主要幹線道路とマンション価格の関係を探る

東京カンテイが首都圏と中部圏で主要幹線道路とマンション価格の関係を分析しました。
首都圏では都心ほど沿道近くの価格は概ね安くなり、中部圏では名古屋市中心部から遠ざかっても価格が大きく下がらない傾向にあると考えられます。

主要幹線道路とマンション価格の関係を探る

道路利便性の基本的な考え方
分析方法:対象道路から垂直距離100m範囲(100m以内)、100m~300m範囲(100m超300m以内)、300m~1000m範囲(300m超1000m以内)のポリゴン情報を作成し、それぞれの範囲内にあるマンション別の平均売価格を用いて、道路ごとに設定した基準点からの距離との相関を分析した。道路のデータは「国土数値情報ダウンロードサイトR3重要物流道路データ(国土数値情報|重要物流道路(mlit.go.jp))」を東京カンテイが加工して作成した(2024年3月15日取得データを利用)

主要幹線道路とマンション価格の関係を探る(首都圏)

都心ほど道路からの距離感が重視され沿道至近(100m範囲)の価格は概ね安くなる
首都圏の徒歩11分以遠のマンションのみを調査
都心から遠方の都市ではクルマ利便が重視され道路沿いの方が高くなる傾向に

一般国道1号線(首都圏)の場合

国道1号線は国道の中で中古マンション事例数が最も多く、品川から箱根に至る各地域に均等にマンションが存在している。日本橋からの距離と価格の関係に注目すると、道路の中心から100m範囲においては1kmごとの平均価格変動は-12.9万円となっており、起点である日本橋から遠く離れてもマンション価格が下がっていないことが示されている。これは遠方においても藤沢市や茅ヶ崎市といったマンションニーズが高いエリアを通過していることが要因であると考えられる。道路利便性がより高い100m範囲について注目すると、特に70km圏に位置する小田原市において高額な中古マンション事例が発生している。同市の100m範囲の平均価格は2,830万円となっており、これは日本橋により近い鶴見区、戸塚区、藤沢市よりも高額となっている。

一般国道246号線の場合

国道246号線は、道路中心から離れるにつれ平均価格が高くなる傾向が見られ、その価格差が著しい。平均価格は沿道から奥に入った300~1000m範囲では、分析対象国道の中で最も高い5,084万円となり、特に渋谷区の平均価格が9,602万円、次いで港区の平均価格が8,640万円と価格を大きく押し上げている。一方で神奈川県に入ってからは各市区のマンション平均価格がおおむね4,000万円を切る。港区、渋谷区では高級住宅地に近接していることから、沿道からの一定の距離感が重視されていることがわかり、その一方で比較的遠方にある行政区のうちで町田市では3,715万円、厚木市は2,263万円、座間市では2,271万円といずれも100m範囲が他よりも高額となっている。クルマ通勤が比較的多い都市では道路至近の価格が高くなるためと見られる。

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主要幹線道路とマンション価格の関係を探る(愛知県)

国道153号線では豊田市利便と価格の相関が見られる道路利便性が反映した可能性がある
名古屋市中心部から遠ざかっても価格が大きく下がらない傾向クルマ利便が重視されている影響と考えられる

※愛知県は駅徒歩時間の制限を設けず全中古マンションを集計対象とした。

一般国道153号線の場合

国道153号線は愛知県内で最も遠い行政区に豊田市があり、その先は長野県になるため、名古屋城からの直線距離と価格の関係性を分析しやすい。豊田市では道路中心からの距離帯にかかわらず2,000万円以上と、より近い行政区より平均価格が高額となっているため、名古屋城からの距離ごとの減価が小さい。名古屋城からの距離が近い日進市では平均価格が高額だが、さらに近い名古屋市天白区は豊田市よりも低い。最も事例数が多い300~1000m範囲では天白区は2,215万円、日進市が3,147万円、豊田市は2,500万円となっている。駅による利便性が相対的に薄くなる「駅徒歩11分以遠」の条件を加えると、完全に豊田市の価格が高くなり、実質的に豊田市利便の優劣が価格に反映する結果となる(資料未掲載)。

一般国道1号線(愛知県)の場合

国道1号線は愛知県において沿道に掛かる行政区のマンションニーズが高いことから中古事例も通過都市に事例が多い。名古屋城からの距離と平均価格の関係に着目すると、道路の中心から100m範囲においては1kmごとの平均価格変動は-11.7万円となっており、これは首都圏の同じ国道1号線の同距離範囲の-12.9万円より小さい。さらに100~300m範囲では-5.9万円、300~1000m範囲では-0.3万円と距離に相関して価格が下がらない。道路から奥まった範囲になると名古屋市中心から離れても価格が変化しない。20~40km圏内に安城市が、40~60km圏内には岡崎市が高額帯を形成していること、さらに60km以遠に豊橋市が存在していることで距離と価格の相関がなくなっている。

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当記事出典

当記事は株式会社東京カンテイ「カンテイアイ特集(2024年5月1日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。

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