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第2回 住宅ローンの繰り上げ返済について

公開日:2017/12/20

住宅ローンは、“人生最大の借金”ともいえます。住宅ローンを返済中の人の多くが、「できるだけ早く住宅ローンを完済して解放されたい」と思っているのではないでしょうか。そこで今回は、住宅ローンの繰り上げ返済を賢く活用するポイントについてご紹介します。

相談者

繰り上げ返済について
検討している男性

2年前にマイホームを購入しました。35年の住宅ローンを組んだので、このままいけば完済するのは自分が70歳になったときです。定年後も住宅ローンの返済を続けるのは避けたいので繰り上げ返済を検討したいのですが、いつ、どのように行うのがよいのでしょうか。

  • 相談者:37歳 男性
  • 家族構成:妻・長女・長男・次男
  • 資産:預貯金350万円
  • 住宅ローン借入金額:4,000万円
  • 住宅ローン返済額:123,455円/月
今回のポイント
  • 繰り上げ返済には、返済期間短縮型と返済額軽減型の2つのタイプがあります。早期に繰り上げ返済を行うほど利息の削減効果は大きくなります。
  • ただし、あまり無理をして繰り上げ返済をすると、予期せぬ出費の際に貯蓄が不足することもあるので、無理のないペースで繰り上げ返済を行うことが大切です。

繰り上げ返済のメリット

相談者

住宅ローンを定年後に持ち越さないために繰り上げ返済を検討しています。いつ、どのように行うのがよいのでしょうか。

回答者

繰り上げ返済とは、住宅ローンを借り入れた時にあらかじめ決められた毎月やボーナス月の返済額とは別に、ローン返済を行うことを指します。繰り上げ返済をした金額はすべて元金の返済に充てられるため、繰り上げ返済した分の元金はもちろん、そこにかかる利息の支払いもなくなります。

ご相談者様は、2年前、つまり35歳のときに返済期間35年で住宅ローンを組まれたとのこと。残りの返済期間は33年。つまり70歳での完済になりますね。

ところが、仮に今、100万円の繰り上げ返済を行うと、残りの返済期間は31年11ヵ月に短縮されます。これを何度か繰り返せば、定年までに住宅ローンを完済することができるというわけです。

なお、シミュレーションを見ていただくとおわかりになるように、100万円を繰り上げ返済することで、完済までの期間が短縮されるだけでなく、利息を含めた総返済額も63万4,795円少なくなります。つまり、繰り上げ返済を行うことによって利息の削減効果もこれだけ得られるということですね。

繰り上げ返済のシミュレーション

繰り上げ返済の2つのタイプ

相談者

なるほど。やはりメリットは大きいですね。ただ、返済期間は短縮されても、毎月の返済額そのものは変わらないのですね。

回答者

実は、繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つのタイプがあります。先ほどシミュレーションしたのは、これら2つのうちの「返済期間短縮型」です。

返済期間短縮型は、毎月のローン返済額は変えずに残りの返済期間を短くする繰り上げ返済です。返済額軽減型は、繰り上げ返済をしても残りの返済期間は変わりませんが、毎月のローン返済額が少なくなります。

同じ金額を繰り上げ返済した場合、通常、返済額軽減型よりも返済期間短縮型のほうが利息の削減効果は大きくなります。ただし、どちらがよいのかはそれぞれのご家庭の家計状況や繰り上げ返済の目的によるので一概には言えません。ご相談者様のように「定年までに住宅ローンを完済したい」というのであれば返済期間短縮型が向いていますし、「これから毎月の出費が増えそうだから負担を軽くしておきたい」というのであれば返済額軽減型が向いているかもしれません。

なお、いずれのタイプの場合であっても、同じ金額を繰り上げ返済するのであれば、早期に繰り上げ返済を行うほど利息の削減効果は大きくなります。

返済期間短縮型と返済額軽減型

繰り上げ返済にもデメリットがある

相談者

繰り上げ返済をすることのデメリットもあるのでしょうか?

回答者

例えば、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンの年末時点での残高に一定の控除率を乗じた金額を控除します。つまり、繰り上げ返済をすることでローン残高が減ると、控除が受けられる金額も減るということになります。

控除率は居住を開始した年や住宅の種類によっても異なりますが、控除率よりも住宅ローンの金利のほうが低い場合には、頑張って繰り上げ返済をするよりも住宅ローン控除を受けたほうが合理的な場合もあります。

繰り上げ返済との賢い付き合い方

相談者

う〜ん。いろいろ考えると悩ましいですね。

回答者

一番大切なのは「無理をしない」ということかもしれません。

「少しでも早く完済しなければ」「少しでも多くの利息削減効果を得たい」と考えると、貯蓄よりも繰り上げ返済を優先してしまいがちなのですが、いざというときに貯蓄が不足してしまっては元も子もありませんから、無理のないペースで繰り上げ返済を行うことが大切です。

なんといっても人生には予期せぬ出費がつきものです。予想外に教育費が膨らんだり、車の買い替えが必要になったりした場合に別途、教育ローンや自動車ローンなどを組むぐらいであれば、住宅ローンの金利のほうが低いはずですので、繰り上げ返済をせずにその分を貯蓄しておいたほうが有利といえます。

こうした出費以外にも、親の介護が必要になり実家をリフォームしなければならなくなった、地震で自宅の壁にヒビが入り修理をしなければならなくなった、病気で長期入院となり、まとまった医療費がかかったなど、いつ、まとまった出費が必要になるかはわかりません。こうした場合への備えとして、常に一定額の貯蓄をキープしたうえで、無理のないペースで繰り上げ返済を行っていくのがよいのではないでしょうか。

次回は、住宅ローン控除の仕組みと活用法についてご紹介します。

回答者紹介

  • 玉置千裕
    執筆・監修:
    三菱UFJ信託銀行
    小谷 亨一(こたに こういち)
    経歴:
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
    三菱UFJ信託銀行の営業店で資産運用・不動産・ローン・相続などの相談業務に従事。現在は、その経験を活かして資産運用や資産承継のセミナー講師として活躍している。
本コンテンツの内容について
公開日時点の法令に基づき、不動産にかかわる資産形成について説明しています。個別の事例によっては、所定の要件を欠く場合がありますので、専門家にご確認ください。

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