2023年 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)

東京カンテイ 中古マンションの売出・取引事例に基づく価格乖離率の最新データを公表
首都圏2023年下期の価格乖離率は-6.23%、拡大傾向は一服
売出・取引価格ともに上昇トレンドで推移する中、売却期間は再び4ヵ月間を上回る状況に

2023年 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)

中古マンションの価格乖離率&売出→成約までの期間

首都圏における2023年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が4,950万円(前期比:+2.3%)、取引価格が4,642万円(同+1.6%)と揃ってプラスを示すも、上昇率自体は大きく縮小した。一方、売出・取引事例の価格乖離率※は-6.22%と前期から0.64ポイントも拡大し、2020年以来の6%台を示す結果となった。東京都心部など好調なエリアもあるが、価格水準が押し上がるに連れて購入層の予算レンジを上抜けた物件を中心に反響が鈍っており、価格改定の動きが一段と強まっている。2023年下期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が5,073万円(同+2.5%)、取引価格も4,757万円(同+2.5%)と同程度の上昇率を示している。なお、売出・取引事例の価格乖離率は-6.23%と前期からほぼ横ばいとなった。

首都圏 中古マンションの一戸平均価格(売出・取引)

売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2023年上期には3.75ヵ月、下期には4.15ヵ月と拡大傾向が続いており、再び4ヵ月間を上回る状況となっている。
建築コストの先高観や歴史的な円安などを背景に、新築と同じく中古マンションの価格水準も全般的に押し上がってきているが、ここにきて購入層の違い(=資金力の違い)によって価格トレンドや価格改定の動きに差が生じてきている。2024年に入ってからは比較的反響が強い都心部でさえも上値が重くなる行政区が出始めている。

首都圏 中古マンションの価格乖離率および売却期間の推移


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売却期間の違いによる価格乖離率とそのシェア

首都圏における2023年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-2.61%であった。不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-3.77%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から4%以下の値下げで成約に至っていたことになる。2022年の調査結果と比べ、2ヵ月までは大差なし、3ヵ月~8ヵ月でも0.50ポイント以内の拡大に留まっていたが、9ヵ月以上になると軒並み大幅に拡大し価格乖離率はいずれも-10%を超えていた。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは31.7%(2022年:40.7%)で、前年から9ポイントもシェアが縮小した。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは57.4%(同66.5%)とこちらも大幅に縮小、これまで全体の2/3を占めていた状況から大きく変化している。売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには77.8%(同85.1%)のケースで成約に至っていた。

首都圏 売却期間別 中古マンションの価格乖離率

次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合で最もシェアが大きかったのは「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」の42.5%で、次いで「-5%以内」の36.0%となっている。2021年には最大シェアが「-5%以内」から「0%」にシフトしたが、直近においてもその状況が続いている。売却期間が1ヵ月以内の場合で価格乖離率が-10%を超えるケースの合計シェアは9.0%、一方で売却期間が8ヵ月まで長期化した場合には「-20%超」のシェアが大幅に拡大する傾向にある。

首都圏 売却期間別 価格乖離率シェア(2023年)

※中古マンションの「価格乖離率」とは

中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率。
 

価格乖離率 = (取引価格 - 売出価格) ÷ 売出価格 × 100%


価格乖離率が正の値となるケースはごく稀であることから、負の値となるケースのみを対象としている。また、データ抽出にあたっては、所在階数や専有面積などの情報を基に住戸の特定が可能な事例について各取引事例と当該住戸から生じた売出事例の中で最も古いもの(=最初の売出事例)を突き合わせ、売出開始から成約までに要した期間が12 ヵ月以内の組み合わせのみを対象として分析している。

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当記事出典元

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2024年7月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。

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