マンション管理組合のチェックポイント

分譲マンションでは、各住戸の区分所有者全員で組織した管理組合が、共用部分の維持管理にあたることになっています。つまり、マンションが適正に管理され、入居者の暮らしやすさが守られているかどうかは、管理組合のあり方にかかっているといえます。そこで今回は、管理組合が健全に機能しているかどうかをチェックするためのポイントを紹介していきます。

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マンション管理組合のチェックポイント

マンションの管理組合とは

マンションの管理組合とは

まずは、分譲マンションの管理組合について、基本的な役割を押さえておきましょう。

マンション内にあるエレベーターや廊下、集会室や駐車場といった共用施設は、各住戸などのオーナー(区分所有者)全員の共有財産になります。これら共有財産を適正に維持管理するための組織が、管理組合です。清掃や修繕工事などの実作業は外部の専門業者に委託しますし、維持管理に関する予算や計画などの立案は管理会社などに提案してもらうケースが大半ですが、物事を決める権限は管理組合にあります。

そして、マンションの区分所有者は、自動的にそのマンションの管理組合の構成員になります。新築・中古を問わず、住戸を購入すれば管理組合に所属することになりますし、逆に、売却などで所有権を手放せば管理組合から脱退することになります。

なお、管理組合では区分所有者全員の意思を統一・決定するために総会を実施しますが、総会で決議した内容に沿って必要業務を実施するのが、管理組合内に設置した理事会です。理事会役員は基本的に区分所有者から選出します。

「マンションの管理状態が良好なら、自らの資産である住まいの価値が高く維持されることにつながります。そういう意味でも、管理会社に任せきりにしてしまうのではなく、管理のあり方について問題意識や課題意識をもって臨むような管理組合が理想的です。また、総会で適切かつスムーズな合意形成を目指すうえでは、日ごろから入居者同士の交流を図っているマンションが望ましいといえます」(マンション管理総合コンサルティング・廣田さん、以下同)

理事会や管理組合での協議内容について

[管理費など]

理事会や管理組合での協議内容について

月々収める管理費などは「安いに越したことはない」と思ってしまいがちですが、管理や修繕のコストは、マンションが築年を重ねるほどかさんでいくものです。

「なかには、改定の必要に迫られているのに理事会や総会でうまく合意形成できないために、問題が先送りになってしまっているマンションもあります。しかし本来は、ある程度先までコストの見通しを立て、ひっ迫する前に改定の協議を始めておくべきです。議案書に記されている年間管理計画や決算書を見せてもらう、売主に問い合わせてみるなどで、健全な収支のもとに維持管理できているかどうか確認しましょう」

[長期修繕計画]

分譲マンションでは、長期修繕計画が設定されています。30年くらいまで先を視野に入れ、どのタイミングでどのような大規模修繕工事を実施するかが、計画に落とし込んであります。直近の大規模修繕工事がいつ予定されているのかも大切ですが、さらに、計画が定期的に見直されているかどうかもチェックしたいところです。

「建物の劣化の程度は、計画時の予想どおりになるとは限りません。また、景気動向などによって資材費や人件費が変動することもあります。このため、最低でも5年に一度は、実情と照らしながら計画内容を見直す必要があるのです。当然、工事支出の見通しも変わりますから、修繕積立金の改定も含めて協議が必要です。管理費などと同様、長期修繕計画が定期的に見直されているかどうかを確認しましょう」

なお、長期修繕計画や修繕積立金については、以下の記事もご参照ください。

[使用細則や管理規約]

共用施設の利用ルールなどは、管理規約や使用細則にまとめられています。築年数が浅いうちは問題なくても、年月が経つうちに新築当初に設定されたルール内容が、現在の入居者の要望や実情にフィットしなくなっているケースも少なくありません。

「入居者の声に耳を傾け、必要に応じてルールを改変しているかどうかでも、管理組合や理事会の意識の高さを見てとれます。細かな部分まで調べるのは難しいかもしれませんが、改変履歴の有無くらいは確認できると思いますので、売主に問い合わせてみましょう」

マンション内コミュニティについて

[理事会の開催回数]

理事会の開催回数

維持管理の問題や課題についてしっかり協議するためだけでなく、役員同士の意思疎通や合意形成をスムーズにするという意味でも、定期的に理事会が開催されていることが必要だといえます。

「マンションの規模によっても違ってきますが、理事会は1~2カ月に一度のペースで開催していると安心ですね。議案書の写しを提示してもらえるなら、回数だけでなく協議されている内容も確認できますが、どれくらいのペースで実施されているかは売主でも答えられるはずですから、聞いてみましょう」

[イベント]

イベント

入居者向けにお祭りなどのイベントを開催しているマンションもあります。単純に楽しめるというだけでなく、マンション内のコミュニティ形成の場にもなります。

「コミュニティ形成という意味では、イベントが大がかりである必要はなく、頻度の高さが大切です。頻繁にイベントが開催されていれば、それだけ入居者同士が顔を合わせる機会が多くなるからです。ちょっとした挨拶を交わすようになるだけでも、協調しようという気運が育まれるものです。また、お互いに入居者かどうかを見分けられるようになれば、防犯面でも有効です」

なお、どのようなイベントが実施されているのかは、議案書の事業報告に記載されていますが、売主でも簡単に答えられます。また、開催予定があれば、マンション内の掲示板で案内されているので、下見時に確認することも可能です。

自らの姿勢も大切

「住まいの維持管理や近所づきあいに時間や労力を割くのは面倒」と思う人もいるかもしれません。しかし、住まいは大切な資産ですから、その価値を高く維持できるなら、労力をかける意義も見出せるはずです。また、集中豪雨や台風など、自然災害の脅威が増していることを思えば、合計形成をスムーズにするというだけでなく、いざというときに助け合える関係性を築いておくことはとても重要です。管理やコミュニティ形成の大切さを理解し、自ら積極的に関わる姿勢を持つようにしましょう。

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