【2013年】過去10年の公示地価推移をもとに専門家が分析 これからの住宅地価格の動向

3月に、国土交通省が2013年の公示地価を発表しました。
ミニバブル期やリーマン・ショックなど、さまざまなできごとがあった過去10年間の推移を踏まえつつ、住宅地マーケットがどのように変遷していくのかを、不動産データ分析の専門家に予想してもらいました。

過去10年の公示地価推移をもとに専門家が分析 これからの住宅地価格の動向 3月に、国土交通省が2013年の公示地価を発表しました。ミニバブル期やリーマン・ショックなど、さまざまなできごとがあった過去10年間の推移を踏まえつつ、住宅地マーケットがどのように変遷していくのかを、不動産データ分析の専門家に予想してもらいました。

首都圏エリア

結果的に需給バランスが正常化

2006年から2008年にかけてミニバブル期が到来。地価は高騰を続けました。これがリーマン・ショックによって一気に下落。その後も対前年比はマイナスで推移しています。

首都圏 公示地価(住宅地)の都県別対前年変動率の推移

「ただし、マイナスの幅は年々縮小していて、今年の各都県は、ほぼ前年水準を維持しています。2006年から2008年にかけては、短期売買を主眼に置いたマネーゲームのような取引が急増し、土地に実勢以上の価値が付いてしまいました。だからこそ、この期間が“ミニバブル期”と呼ばれるのです。このアンバランスな状態が、リーマン・ショックによって強制的に是正されたわけです。東京23区の坪単価を見ると、2006年以前と2011年以降の水準がほぼ同程度になっていることが分かります。ミニバブルの過熱やリーマン・ショックの冷え込みを経て、需給バランスが健全な状態に戻ったのが現状だと言えるでしょう」(東京カンテイ中山さん・以下同)

今後2年は、上昇傾向に転じる可能性大

中山さんは、現政権の金融政策・財政政策がうまく機能すれば、今後の地価は、上昇傾向に転じる可能性が高いと指摘します。
「首都圏の対前年比を見ると、都心部の一部が上昇、都心部周辺エリアが横ばい、郊外が依然としてマイナスという状況です。景気刺激策が奏功すれば、都心部周辺や郊外も上昇に転じるでしょう。特に、2014年・2015年の消費増税が実施される場合、駆け込み需要の増大による地価上昇の可能性もあります。住宅購入者向けの景気刺激策が用意され、超低金利の今は、不動産で資産形成を図る好機という見方もできます」

名古屋エリア

トヨタと連動する愛知県、安定的な岐阜県・三重県

名古屋市を擁する愛知県は、ミニバブル期の上昇とリーマン・ショック後の下落の影響が表れていますが、岐阜県・三重県は緩やかな推移を続けているのが特徴です。

名古屋圏 公示地価(住宅地)の県別対前年変動率の推移

「名古屋市の地価は、地場経済を支えるトヨタ自動車の業績が色濃く反映される傾向にあります。このため、愛知県の地価推移は、ミニバブル期の上昇とリーマン・ショックによる下落、その後の速いペースの回復と、いずれもトヨタ自動車の業績推移とリンクしているのです。この傾向は、名古屋市の坪単価推移にもよく表れています。一方、もともと低水準で推移している岐阜県と三重県の地価は、景気動向の影響を受けにくいエリアです。グラフを見ても、ミニバブルやリーマン・ショックの影響をあまり受けていないことが分かりますね。これは、土地取引の過熱や急速な冷え込みが起こらず、実需に沿って堅実に推移していることの現れです」

三大都市圏では活性化の可能性が最も高い

今回取り上げている都府県のなかでは、愛知県の対前年比だけがマイナスからプラスに転じています。これが、今後の動向を計るポイントになりそうです。
「円安傾向が続いて景気が上向けば、トヨタ自動車のさらなる業績アップを見込めます。先述のとおり、これに連動して地価も上昇していく可能性が高いですね。一方で、名古屋市周辺の住宅供給は、景気の回復度合いに追いついていないため、不足気味です。東京・大阪・名古屋の三大都市圏のなかでは、今後の土地取引が活性化する可能性がもっとも高いエリアだと言えるでしょう」

関西エリア

他の2エリアより遅めだが、活性化の兆しも

首都圏エリアなら東京都の振れ幅が、名古屋エリアなら愛知県の振れ幅が顕著でしたが、関西エリアの場合、3府県ともほぼ同じレベルで推移しています。

関西圏 公示地価(住宅地)の府県別対前年変動率の推移

「他の2エリアに比べて、関西エリアでは府県をまたいだ移住が少ないことが大きな理由だと思われます。また、ミニバブル期のプラス幅に対して、下落後のマイナス幅のほうが大きいのも、このエリアに見られる特徴。地域経済を牽引するような企業が少ないため、3府県がそろってリーマン・ショック後のダメージから脱しきれていないことがうかがえます。ただし、大阪市や京都市の中心部、阪神間では地価が上昇していて、全体的にはマイナス幅の縮小につながっています。これは、梅田北ヤード跡地再開発による周辺の価値向上や、住宅地として人気の高い京都市中心部や阪神間における需要の高まりなどが影響していると思われます」

賃料動向が先を見通す大きなヒントに

中山さんによると、地場産業の大半が中小企業で構成される関西エリアの場合、他の2エリアとは異なる特徴があると言います。
「中小企業の発注元である大企業の収益が上がってから、ようやく好影響が出てくるエリアなので、タイムラグがあるのです。そして、地価の変動は、地域経済の動向と密接な関わりがあります。つまり、関西エリアの場合、地価が回復基調を見せるタイミングが見えづらい状況にあるわけです。ただし、大阪市の中心部で複数のタワーマンションが供給されるなど、不動産市場には活性化の兆しも出はじめています。今後の動向を見定めるには、売買を検討している地域の賃料相場を定期的に観測しておくと、大きなヒントになると思います」

※当記事の掲載データは、すべて国土交通省が公開している公示地価をもとに作成したものです。

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