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第3回 住宅ローン控除の活用法

公開日:2018/3/16

毎月の住宅ローン返済が家計に与える負担は軽いものではありません。そんな負担を少しでも軽減するために設けられている制度が「住宅ローン控除」です。今回は、住宅ローン控除の仕組みと活用法についてご紹介します。

相談者

住宅ローン控除について
知りたい男性

子どもが小学校に上がる前に社宅を出て、マイホームを購入したいと思っています。すでにマイホームを購入した同僚から「住宅ローンを組むと、税金の控除が受けられる」と聞いたのですが、どのような場合に適用され、実際にどのくらいの金額の控除が受けられる制度なのでしょうか。

  • 相談者:38歳 男性
  • 家族構成:妻・長女・長男
  • 資産:預貯金850万円
  • 住まいの状況:社宅(家賃5万3,000円)
今回のポイント
  • 住宅ローン控除の最大控除額は400万円(認定住宅の場合は500万円)と大きいので、マイホームを購入するのであれば積極的に活用しましょう。
  • 住宅ローン控除を受けたいのであれば、控除の適用条件について細部までしっかり確認しておくことが大切です。

住宅ローン控除の概要

相談者

マイホームの購入を予定しています。「住宅ローンを組むと、税金の控除が受けられる」と聞いたのですが、どういう仕組みの制度なのでしょうか。

回答者

「住宅ローン控除」のことですね。住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」と言います。「住宅ローン減税」と呼ばれることもあります。住宅ローンを組んでマイホームを買ったときや増改築を行ったときに、一定の条件を満たすことで税金が控除になるという制度です。

控除の適用条件は色々ありますが、主なものとしてはまず、返済期間10年以上の住宅ローンで、年末時点で残債があることが挙げられます。また、該当となるマイホームの新築または取得の日から6ヵ月以内に実際に居住すること、控除を受けるそれぞれの年の12月31日まで引き続き居住していることが要件になります。

マイホームの床面積にも要件があります。床面積が50m2以上であり、その2分の1以上を自己の居住用として使う必要があります。ご相談者様の場合には、ご家族4人で自宅として住まわれるということですので問題ないかと思いますが、ワンルームや1LDKなどのコンパクトマンションで一人暮らしをする場合や、自宅兼事務所として使用する場合などは控除が適用されない場合もありますので注意が必要です。

その他、控除を受ける年の合計所得金額が、3,000万円以下であること、居住した年およびその前後2年間の間に「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」などを受けていないこと、といった要件もあります。こうした点も踏まえて購入前にしっかり確認しておきたいところです。

住宅ローン控除の概要

控除額の計算方法

相談者

実際にどのぐらいの金額の控除が受けられるのでしょうか。

回答者

住宅ローン控除が適用された場合の控除額は、住宅ローンの年末残高によって異なります。また、居住し始めた年によっても控除期間や控除限度額が異なります。

ご相談者様の場合、これから購入されるということですが、平成26年1月1日から平成33年12月31日までに居住した場合、毎年、年末である12月31日時点での住宅ローン残高の1%が10年間にわたり控除されることになります。また、1年あたりの控除限度額は40万円になります。10年間での最大の控除額は40万円×10年間で、400万円ということになりますね。

さらに、購入するマイホームが「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に規定される「認定長期優良住宅」または「認定低炭素住宅」に該当する場合は、控除上限額が10万円上乗せされ、50万円になります。したがって、10年間での最大の控除額は500万円ということになります。なるべく多くの控除を受けたいのであれば、マイホームを購入する前に「認定長期優良住宅」であることも視野に入れるとよいでしょう。

ただし、年末時点での住宅ローン残高が3,000万円、4,000万円あるからといって必ずしもそれぞれ1%を乗じた30万円、40万円がまるまる控除されるとは限りません。なぜなら、自分がその年に納めた税額を超える控除は受けることができないからです。

仮に年収600万円、住宅ローン残高が3,000万円で、その年に納めた所得税が25万円であった場合、住宅ローン控除による所得税の税額控除は25万円が上限になります。この場合、所得税で控除しきれなかった分は翌年度の住民税の範囲内で控除が受けられます。なお、この場合に住民税から控除できる金額の上限は、前年の所得税の課税総所得×7%(最高13万6,500円)となっています。

控除額のイメージ

住宅ローン控除を受けるための手続き

相談者

控除を受けるためには、どういった手続きが必要なのでしょうか。

回答者

住宅ローン控除を受けるためには、初年度については必ず確定申告を行う必要があります。会社員の方の場合、これまで確定申告とは無縁だったという方も少なくないようですが、住宅ローン控除は、先ほどもお伝えしたようにとても大きな控除が受けられる制度です。要件を満たすのであれば、面倒がらずに必ず確定申告を行うようにしましょう。

所得税の確定申告は、申告を行いたい年の翌年2月16日から3月15日が申告期間となっています。しかし、ご相談者様のように会社員の方が住宅ローン控除を受ける場合、多くは「還付申告」といって所得税の還付を受けるための申告になります。こうした場合は申告期間まで待たなくても、1月に入ってすぐに申告を行うことが可能です。詳しい手続きについて知りたい場合は、住所地を管轄する税務署に相談に行くとよいでしょう。

なお、確定申告を行う必要があるのは1年目のみで、2年目以降は勤務先の年末調整の際に住宅ローン控除の手続きをしてもらうことができます。

住宅ローン控除を活用するには?

相談者

住宅ローン控除を活用するうえで気をつけるべきポイントはありますか?

回答者

住宅ローン控除を受けるためには、その適用条件に細心の注意を払う必要があります。

例えば、対象となる「借入金」は、銀行等の金融機関や住宅金融支援機構等からの借り入れであることが必要です。マイホーム購入に際し、ご両親からお金を借りるというケースもありますが、そういった親族からの借り入れは控除の対象になりません。

気をつけたいのが住宅ローンの返済期間です。住宅ローン控除の適用条件として「返済期間10年以上の住宅ローンであること」が必要ですが、借り入れ時には返済期間が10年以上あっても、繰り上げ返済した結果、借入当初から完済予定までの期間が10年より短くなってしまうと控除が適用できなくなってしまいます。また、繰り上げ返済をすればするほど、支払う金利が抑えられる一方で残高も減少するため、控除額も少なくなります。繰り上げ返済を検討するのであれば、こうしたことも念頭に置いておくとよいでしょう。

次回は、売却を見据えた土地の選び方・マイホームの建て方についてご紹介します。

回答者紹介

  • 玉置千裕
    執筆・監修:
    三菱UFJ信託銀行
    小谷 亨一(こたに こういち)
    経歴:
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
    三菱UFJ信託銀行の営業店で資産運用・不動産・ローン・相続などの相談業務に従事。現在は、その経験を活かして資産運用や資産承継のセミナー講師として活躍している。
本コンテンツの内容について
公開日時点の法令に基づき、不動産にかかわる資産形成について説明しています。個別の事例によっては、所定の要件を欠く場合がありますので、専門家にご確認ください。

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