達してしまいます。そのため、二重ガラスの中が真空になったガラスも開発されており、それを使用すればガラス面からの音は伝達されません。しかし、引き違いサッシは気密性が高くないため、ガラス面だけでは騒音は防止できないことを覚えておきましょう。共用部分であるサッシを交換することはマンションでは不可となり、木造なら可能とはいえコストが多額になります。そのため、どの住宅でも既存窓の内側に取りつけるインナーサッシをつけることが一般的です。とはいえ、断熱性を高めるためなら引き違い戸でも良いですが、騒音防止対策なら開き戸がお勧めです。

また、騒音は外壁に設けられた吸気口から入ってきますので、万全を期すなら消音可能な吸気口の取り付けも必要です。さらに、コンクリート造なら外壁は重量があり遮音対策は十分ですが、木造では窓の性能を高めただけでは外壁からの騒音を防げないため、そのような場合は、外壁側の内壁に鉛板や鉛板が接着されたボードを施工することが効果的です。

このような、外部からの騒音対策は逆を返せば内部から発せられた音楽や楽器の音が外部に漏れないための騒音対策とも言えるのです。

音が透過する仕組み

保有する物件・土地の定期的な資産価値の確認がポイントです。

3. 光(照明)

住宅は照明で様々な演出をすることができますが、新築住宅ではオプションなどで追加しない限り当初より照明設備が設置されているため、購入時には天井に取り付けるシーリングやスタンド程度だけ購入することになります。一方中古住宅ならリフォームを行うことにより照明はどのようにも設置できホテルライクな空間づくりが可能となります。

ホテルのような空間とはどのようなものかと言えば、全体が明るくなるような全般照明でなく局部照明と言われる間接照明などを取り入れた空間づくりのことです。日本では戦後の貧しさから、明るい方が生活は豊かだという価値観が生まれ、部屋全体を明るくする全般照明が一般的でした。しかし、海外ドラマやホテルをみれば全般照明は少なく、照明をデザインする場合の基本は「暗さをデザインする」とも言われます。暗いところがあるから明るいところが引き立つのです。必要なところだけ明るければ不必要なところは暗くとも省エネにつながるため経済合理性にも適しています。

照明で注意したいことは、光があれば明るいわけではないということです。宇宙空間では太陽光が十分に降り注いでいますが真っ暗です。光がモノに当たることにより光を認識して明るく感じるのです。同様に天井に照明がついているだけでは明るいとはいえません。照明器具から発せられた光が壁や床に当たり明るく見えるのです。ランプそのものを隠し、壁や天井に光を当てて照明する方法が間接照明と言い、全体的に柔らかで落ち着いた印象を与えることができ、目にも優しくリラックス効果があると言われています。その柔らかい反射光で周りや部分を照らすことで明るさの濃淡を作り、全体に立体感を生み出す効果もあり、ひとつの照明で部屋全体を一度に照らす直接照明とは違い、さまざまな空間演出ができます。間接照明は建築化照明とも言われ大きく2種類に分けられます。
 

(1)コーブ照明
 
  折り上げ天井の隅や壁に光源を隠して、天井面を明るくする方法。
   天井があまり高くない広い空間に有効。

(2)コーニス照明
   
天井と壁が接するところに、遮光板などで光源を隠し、
     壁やカーテンなどを照明する方法
 (ランプが視野に入らないよう、遮光角が45度以下であることが望ましいです)
 

コープ照明・コーニス照明
コープ照明の実例

コープ照明の実例

まとめ

以上の3点は、人が健康に暮らすために基本的なことですが、暮らし始めてからの工事は大変なことばかりです。

特にマンションにおいては、専有部(個人が工事をしてよい個所)、共用部(コンクリートなどの構造体や開口部など、個人が工事をしては駄目な個所)といった区分けがされており、後からではどうにもできないこともあります。まずは、住空間で最も重要な3つの要素を理解して住宅選びを行い、問題があればリフォームで解決出来るのかを仲介業者や元所有者、管理組合などに確認をとってから購入することをお薦めします。

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